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取調室にて……

 サザンカ(あげは)の強さに疑問を持った冒険者によって、街の警備隊の庁舎に連れてこられたサザンカ(あげは)


 サザンカ(あげは)を担いでいた冒険者である大男の説明を受けたパーソン族の警備隊は、大男から解放されたサザンカ(あげは)の手首を軽くロープで縛り、庁舎の取調室に案内した。

そしてそのまま二人して、部屋の中にある机に向かい合って座った。


 仕事のため、警備隊の表情が真面目なのはわかる事だが、珍しくサザンカ(あげは)の表情も、引き締まった真面目な表情をしている。


「改めて、俺はここの聴取担当をしているロガーだ、よろしくな」


「私は冒険者をしているあげはと言います。

よろしくお願いします」


「一応、この建物は全体的に結界が張ってある。

魔法は使えないし、逃げれるスキルとか、人や建物に害を与えるスキルは結界のおかげで無効化されるからな。


さて、嬢ちゃん……さっきの冒険者からの話は本当か?

魔物の黒いオーラを浄化して、風魔法の竜巻で魔物を一掃したというのは」


「……間違いありません……

(影隠れは使えないんだね……使うつもりはないけど……。

でも、他のスキルは? 害がないスキルは使えるという事?)」


「嬢ちゃんは……魔女なのかい?」


「それは断じて違います」


「なら……なぜそんなにも強い?

魔物のオーラを消す奴なんて今までいなかったんだ。

退却させるのが精一杯で……。


前に一度、勇者が倒したと聞いた事があるが、それ以降は倒したと報告がないんだよ……。

だから、オーラを浄化させる……という神がかった事が皆、信じられないのさ」


「……スキルは……神のご加護……としか……。

どこかでスキル付与の女神様が下界を見ていて……オーラがある魔物と戦えるようにスキルを付与したとしか……。

強さに関しては……武器屋のヴォルフさんの所で買ったんです」


 サザンカ(あげは)は冒険者たちに見せたように、警備隊のロガーにも扇子を見せた。


 ロガーは扇子を受け取るなり、まじまじと扇子を見つめ、何度か頷き、納得したような表情でサザンカ(あげは)に扇子を返した。


「なるほどな……強さの事はわかった。

魔法石がはめ込まれて、質も良い……良い武器だと言うのがわかる。


だが、スキルは女神様がどこかで……か……。

まぁ、神のする事だ……ありえる事かもしれないが……。

嬢ちゃんには悪いが、俺は神を信じていないんだ……」


「……それは……何か……理由があったりするんですか?」


「……それはだな……」


 サザンカ(あげは)の問いにロガーは腕組をして、うつむきながら話し始めた。

……のだが。


(ぐ~~きゅるるるるる、きゅぴ~~~……ぐっ……)


「……」


「……」


 突如聞こえた音に二人して沈黙になった。

しばらくの沈黙の後、盛大に声に出して笑ったのはロガーの方だった。


「いや……すまん……ふっ……くくっ……すごい音だな……くっ……」


「す……すみません……。

運動した後なので、お腹空いちゃって……」


 サザンカ(あげは)は、自分のお腹が鳴ったことに顔を真っ赤にしながら、お腹を両手で押さえた。


「こんな嬢ちゃんがウソをつきそうにないな。

何か食事を頼もう」


「あ……いえ、お構いなく……」


「いやいや、軽食でも頼むよ」


 そう言ってロガーは、一度部屋の外に出て数分後にまた戻ってきた。

その表情は緊張が解けたのか、引き締めていた表情から穏やかな表情を浮かべていた。


 今の取調室の空気は最初の頃と打って変わって幾分か和やかなものになっている。


「すぐ出来るからもう少しの辛抱だ。

それで、どこまで話したかな……」


「えっと……神様を信じていない理由……です」


「そうだったな……。

俺は……スキルが使えないんだ……」


「え……」


 ロガーは少し寂しそうに自分の過去を話し始めた。

もともとは肉体強化と火魔法を持っていたのだが、それらを使っていくうちに、いつしかスキルが使えなくなってしまい、またスキルが使えるようにと神頼みに行ったら、その日から一切、スキルを使えなくなった事を話した。


「その神頼みって、女神像があったヴィリオの街ですか?」


「いや……なんでも、サザンカ様の伝道者……という奴が、以前この街に来た事があってな」


「え?! なんですかそれ?!」


 ロガーの話す内容に聞き覚えのないサザンカ(あげは)は、ひどく驚いた表情で座っていた椅子から飛び上がった。

その拍子に倒れた椅子や、サザンカ(あげは)の様子にロガーもまた、ひどく驚いた顔をした。


 その時、部屋のドアがノックされ、他の警備隊員が軽食を持ってきたのだった。

その警備隊員は、部屋の状況を見て、軽食を置くなり、そそくさと気まずそうに腰を低くしながら部屋を出て行った。


 再び沈黙になる室内だったが、先に言葉を発したのはサザンカ(あげは)だった。


「急に大声を出してすみません……。

ご飯も……ありがとうございます……」


 そう言いながらサザンカ(あげは)は、自身が倒した椅子を立て、座りなおした。

そうして両手を合わせて挨拶すると、縛られたままの両手で軽食のパンとスープを食べ始めた。


 それを見たロガーが、サザンカ(あげは)の手に縛られていたロープをほどいた。


「……いいんですか? ロープ……」


「あぁ、嬢ちゃんはここを振り切って逃げるようないかつい奴に見えないし、魔法も使えないしな。

それにしても……どうしたんだ、急に立ち上がって……」


「い、いえ……サザンカ様の伝道者って、初めて聞いたので……」


「そうか。

だが、最近は伝道者を名乗る輩が多いんだ……。

中にはインチキだという奴もいて……俺もその一人だ……。


最近ではサザンカ様の存在自体が伝説やら言い伝えだと思う奴も多い……。

願ったところで望みを叶えてくれない……だから、神を信じるのをやめたのさ……」


「そうなんですね……。

ちなみに、そのスキルが使えなくなった時の状況、もう少し詳しく教えてください」


 サザンカ(あげは)の言葉に疑問に思いながらも、再び腕を組み、うつむいて過去の事を一つ一つ思い出しながらゆっくりと話し始めたロガー。

その際、サザンカ(あげは)は自身のスキル『スキル判別』を発動させた。

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