落ち込んでなんか
皆様、日頃よりこの作品に触れて頂きありがとうございます。
この度、私事ではございますが、一幕落ち着いたところでしばらく休載させて頂きたく思います。
再開は4月の中旬頃の月曜日を予定しておりますが、変更になる可能性がございます。
悪しからずご了承頂きますよう、お願い申し上げます。
寒暖差のあるこの季節……ご自愛くださいませ。
それでは、また会う日まで……。
ルーベルの街へと着いたサザンカ達は、さっそく事件に巻き込まれたリアナとロゼッタをアリアのもとへと送り届けた。
アリアの家には祖母も来ており、リアナとロゼッタの無事を見るなり泣きながら二人を抱きしめた。
そしてサザンカ達に何度も頭を下げた。
「本当に……なんてお礼を言ったら……」
「そんな! お礼なんて!
二人とも無事でよかったです! 夜も遅いですし、私たちはこれで……」
サザンカは親子水入らずを邪魔しまいと、早々にその場を去る事を決めた。
リアナとロゼッタ、二人に二日後会う約束をしてサザンカ達一行はその場を後にした。
サザンカ達はこの日、宿へ行く事はなく、街の外の林の中で野営をしていた。
その際、土魔法が使えるオウカの魔法で簡易的な小屋を作り、さらに、サザンカの創造で小屋の中に簡易的な仕切りや家具を設置した。
「皆……宿じゃなくてよかったの?」
『この格好は目立つからな』
『……キレイ目の衣装のはずなのに、戦いでボロボロ……』
『見栄えがいいとは言えませんからね……』
『あげは様もなかなかにひどい様子で……おいたわしいですわ……』
「ケガはないけど……ドレス……今度、ルークさんに弁償しなきゃ……」
サザンカは創造で全員分の衣装を作り、各々に手渡した。
衣装を受け取った皆はそれぞれ家具や仕切りに身を隠して着替えを始めた。
数分後、着替え終わったオミがポツリと言葉をこぼした。
『二日後……か……』
「何か気になる事でもあるの?」
『いや……そういう訳じゃないんだが……。
二日後、あの子達との遊ぶ約束を果たすんだろ?
俺たちはどうすっかな……と思ってな』
「あ……そっか。
皆で遊ぶ……とか……。
いや、でも、それは違う気も……」
『だろ? まぁ、適当に過ごすか』
『……ギルドで依頼を受ける……』
『それはありかもしれませんね。
金策にもなりますし』
『わたくしも……あげは様とご一緒したかったのですが……金策に努めます』
「わかった! それじゃぁ、当面各々自由行動という事で!」
話もまとまり、サザンカや人型を解いたオミ達は、サザンカが造った掛け布団に身を包んで床に就いた。
***
翌朝。
出掛ける用意をしたサザンカ達は、小屋の中を空っぽに片付けて小屋だけを残してルーベルの街へと向かった。
一行が街に入り、先に向かったのはギルドだった。
いつものように手続きを済ませた一行は、ギルドマスターのライナーに会う事が出来、いつものように彼の部屋へと案内された。
「事件……解決したんだな」
「……一応……ですかね」
「? どういう事だ?」
ライナーの疑問にサザンカは、なんとも煮え切らない表情で応えた。
サザンカの言葉にさらに首をかしげるライナー。
その様子を見ていたレイが、ライナーに事件の詳細を伝えたのだった。
「そんな……」
『……残念ながら、本当です。
現在、ウィスタード家が対応にあたられているかと……。
いずれ、こちらにも報告が来るかと思います。
我々の報告は、後日改めて報告いたします』
『……戦いが終わって皆が手当を受けている時、依頼を受けた人物……全員の安否確認をしたよ……。
皆無事だった……』
「……そうか。
ま、ギルドでも人を派遣して、失踪した人の全員の安否確認をするつもりだ。
報酬はその後だが……」
『構いません。
もう少しこの街にいる予定です。
それに、ギルドの依頼も他にも受ける予定ですので』
「わかった。
なるべく早く渡せるようにこちらも動くとしよう」
ライナーとの話もまとまった所で、長居しても悪いと判断して切り上げる事にした一行。
ライナーの部屋を出た一行は、ギルド内に備え付けてあるテーブルに腰を掛けながら今後の予定を話していた。
『私は今回の報告を書類にまとめます。
そのためにこのテーブルに残ります。
その後は……適当に依頼でも受けます』
「う~ん……報告系はレイさんに任せるとして……。
私、ハインツさんの工房に行ってくる! ルークさんのお屋敷を直してもらえるように!」
『それでしたら……わたくしもご一緒します!』
『俺は……依頼でも受けようかな』
『……僕も……オミと一緒に依頼する……』
「じゃぁ、程よい時間になったら昨日の小屋に集合……ってことで!」
予定が決まったサザンカは、椅子から勢いよく立ち上がってオウカの腕を掴み、皆に手を振りながら意気揚々とギルドの外へ飛び出した。
その様子を、残されたオミ達は飽きれた表情で見送った。
『……はぁ……落ち着きねぇな……』
『……うん……。
でも……元気がないよりはマシ……』
『そうですね……。
今回の事件……なんとも言い難い事件でしたから……』
皆は口には出さないものの、サザンカの事を案じていたのだ。
仲良くなったと思っていた者からの裏切りや、自身が与えた能力の悪用。
様々な事が起きた事に、サザンカが気を落としているのではと。
だがサザンカは、そんな素振りは一切見せずに明るく振舞っていた。
オウカと歩いている現在も、明るく振る舞っている。
「ほんと、皆無事に見つかってよかったよね! スキルとか魔法は……残念だったけど、また付与出来たし! めでたし、めでたしだよ!」
『……本当に……そう思われていますか……。
無理……してはいませんか……。
本当は……』
「……無理は……してないよ……。
でも……正直に言うと、ショック……はあったかな……。
急に運命の人だなんて告白されたのは驚いたけど、街のために頑張る良い人なんだなって……信じたかった……」
『……』
「でも……まだチャンスはある……。
今はどこに行ったのかわからないけど、きっといつかまた会う……そんな気がする。
その時は全力で止めて、悪いこと……やめさせる」
『(落ち込んでなんかいられない……。
そういう事ですわね)』
サザンカの思いを知ったオウカは、これ以上の言葉はないと賛同した。
そして二人は、話題を明るいものへと変えてハインツの工房へと向かったのだった。
その後、予定した通りに各々やりたい事をやり遂げ、二日後を迎えた。
この日はサザンカやオミたちの予定が違うため、バラバラの時間に小屋を出た。
集合場所として利用するために小屋は残して置いたが、中は空の状態だ。
そうしてサザンカは以前からの約束を果たすためにリアナとロゼッタに会いに行き、オミたち狼組はギルドに向かった。
リアナとロゼッタ、二人に会いに来たサザンカ。
二人はちゃんと休めたのか、元気いっぱいの様子だ。
サザンカに会えた事がよほど嬉しかったのか、サザンカの手を握りながらその場で何度もジャンプをする二人。
二人はそのままの勢いで、サザンカの手を引いて街中に連れ出した。




