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取調室の次は……

 取調室にて軽食を頬張りながら、警備隊員、取調室担当のロガーの話を聞いたサザンカ(あげは)


 スキルが使えなくなったというロガーに、当時の状況をさらに詳しく聞こうと、本人に説明を促した。

ロガーは、そのサザンカ(あげは)の言葉に、腕を組み、少しうつむき加減で過去を思い出しながらポツリポツリと話し出したのだった。


「……あの時は……そうだなぁ……俺がまだ警備隊に入る前だ……。

これでも一応、冒険者をしていたんだ……」


 当時、冒険者だったと言うロガー。

仲間たちといつものように依頼を受けて、魔物の討伐に出た日の事。

その日に受けた討伐の魔物がなかなか手ごわい相手だったらしく、ロガーを含め、仲間たちは全部の力を出し切ってようやく魔物を退治したというのだ。


「あの~……。

ロガーさんも、その戦いでエネルギーを出し切ったのですか?」


「あぁ……そうだ……。

じゃないと倒せなかったからな……。

その後だよ……問題のスキルを使えなくなったというのは……」


「それ……ただ単にエネルギー切れでスキルが使えなかったんだと思います……。

(でも……それだけじゃない……。

使う事が出来るスキル判別で見たら、ロガーさんのスキルの中に『魔法・スキル無効化』が入ってる……)」


 建物に結界が張られているとはいえ、『スキル判別』を発動できたサザンカ(あげは)は、ロガーのスキルの中に『魔法・スキル無効化』が入っているのを見つけた。


「エネルギー切れ?

それじゃぁ……魔法も……そのせいで?」


「はい……。

魔法やスキルはエネルギーがあるから使えるので……そのエネルギーを使い過ぎると、どちらも使えなくなります……」


「だが……二、三日続けて使えなかったんだぞ……」


「それは……エネルギーの回復に個人差があるので……。

ロガーさんは、エネルギー回復に時間がかかる体質なんだと思います……」


「そんな……。

それじゃぁ……もう少し待っていれば……。

なのに俺は……伝道者とかいう怪しい奴の言葉を信じて神に願ったのか……」


「その伝道者の方と会ってから本格的に魔法やスキルが使えなくなったのですね……。

(……その伝道者さんが原因?)」


「……はぁ……」


 自分の過去を話し終え、違う選択をしていたら、違った未来があったかもしれない。

そんな事が頭をよぎったロガーは、ため息を一つ吐き、下をうつむいたまま顔を上げようとしなかった。


 そんなロガーを前にサザンカ(あげは)は、食べ終わった食事に両手を合わせて笑顔を浮かべながら立ち上がった。


「(ロガーさんをなんとかするためには!)

あの、ロガーさん!!

話は変わって、私が街にとって危険な人物じゃないってわかるまで、どこかに閉じ込めてください!!」


「……嬢ちゃん……自分が何を言ってるのかわかっているのか?」


「もちろんです!

どこかに閉じ込められたいんです!!

それと……神様の事、信じてみてくれませんか」


「……いるもんなら……」


「います!! 神様も、女神様も!!

どちらもいます!! だから、もう一度!!

スキルが使えるようになりたいのなら、願いませんか!

こんどは私が、保証します!!」


 サザンカ(あげは)は机に身を乗り出す勢いでロガーに詰め寄り、そののち、自身の胸に手を当て、まっすぐにロガーを見つめ、自信満々な姿勢を見せた。


「……嬢ちゃん……変わった奴だな……。

閉じ込めてと言ったり、神を信じろと言ったり……むちゃくちゃだ……」


「えっへへ~~、よく言われます!!」


「……そうか。

……嬢ちゃんの願いを聞くとしたら……この建物の地下に牢屋がある。

そこに『閉じ込める』……でいいか?」


「かまいません!!

きっと……私の仲間が正規の方法で助けてくれると思うので!!」


「……信頼しているんだな……。

なら……地下牢に案内しよう……」


 覇気がなく、いまだに調子を取り戻さないロガーとは対象に、サザンカ(あげは)は軽い足取りでロガーの後を付いていきながら、地下牢に向かって歩き出した。


 ロガーの案内で階段を降りる事数分。

二人は大きな鉄の扉の前で止まった。

ロガーが扉の鍵を探すためだ。


「ここが……地下牢……。

入り口の扉……大きい……」


「……怖じ気づいたんなら、帰ってもいいんだぞ……」


「いえ! 帰りません!!」


「……そうか……」


 サザンカ(あげは)が、目の前の扉の大きさに固唾(かたず)を飲むと、扉の向こうから何やら不気味な音が聞こえた。

人の唸り声のような、はたまた大男のいびきのような、そんな誰の何とも言えない音だ。


 その聞こえてきた音に少しだけ足がすくむサザンカ(あげは)だが、ロガーは気にする様子もなく鍵を探し出し、扉を開けて中へ入っていった。


 すくむ足をどうにか動かし、再びロガーの後をついていくサザンカ(あげは)


 二人が入った地下牢は、左右にいくつもの洞窟があり、その洞窟に(おり)がついただけの簡易な作りだった。

牢屋の数は見える範囲で左右に十か所は見え、さらに奥にも続いていた。


「すごい奥行……。

廊下も広いですし……」


「見た目は簡素な作りだが、ここも結界のおかげで物理攻撃は効かないし、魔法も使えない。

エネルギーは使えるがな……」


「え……。

魔法は使えないのに、エネルギーは使えるんですか?

それじゃぁ、スキルは……」


「スキルを使ったところで、魔法ほど攻撃性のあるものはないからな。

エネルギーだけは使える。

地下牢含めてこの建物全体がそういう造りだ」


「えー……。

(それは……牢屋の意味あるのかな?

まぁ……私には好都合だけど……)」


 二人が広く長い廊下をしばらく歩くと、ロガーの足がある牢屋の前で止まった。

入り口から数えて十二番目くらいの場所だ。

この牢屋に来るまでに、サザンカ(あげは)はきょろきょろと辺りを見渡していたが、どうやら全部の牢に人がいるようだ。


「さ、ここが嬢ちゃんにしばらくいてもらう牢屋だ。

一応、警備隊が何人か牢屋の前を巡回しているから、帰りたくなったり、何かあれば呼んでくれ」


「わかりました! お世話になります!

それと……やっぱり、神様……もう一度信じてみてください!

きっと、魔法も……スキルも……使えるようになりますから!」


「……。

本当に変わった嬢ちゃんだな……。

まぁ……気が向いたらな……」


「はい!!」


 浮かない表情のロガーに満面の笑みを見せるサザンカ(あげは)


 そんなサザンカ(あげは)にロガーは呆れながらため息を吐き、牢屋の中に入るように促して、サザンカ(あげは)が牢屋の中に入ると、(おり)の鍵を閉めたのだった。

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