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ずっと気になってたの

 武器屋の店主、ヴォルフに案内され、店の奥の鍜治場に来たサザンカ(あげは)達。


 ヴォルフの言葉を聞き、彼が指し示す作業台に、サザンカ(あげは)を筆頭に武器を置いていったのだった。


「……」


『……これで全部だよ……』


『どんな風に火力を上げるんだ?』


『火力は基本、エネルギーの量で調節しますが、この場合、どのように上げるのでしょうか……』


『たしかに……見当がつきませんわね……』


 武器を作業台に置いた皆が、疑問の表情を浮かべ、ヴォルフに投げかけている傍ら、サザンカ(あげは)は一人、あごに手を添え、考え事をしていた。


『あげは様? どうかされましたか?』


『……さっきから何かをすごく考えてる……』


「やっぱり……改装費とか、武器の代金か?」


「私……ずっと気になっていたんだけど……。

ヴォルフさんの種類を考えていたの……」


『『『……え?』』』


「しゅ、種類?」


「はい……種類……。

ほら、犬さんにも種類があるように、ウサギさんにも種類があるでしょ?

ヴォルフさんの種類は何かな~……ってずっと疑問だったんです」


 サザンカ(あげは)の言葉に皆が唖然とする中、当の本人はというと、よほど知りたかったのか、至って真面目な表情だ。


『……珍しく考え込んでると思ったら、そんな事かよ……』


「……ネザーランドドワーフって言うんだが……」


『お耳がピンと立っている種族ですね……』


「あ! だからドワーフみたいに、鍛冶に長けているのですね!」


『……鍛冶と種類に関係はないと思うけど……』


「この少年の言う通りだ。

俺は亜人の中ではダメな方だった……。

亜人はマツリカ様の眷族……裏工作や知識に長けているが、俺はその分野に(うと)くてな……とりえも何もなかったんだ……。

そんなある日、突然、俺の体が光ったんだ。


何か悪い事なのかと神殿に行ってみたら、スキルが付与されている事を知ったんだ。

それを活かして今に至るわけだ」


「神殿に行くと、何のスキルが付与されてるかわかるの?」


『えぇ、神殿の水晶が教えてくれます。

オウト(桜都)の魔法、スキル研究会と賢者様の知恵のおかげですわ。

ただし、水晶が教えてくれた内容は、本人しかわかりませんの。

本人の脳内に直接流れ込んでくる仕様ですわ』


「そうなんだ。

(下界の人達に付与したスキル判別や能力確認は、個人のみを見る用で付与したから、きっとそのスキル達を研究している時に水晶で見れるようにしたんだなぁ。

賢者のスキルすごい……)」


「このスキルのおかげで俺にも希望が見えたんだ。


さ、嬢ちゃんの疑問も晴れた事だし、さっそく仕事にかかる。

嬢ちゃん達の得意な魔法はなんだ?

俺の鍛冶スキルでその魔法をこの武器たちに施す。


と言っても、魔法石をはめ込むだけだが……」


「魔法石? そういえば、さっきも扇子に魔法石がはめ込まれているって……」


 ヴォルフの魔法石という言葉に、造った覚えのないサザンカ(あげは)は、再び疑問の表情を浮かべ、ヴォルフに問いかけた。


 サザンカ(あげは)の疑問に答えるべく、ヴォルフは鍜治場に備え付けられている戸棚を開き、いくつか魔法石を用いてサザンカ(あげは)に見せた。

ヴォルフが見せたその魔法石は、薄いピンク色や赤色、緑色など、様々な色をしていた。


「これが魔法石だ」


「すごい……いろんな色があってキレイ……」


「どうしてか、オウト(桜都)の桜の木の下でよく採れるんだ。

始めはこの透明な石だが、自分の持ってる魔法をこの透明な石に流すイメージをすると、石が変色して魔法が込められるんだ。


嬢ちゃんに渡したさっきのリストバンドの布……あれは、この何も入ってない透明な魔法石を砕いたものを繊維にして作ったものだ。

どういう訳か、この透明な石を持つと、エネルギーが一定になるんだよ」


「……。

(ヴォルフさんが透明って言ってる魔法石……薄いピンク色なんだけど……。

あの桜の木がエネルギーの塊って知らないから……かな。

桜の木に付与した循環のスキルが、石にも少なからず影響していて、エネルギーが一定になるのかな……)」


 オウト(桜都)の桜の木の下で採取されるという魔法石。

それは、桜の木がエネルギーの塊であるがために、微量ながらに木から漏れ出たエネルギーが長い年月を経て石となっているのだろう。


その過程で、桜の木に付与したスキルが少なからずエネルギーに溶け込み、魔法石となって世に出たとサザンカ(あげは)は考えた。


 魔法石の説明を終えたヴォルフは、再び皆に持っている魔法を聞きだした。


 ヴォルフの問いに、サザンカ(あげは)以外の面々は自分の持っている魔法を伝えた。


「……兄ちゃん達の魔法はわかったが……嬢ちゃんは魔法はないのかい?」


「え~っと……一応、魔導士ですが……風魔法とかの自然魔法は持ってなくて……エネルギーが少しだけ多くて……う~ん……」


『あげは様は駆け出しの魔導士なのですが、自然系の魔法を持ち合わせておりません。

その代わり、エネルギー量が他の者と比べると少々多いのと、治癒スキルや隠密のスキルを持っています』


 頭を抱えながら説明しづらい様子をみせたサザンカ(あげは)の代わりに、レイ()が説明できる範囲で説明をした。

そのレイ()の説明に、納得したような顔をして頷いたヴォルフ。


「ふ~む……なるほどな……。

まぁ……エネルギー量は多いが、魔法を持たずにスキルのみを持っている者は大勢いるから、珍しい事でもないが……。


そうか、なら……やはり、この扇子とリストバンドを渡そう。

だが、この武器たちはこれ以上何も施せねぇ……」


「大丈夫ですよ!

私は今のままで十分です!

だけど、オミ()達の武器は、これからもっと戦いやすいように改造してあげてください!」


「嬢ちゃんは……皆に等しく優しいな……。

俺も、その熱意に応えよう!

職人としての腕がなるぜ!」


 サザンカ(あげは)の勢いのある言葉を受けたヴォルフは、職人としての自信が戻ったのか、最初に会った頃とは別人のように振舞った。


 ヴォルフは腕まくりをしながら、オミ()達から聞いた魔法とそれに合うように魔法石を選び、さらには彼らが選んだ武器を手に取り、スキルを使いながら作業に入った。


 スキルや経験のおかげか、その手さばきはさすがともいえるだろう。

無駄な動きはなく、一つ、また一つと、魔法石を加工し、持ち手の邪魔にならないように武器にはめていった。

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