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対照的な二人

 ノエルに突如結婚を申し込まれたサザンカ(あげは)

彼の提案により一行は、屋敷で行われるパーティーに参加する事になったのだった。


『致し方ありませんね……。

そうしましたら、一度街で宿を取るなりして、改めて夜にこのお屋敷を訪ねます』


「宿を取らなくても、この屋敷に泊まってもいいんだよ?

お客人だし、それくらいのおもてなしをさせてよ!」


『……僕、キレイなところは好きだけど、泊まる部屋は自分で決めたい……。

それに……ううん、なんでもない……』


 ヒスイ(翡翠)は何か言いたげだったが、出掛かった言葉を飲み込んだ。


「……。

ノエルさん……せっかくなんですけど、宿は自分たちで決めます!

皆と一緒にいたいですし、そのためなら泊まる部屋も皆の希望通りにしたいんです!」


「……。

あげはちゃんも、皆さんが好きなんだね。

わかった! あ、そうだ!パーティー用の衣装は僕たちが貸すよ!

ハウスメイド~カモ~ン!!」


 ノエルはそう叫ぶなり手を二回ほど叩いた。

すると、ノエルの声に反応した屋敷の女性使用人、二人が応接室に入ってきた。


「彼女たちにパーティードレスを見繕(みつくろ)ってあげて!」


「「かしこまりました、ご主人様。

さ、お客様がた、ご案内致します」」


 サザンカ(あげは)達は屋敷のメイドたちに案内され、衣裳部屋へとやってきた。


「女性のお二方はこちらからお選びください」


「男性のお三方は私についてきてください。

さらに奥へと参ります」


 女性用の衣装は部屋を入ってすぐに見受けられたが、男性用の衣装はどうやらさらに奥に続く部屋にあるみたいだ。


 サザンカ(あげは)オウカ(桜華)は、目の前の衣装やショーケースのアクセサリーに目を輝かせながら楽しそうに衣装を選び始めた。


「こんなにいっぱいあると、どれがいいか悩むね~」


『そうでございますね!』


 部屋の中のドレスやアクセサリー、靴を見てまわる事数分。

サザンカ(あげは)は、自分の着るドレスをいまだ決めれずにいた。

そしてオウカ(桜華)も、ラックにかかっているドレスをかき分けながら悩んでいた。


『どれがいいでしょうか……あげは様は可愛いタイプのドレスがお似合いですし~……白? ピンク?

……迷いますね』


オウカ(桜華)ったら……私のドレスまで悩んでくれてる……。

オウカ(桜華)はもう決まったの?」


『はい! わたくしはこの赤いマーメイドドレスにしました! アクセサリーや靴も決まりましたわ!』


「は……早い……。

私も早く決めなきゃ……」


『わたくしがお手伝いします!』


 オウカ(桜華)のドレスは決まったものの、サザンカ(あげは)のドレスはまだ決めていないため、二人でドレスを選ぶことになり、数分かけてドレスやアクセサリー、靴を決めて行った。


「やっと決まった~!! ありがとう! オウカ(桜華)!」


『可愛らしいドレスが決まってよかったです!!』


 ドレスを決め終えた二人が喜び合っていると、奥の部屋で衣装を決めていたオミ()達が合流した。


『そっちも決まったようだな』


「うん! オミ()達も無事に終わったんだね!

でも……衣装は? いつもの衣装のままだけど……」


『本番での楽しみですよ』


『……全部レイ()が決めてくれた……。

僕やオミ()はこういうのに(うと)いから……』


「そうなんだ」


『それより、早く宿探そうぜ。

話しときたい事もあるしな』


「? わかった。

それじゃ、さっそく移動しよう」


 サザンカ(あげは)達は衣裳部屋まで案内してくれたメイドたちに声を掛け、衣裳部屋を出てノエルたちに一言声を掛けた。


 そして再びメイドたちによって、屋敷の外まで見送られることになったのだった。


 その屋敷の扉までの道中。


「あの、ノエルさんとルークさんの事、お伺いしてもいいですか?

初対面で少ししか会ってないですし……。

それなのにいきなりパーティーにも誘われて、け、結婚……とか言われたりして……」


「ノエル様とルーク様の事……ですか……そうですね――」


 サザンカ(あげは)の質問に、メイドの一人が考える素振りを見せたのち、淡々と語った。


 魔族の兄弟ノエルとルーク。

彼らは生粋の魔族で、両親はずいぶん前に事故により他界しているとの事。


 長男であるノエルは明るく社交的で天才肌。

何をさせても器用にこなし、愛嬌もあるため女性陣からは絶大な人気があるそうだ。


 次男であるルークは兄とは違い内気で知識人。

兄ほどの器用さはないが、機転がよく聞き、立ち回りが上手く、商談や政治的な感性から男性陣から人目置かれているらしい。

また、本人に自覚はないが、魔法に関しては兄よりいい腕前を持っているともメイドたちは教えてくれた。


「お二人とも対照的ですが、とても仲の良い兄弟なのでございます」


「今となっては喧嘩もなくなりましたが、小さい頃はお二人とも活発だったので、よく兄弟喧嘩をしたり、ケガをして奥様を驚かせていたり……そういう事はありました」


「仲の良い兄弟……ですか……」


『たしかにお二方とも、仲がよろしかったですね。

信頼している……とでも言うのでしょうか……』


『ルーク様、お兄様に対して容赦のない言葉遣いをされてましたし……』


 レイ()オウカ(桜華)の言葉に、サザンカ(あげは)は何度も頷きながら同意した。


 ウィスタード兄弟の事を話しながら進んでいると、いつの間にか屋敷の正面玄関に来ていたようだ。


「それでは私たちはここで失礼致します。

道中、お気をつけくださいませ」


「お見送りありがとうございました!

また夜お邪魔します!」


 メイド二人が扉を開け、サザンカ(あげは)たちに軽く頭を下げながら挨拶をした。

その挨拶にサザンカ(あげは)も、勢いよく頭を下げて屋敷の外に出たのだった。


 屋敷の門を抜け、街にある宿を目指している一行。

その道中、気を抜いたのか、盛大にため息を吐くオミ()たち狼。


 突然のオミ()たち四人のため息に、驚きのあまり体をビクつかせるサザンカ(あげは)だった。

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