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手がかり

 食事処でお腹を満たした一行は、情報収集するために二手に別れた。


 組み分けは、サザンカ(あげは)オウカ(桜華)ヒスイ(翡翠)の三人と、オミ()レイ()の二組だ。


オミ()レイ()さんに依頼書の半分を渡すね!」


『地道な作業ですが……頑張りましょう』


「捜査は足からって言うし、絶対手がかり見つけよう!

それじゃ、レッツゴー!」


 サザンカ(あげは)は手に持っていた依頼書の冊子から用紙を数枚抜き取り、オミ()レイ()、それぞれに依頼書を渡した。


 サザンカ(あげは)の言葉に皆は軽く頷き、各々手がかりを掴むために依頼書に書かれている情報を頼りに依頼人のもとへと向かったのだった。


***


 サザンカ(あげは)達が聞き込みを始めて数時間。


日もすっかり落ちており、出来る範囲の聞き込みを終えたサザンカ(あげは)オウカ(桜華)達は、宿に戻る前に依頼のために必要そうな食事やエネルギー回復のためのポーションを市場で購入し、宿に戻った。


「ただいまー!!」


『あげは様、聞き込みお疲れ様でした!』


「皆もお疲れ様!」


『……僕、お風呂入ってくる……』


「うん!」


『それにしても……聞き込みの収穫……いまいちでしたわね……』


「うん……。

ライナーさんが言ってた通り、いなくなった場所も時間もバラバラ……」


 ヒスイ(翡翠)がお風呂に入り、サザンカ(あげは)オウカ(桜華)が日中に行った聞き込みの話をしていると、部屋の扉が開かれ、レイ()オミ()も戻ってきた。


 その二人の表情は少しだけ険しい表情をしていた。


「二人ともおかえり!

……って……何かあったの?」


『ただいま戻りました……』


『聞き込みだが……有力な情報がなくてな……』


「やっぱり、オミ()達のところも……」


『……ひとまず、皆が集めた情報を一度整理してみませんか?』


 オウカ(桜華)の言葉に、皆は広いベッドに依頼書や地図を広げてその周り集まった。


『そんじゃ……まずは俺たちの情報からな』


 そう言ったオミ()レイ()は、依頼書を見ながら、依頼人達から聞いた『いなくなった場所』を地図に書き記していった。


 オミ()達が書き終えると、今度はオウカ(桜華)が自分たちの集めた情報を地図に書き記した。


 そうして、情報を書き上げた地図を見たレイ()があることに気が付いた。


『これは……』


『なんか気付いたのか?』


『……いなくなった方々……この街の隣にあるウィスタードの周辺でいなくなってませんか……』


「たしかに……。

あの炭鉱の近くでもいなくなってる……」


『きっと、あげは様のようにこの依頼の全部を受ける方がいなかったので、このような情報も見逃されていたのですわね』


『……それじゃ、明日は実際に現場を見て回るんだね……』


 お風呂が済んだのか、濡れた髪をタオルで拭いながらヒスイ(翡翠)も会話に加わった。


「一応、ご飯とかエネルギー回復のためのポーションとか買ってあるから、そのまま出かけられるよ」


『用意がいいな。

まぁ、助かるが』


「ふっふっふ、昨日の私はもういない! これでも日々成長しているのだよ!」


『……成長が止まらないといいが……』


「何か言った?」


『いや、なんでもねぇ』


 サザンカ(あげは)オミ()が話している傍ら、レイ()は怪訝な表情を浮かべていた。


『……もしかしたらこの依頼……長くなるかもしれませんね』


『……それなら……この宿にもあまり戻らないかも?』


「なら……チェックアウトは明日にして、野営しながら依頼をこなそうよ」


 サザンカ(あげは)の言葉に皆が賛成した。

その後、皆は明日の準備をしたりお風呂を済ませベッドに入ったのだった。


***


 翌日。

荷造りを終えた一行は、宿をチェックアウトして、そのままの足で行方不明になったという地図上の現場に向かった。


 一か所目の現場に着いた一行だが、見渡す限り、特に変わった所は見て取れなかった。


「……特に変わった様子はないね……」


『はい……。

私のスキル(解析・鑑定)でも何もわからないです……』


『でも……なんだ? この臭い……。

どっかで嗅いだ気が……』


『これは……前にあげは様が持ってた花……なのでは?』


「私……花なんて持ってたっけ……」


『……姉さんが言ってる花って、ビナチアを探してる時に、あげは様が間違って持ってた花の事?』


『えぇ……微かにだけど……その花の臭いかなと……』


『……他の所も見てまわりましょう……』


 レイ()の言葉を聞いた皆は、足を動かして次の現場へと向かった。

その次の現場でも、また次の現場でも、微かにだが、オミ()たち狼が嗅ぎ取った臭いが残されていた。


「……もしかして……この臭いをたどれば、いなくなった人を見つけられるかも?」


『……はい……ですが、先にギルドに行って、ライナーさんから情報を頂きましょう。

あげは様が以前、間違えた花の情報を……』


『それじゃ、一度街に戻るか』


「あ、その前に……少し休憩してもいい? お腹空いちゃった……」


 サザンカ(あげは)の言葉に、宿を出てしばらく時間が経っていることを思い出した皆は、適当な木陰を見つけ、そこで食事をすることにした。

その中でサザンカ(あげは)はぼんやりと空を見上げていた。


「……」


『……あげは様? どうかされましたか?』


「……いなくなった人たち……どうしていなくなったのかな~……って」


『……何か……臭いますね……』


「え……私、また何かイヤな臭いする?」


『……レイ()の言葉はそういう意味じゃないと思う……』


『何か裏がありそうって事だろ』


『あげは様は普通にいい香りですよ。

オミ()ヒスイ(翡翠)の言う通りです。

あれだけの人がいなくなってるのに、手掛かりも少ない……それに謎の花の香り……何か……裏がありそうといいますか……』


「……裏があったとしても……皆無事だといいな……。

それと……伝道者さん……」


 サザンカ(あげは)は自分にしか聞こえないくらいの声の大きさで言葉をこぼしたのだが、狼である彼らは耳が良いため、その言葉を拾い上げた。


『伝道者……って……なんだ?』


「え……あ……えーっと……」


 ポツリとこぼした言葉を拾われた事に驚いたサザンカ(あげは)は、しどろもどろになりながらも、庁舎にいたロガーやクルト達から聞いた事をオミ()達に説明した。

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