ただいま、ギルド
サザンカがスキルと創造を使って、癒しの力を含んだ雨を街に降らし終えると、傷が感知した街人達によって街の中は歓喜の渦に包まれた。
その光景を遠目に見たサザンカは、満足そうに笑みを浮かべていた。
事を見守った皆は、ルーベルの街に戻るべく踵を返した。
それと同時に亜人の青年に再び腕を掴まれたサザンカ。
『あの……。
あなた様は? どうしてそのような力が……』
「……ただの……冒険者です……。
魔導士として力を持ってるだけです」
『そう……でしたか……。
賢者様がいろいろ知っていて……今では魔法やスキルの研究が進んでいますからね……。
数は少ないですが、そのようなお力を持っていてもおかしくない……。
引き留めてすみません……。
僕や、街の人達の傷を治してくださりありがとうございました……』
「いえ……出来る事をしただけですよ。
それでは、またどこかで……」
サザンカは挨拶を早々に済ませ、再び踵を返してオミ達とともにルーベルの街を目指して歩いたのだった。
『……あげは様……人々の傷を治したのはいいとして……街の建物は直さなくてよかったのですか?
あげは様は建物を直せる力もお持ちですよね?』
「うん……オウカの言う通り、直そうと思えば直せたよ……。
でも……マツリカお姉さまの言葉が浮かんで……。
『自分の足で……』って言葉……。
きっと……私が直してしまったら街の人達が今後、自分の足で生きていく……それが出来なくなると思ったの……」
『力に頼りすぎるな……って事ですね。
マツリカ様は、本当に厳しくも優しいのですね』
話しながらも歩みを止める事なく進み、一行はルーベルの街に戻って来る事が出来、そのままギルドに足を運んだ。
「ただいま戻りましたーー!!」
『……やっとギルドに戻ってこれた……』
『早く報告を済ませてしまいましょう』
ギルドに着いたところでレイが受付に行き、ギルドマスターに合わせてもらえるように交渉した。
受付嬢にその場で待つように言われ、しばらく待っていると、ギルドマスターのライナーが受付に顔を出した。
『お疲れさん。
えらい時間かかったようだが……やはりてこずったか?』
「いえ! 討伐はすぐに終わりました!
ちょっと寄り道してたんです!」
『寄り道?
そうか……無事ならいいんだ』
『にしても人が悪いぜ、ギルドマスターさんよ。
炭鉱内にスゲー数が住み着いてやがったんだぜ』
『なんだと……。
報告では二、三匹のはずで、魔法も物理も効かないから、みんな依頼を受けたがらなかったんだ。
手練れの魔導士や冒険者なら戦えるだろうが、あいにく、今この街にはいなくてな……』
ギルドマスターの言葉に皆は顔を見合わせた。
『……という事は……炭鉱内で数が増えたんだな……』
『そういう事になりますね……』
『ま、討伐出来たならよかったよ。
依頼を受けてくれてありがとうな。
買い取り価格も合わせて報酬もそれなりにはずむぞ。
んで、何匹いたんだ?』
「……三十匹ほど……」
『なにーー?!
と、とりあえず、ジークの所に持っていこう、話はそれからだ』
ギルドマスターのライナーは顔を引きつらせながら、慌てた様子でサザンカ達を買い取りカウンターの奥に促した。
買い取りカウンターの奥に移動したサザンカ達は、さっそく討伐したガイラドラゴンを全てアイテムボックスから取り出し、買い取り屋のジークとギルドマスターのライナーに見せた。
サザンカが取り出した魔物を見て、さらに顔を引きつらせる二人。
『一度にこんなに多くのガイラドラゴンを見るのは初めてだ……』
『あぁ……俺もだ……。
さて……報酬の話がこんな所で悪いが、早々に済ませよう。
このガイラドラゴンの件や、炭鉱の件でいろいろ後が詰まってるからな。
報酬だが、もともと金貨15枚の予定だ。
炭鉱の利便を考えての報酬だな。
それに上乗せで金貨5枚……さらに買い取りで一体につき金貨7枚……それが三十体だな。
トータル、金貨230枚ってところだな』
『やべぇ……俺……明日死ぬのか?
こんな大金見た事ねぇよ……』
『前のファークバイソンと合わせて金貨500枚ほど……。
すごいですわね……』
『……ちなみに、どうしてこんなに値がつくのですか?』
『ガイラドラゴンのウロコは見た目に反して軽い素材でな。
通常の防具に比べて軽くて耐性の高い防具として加工されて、ちょっとした高級品なんだ。
それに、防具だけじゃなくて、皮は染色がしやすくて財布やカバンにも加工されてな。
それらは貴族に人気なんだよ』
「……そんなにすごい魔物だったんだ……」
『ま、なんにせよ、前の買い取りの分も合わせて金を用意するから、時間がいる。
……そうだな……三日後に来てくれないか。
それと、ランクも上げとくよ。
これでしばらく期間が延長されるだろ』
『わかりました……では、三日後に。
皆、参りましょう、やる事はまだまだありますから』
『……そうだね。
僕、お腹空いた……』
「……私も……」
『んじゃ、まずは飯だなー』
報告や買い取りの話がまとまり、後の事をライナーに任せたサザンカ達は、ギルドから出て、腹ごしらえをするために食堂を目指して街中を散策するのだった。




