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神々の住居(後編)

アマノミコト、ベロニカの住居を見終わった一行。


残るは、マツリカとサザンカの住まいだけとなり、ベロニカの住居の近くに創造したマツリカの住居から見る事になった。


「マツリカお姉様のお住まい、どんな感じなのか楽しみです!!」


「私の住まいは…まぁ、アマノ様やベロニカ姉様に比べたら、幾分か寂しい所よ。


…と言っている側から住居までの通路に着いたわ。」


サザンカが、キョロキョロと当たりを見渡しながらマツリカと話しながら歩いていると、どうやら住居までの通路に着いたらしい。


その風景は背の高い木や低木が多く並び、うっそうとした森と言う印象だ。


「……なんだか…雰囲気あるわね…。」


「静かな場所と言ったはずだわ。

奥はこちらです。」


マツリカの案内に、ベロニカだけでなくサザンカやアマノミコトも、目の前の風景に恐る恐る足を踏み入れた。


森の中へ入ると、外からではわからないが所々に陽の光が入り、薄暗い中にも神秘的な空間が広がっていた。


そうして奥へと進み、森を抜けた先でマツリカの足が止まり、皆もつられて足が止まる。


目の前の風景は、先程とは違って広々とした空間に一本の大きなツルの木がそびえ立ち、足元には雲が広がり、天には星が瞬き、そこだけ夜の世界が広がっていた。


だが、目の前の風景に住居らしき建物は見えず、皆は疑問の表情を浮かべた。


「また見事な風景だな…。


陽はなく、天空は暗い…なのに、不思議と真っ暗ではない…。

あの小さな星々が輝いて照らしているおかげだな…。


だが、マツリカ…住居が見当たらないようだが…。」


「アマノ様、住居なら目の前にありますわ。」


「……もしかしてお姉様…あの大きなツルの木が…住居ですか?」


「そうよ。


あの天に向かって伸びている大きなツルの木…近づいてみなきゃだけど、私達くらいの大きさの入り口があるのよ。


そうですわね…私の住居…天陸殿(あまくぬがでん)…てところかしら。」


マツリカの住居の説明にベロニカやアマノミコトは呆然とし、サザンカは小さな子どものように目を輝かせながら辺りを興味津々に見渡した。


「ベロニカお姉様のお住まいも素敵でしたが、こちらも素敵です!!


マツリカお姉様って感じで、知的な雰囲気のお住まいです!!


そうだ!!

この空間に、アマノ様が造ったあの大きな月を持って来ませんか?」


「それいいわね…アマノ様、どうでしょうか…。


公共の場の月は下界と同じような月が見られるとして、私の住居のこの空間は大きな月を常に見られるように…と思うのですが…。」


「我は構わぬぞ。


どれ、我が…。」


アマノミコトが風景を変える為、力を使おうと空に向かって手を伸ばした途端、サザンカに腕を掴まれ制止された。


「な、なんだ、サザンカ…急に我の腕を掴んで…。」


「アマノ様、風景の変更、私にさせてください!!」


「う、うむ…そういえば、先ほどは我が創造したせいで、サザンカの楽しみを奪ってしまったのだったな…すまぬ事をした。


ここはサザンカに任せよう。」


「ありがとうございます!!」


アマノミコトの許しをもらい、さらにマツリカにも確認を取り許しをもらったサザンカ。

では…と、一声発し、空に向かって手を伸ばし、自身のエネルギーと周りにあるエネルギーを使い、アマノミコトが造った月を消し、マツリカの住居空間に新たに大きな月を創造した。


サザンカは自身のエネルギーを使い果たしてしまったようだが、満足げな様子でいた。

マツリカも新たな風景に、納得した様子で笑みを浮かべ頷いた。


そんな二人の様子をベロニカやアマノミコトは顔を見合わせ、笑顔で見守っていた。


「いよいよ、次は最後!

私の住居にご案内します!!」


その場が落ち着き、サザンカは意気揚々とした様子で、自分の住居への案内を提案した。

サザンカの様子に皆の胸の内は期待が膨らみ、サザンカの住居に向かうべくマツリカの天陸殿(あまくぬがでん)を後にした。


サザンカの住居は姉やアマノミコトの住居から少し離れており、岩盤で出来た渓谷の間をひたすら歩いていた。


サザンカは鼻歌交じりでにこやかな笑顔を浮かべているが、後ろを歩く三人は次第に怪訝な表情へと変わっていった。


「サザンカ…本当に住居はこの辺りにあるのか?


殺風景な場所だが…。」


「ちゃんとお家ありますよ!もうすぐです!」


アマノミコトの言葉に答えながらサザンカは、目的地に向かって足を止める事なく進んだ。


渓谷の中を歩き始めてしばらくして、サザンカの足が止まり、後ろを歩いていた皆の足もつられて止まった。


どうやら住居に着いたようで、サザンカが満面の笑みで両手を広げて指し示すのだが、皆は想像とは違う光景に言葉を失った。


「…あの…サザンカ?

これは…家?」


「?

ちゃんとした家ですよ、マツリカお姉様!」


「いやいやいや!

これが家って…どうみても洞窟じゃないのよ!!


サザンカちゃん、冬眠する気?!

すごく楽しそうにしていたからてっきり、地球のどこかの家みたいに立派な(たたず)まいだと思っていたのに、洞窟って…。


洞窟に住みたいと思う女子がどこにいるのよ!」


「ここにいますわ、姉様。

女神要素…ゼロ…。」


「そうでしょうか?

鍾乳石(しょうにゅうせき)で出来ているので涼しくて快適ですよ。


中はもっとすごいので、中も案内しますね!!」


少し呆れた表情を見せるベロニカやマツリカ、アマノミコトとは反対にサザンカは、すごく楽しそうに家だと言う洞窟の中へと皆を導いた。


サザンカに案内され、洞窟の中へ入ると、外見からは想像がつかない空間が広がっていた。

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