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規格外過ぎて

 サザンカ(あげは)が食事をしている捕らわれ人達と会話をしていると、地下牢の入り口の扉が開かれ、街の外に置いてきたオミ()達が聴取担当のロガーと一緒に地下牢に入ってきた。


 その際、ロガー達は地下牢の廊下の真ん中で食事をしている光景を見て、ぽかんと口を開けてその場に立ち尽くしたのだった。


「えっと……これはどういう状況だ?」


「あ、ロガーさん! お疲れ様です!

オミ()達も、無事でよかった!」


『お……おぅ……』


『……この状況は……あげは様ですね?』


「えっへへ~、レイ()さん正解!

皆お腹空いてるみたいだったから、ご飯にしようってお誘いしたの!

皆も食べる? お昼まだだよね?」


『い、いえ……今は……』


「そう?」


『……お誘いって……ぶっ……ふははっ……おま……マジか……も、無理……くくっ……』


オミ()様が珍しくお腹を抱えて笑っていますわ……』


『……たしかに……こんなオミ()はあまり見ないね……』


 サザンカ(あげは)の言葉に、珍しくお腹を抱えながらも笑いをこらえてるオミ()を見たオウカ(桜華)ヒスイ(翡翠)は目を丸くしており、レイ()に至っては、呆れたようにため息をついている。


 その様子を見たロガーでさえ、呆れた表情を浮かべた。


「はぁ……本当に無茶苦茶な嬢ちゃんだな……。

こんな捕らわれ人は初めてだよ。

そんな嬢ちゃんに朗報だ。


連れてきた嬢ちゃんの仲間やギルドマスターのライナーが、嬢ちゃんが危険人物じゃないって証言したよ。

それで手続きも済ませて晴れて釈放だ」


「そうなんですか?! やったーー!! ありがとう、皆!!」


『わたくし達は証言をしただけで、主に動いてくれたのはギルドマスターさんですわ』


「そっか……それじゃぁ、後でギルドに寄らなきゃだね! お礼を言わなきゃ!」


『それなら、ちょうどギルドに来るように言われていますので、この後行きますよ』


「わかった! あ!その前に、私が使ってた部屋を元に戻さなきゃ!」


『……部屋?』


「そう! 部屋! それと、ロガーさん!私が使っていた部屋……もとい、牢屋に当面の食材を置いておきますので、この庁舎で好きに使ってください!」


「お、おぉ……」


「おい、ロガー、ここに来てお前も食べてみろよ!

嬢ちゃんが作ってくれた料理、すっごくうまいぞ!」


 ロガーは他の隊員に、料理が盛られた器を手渡され、大鍋の周りに誘われていった。


 サザンカ(あげは)はというと、宣言したとおりに自分が使っていた牢に足を向けた。

その際、笑いが治まったオミ()を含む皆もサザンカ(あげは)の後を付いて行った。


 サザンカ(あげは)が使っていた牢に着くなり、サザンカ(あげは)は軽い足取りで牢に入ったが、オミ()達は牢の前で再び足をピタリと止め、その場で唖然とした。


『ここは……本当に地下牢ですの?』


『……すごい装飾……』


『これも……あげはが?』


『ここまでとは……ふっ……ふふっ……』


『今度はレイ()が笑いをこらえてますわ……』


『……抑えきれてないけどね……』


「この部屋……そんなに変かな?」


『変とかじゃねぇ……お前が規格外過ぎなんだよ……』


「え~……そんな事言われても、私、もともと洞窟に住んでたし……。

既視感があって居心地いい空間にしただけなんだけどな……」


『女神様が……洞窟住まい……ふふっ……』


「あ……レイ()さんの笑いのツボはそこなんだ……。

とりあえず……この場を戻して、食材も置いとこう……」


 そう言ったサザンカ(あげは)は、創造した物達を魔法で元に戻していった。

そしてアイテムボックスから再び食材を出して牢屋いっぱいに詰め込んだのだった。


「よし、これでしばらくは大丈夫かな!

アイテムボックスと神界の通路ももう閉じるし、これで思い残す事はもうないね!」


『それでは、参りましょうか』


「うん!」


 オウカ(桜華)の言葉に勢いよく頷いたサザンカ(あげは)は、ロガー達のいる大鍋に近づいた。

そして大鍋と先ほどまで使っていた調理場に、牢屋の中で使った魔法をかけた。


「ロガーさん! 他の隊員さん達も、お世話になりました!

この大鍋と調理場……時間が経てば消えますので、そのまま置いてても大丈夫です!」


「消えるって……嬢ちゃん……本当にいったい、何者なんだ……」


「企業秘密です!」


「……そうか……わかった……」


「あ、それと……ロガーさん、クルトさん! 絶対、願ってくださいね!」


「あげはちゃん……うん! 今すぐにでも願うよ!」


「……まぁ……そうだな……そこまで言うなら……」


 サザンカ(あげは)の言葉にクルトは、顔を引き締めながら胸に拳を軽く当て、目を閉じた。

ロガーはというと、乗り気ではない様子だが、クルトと同じように拳を胸に当て、目を閉じた。


 祈りが終わった二人はそっと目を開け、自分の拳や体を見たり、辺りを見渡した。


「……何も……変化が起こったように見えないが……失敗か?」


「そう早くに叶わないんじゃ……」


「それもそうか……」


「でも……俺は、空腹が起こってないような気が……」


「さっきまで飯を食ってたからだろ……。

ま、様子をみるしかないな……。

嬢ちゃん、ありがとうな」


「ふふっ、はい! 結果をお楽しみあれ……です!

それじゃ、皆さん、ありがとうございました!!

もう悪さしてこの地下牢に来ちゃダメですよ~~!!」


「嬢ちゃんもな~~!!」


「飯、ありがとうな!!」


 サザンカ(あげは)は、地下牢にいる皆に手を振りながらその場をあとにした。

地下牢にいる皆もまた、サザンカ(あげは)にご飯のお礼を告げ、手を振り返したのだった。


 庁舎をあとにしたサザンカ(あげは)達はさっそくギルドに向かった。


 ギルドに着いた一行は、受付で手続きをしてギルドマスターのライナーを待った。

しばらくすると、一行のもとにライナーが現れ、ギルド内の中庭に案内された。


 一行が中庭に着くと大勢の人が集まっており、その光景に最も目を見開いたのはサザンカ(あげは)だった。


「こ……これは……」


「まぁ……なんだ……嬢ちゃんを疑った冒険者の皆だ……。

俺が叱ったというのもあるが……中には嬢ちゃんに感謝している者もいてな……。

一言謝りたいとこうして集まったんだ……」


「……そんな事はいいんです……。

それよりも、どうして皆さん、頭を地面に下げてるのですか……」


 サザンカ(あげは)が目を見開いた光景。

それは、中庭に集まっていた冒険者の皆が頭を地面に伏せ、おでこを地面につけている。

いわば、土下座状態だったのだ。

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