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いざ、炭鉱へ!

 サザンカ(あげは)が勢いよくギルドを飛び出し、問題の炭鉱へと一人、足を運ぼうと街を出た。


 そこへ、サザンカ(あげは)の匂いを追って、どうにかに追いついたオミ()達。


『あげは様~~!! やっと……追いつきましたわ……』


「あ! オウカ(桜華)達!

ごめんね、また置いてっちゃった!!」


『……あげは様、本当に反省してる?』


「ヒ、ヒスイ(翡翠)……本当にごめんね……」


『なぁ……あげはに首輪をつけてもいいか?』


「それは勘弁してください。

それより、今のオミ()達に付けないとじゃない?

だって、皆、狼の姿だし……」


『誰のせいで今、こんな格好をしてると思ってんだ!

お前に追いつくためだろうが!!』


「ひぃ~~、ごめんなさい~~」


『ったく……んで?

その問題の炭鉱はどこだ?』


『あげは様、地図を見せて頂けますか』


レイ()さん、どうぞ」


 アイテムボックスから地図を取り出し、レイ()に見せたサザンカ(あげは)


 レイ()が地図を読み取り、皆でさっそく炭鉱に向かう事にした。


『炭鉱は、この辺……でしょうか……。

山のふもと……って感じですね……』


『地図によりますと……この先ですね』


 地図を頼りに炭鉱にたどり着いた一行は、辺りを警戒しながらも炭鉱内に足を踏み入れた。


「そういえば、オミ()達はこのまま狼の姿でいるの?」


『まぁ、たまにはこの姿で戦いたいしな』


『この姿は小回りが利く時がありますから』


「そうなんだぁ」


『……この奥……気配がする……』


 ヒスイ(翡翠)の言葉とともに、話しながら歩いていた皆は話すのをやめ、歩く速度を落とし、先ほどよりも警戒を強めて奥へと進んだ。


 皆が奥に進むと、広い空間にたどり着いた。

 その広い空間には、奥に通じる道や所々光り輝く壁や岩がいくつも存在しており、その真ん中に大きいトカゲ型の魔物がいた。


『あれがギルドマスターさんが言っていたガイラドラゴンですわね』


『……なんか……くつろいでる……』


「……じっとしていても(らち)が明かない! 私、行ってくる!」


『また一人で!

様子見るとかねぇのか!

ほんっと落ち着きねぇな!』


『……致し方ありません……。

ヒスイ(翡翠)、あげは様に結界魔法をお願いします』


『……わかった……』


 サザンカ(あげは)が一人魔物に向かって飛び出したのを見て、オミ()オウカ(桜華)も飛び出し、レイ()は遠距離で攻撃が出来るように身構え、ヒスイ(翡翠)レイ()の言葉に従ってサザンカ(あげは)に結界魔法を施した。


 サザンカ(あげは)の急な飛び出しに、くつろいでいた魔物は飛び起き、戦闘態勢に入り、サザンカ(あげは)達を威嚇(いかく)した。


 サザンカ(あげは)が敵に向かって剣を構えると、すかさずオミ()サザンカ(あげは)の前に立ちはだかり、サザンカ(あげは)の行動を阻止(そし)した。


 そしてオウカ(桜華)サザンカ(あげは)を守るため、サザンカ(あげは)の前に立ちはだかった。


『おい、あげは、こんな所で力を使うな!

この炭鉱が崩れて俺達まで下敷きになっちまう!

お前はそこで戦い方を見てろ!』


『あげは様はわたくしがお守りします!

わたくしの後ろから動かないでください!』


「そういえば、ギルドマスターのライナーさんが、魔法も物理も効かないって言ってたけど、どうやって戦うの?」


『こういうやつは……こうやって戦うんだ!』


 オミ()は敵に向かって、風魔法を放ったり、距離を取ったりしながら攻防を繰り返した。


 そんな中、敵が攻撃を繰り出そうと口を大きく開けた。


 それを逆手に取ったオミ()は、開けた口の中に少し強めに火魔法を放った。


『魔法も物理も効かないって事は、外からの攻撃はダメだが、さすがに中は弱いだろ!

これで、どうだ!!』


 オミ()の読み通り、内部は弱かったらしく、火魔法を体内に受けた敵は、口から煙を吐き出してその場に倒れた。


「なんだ、案外あっけなかったね。

あれなら、私でも倒せたかも!」


『やめろ、この場所が崩壊する。


とりあえず、敵を倒すには相手の弱点とか、間合いとか、空間を利用するんだよ。

それに、効かないってわかってても、あえて攻撃をして隙を作ったりもする。


なんでもかんでも飛び込めばいいってもんじゃねぇの。

わかったか?』


「……。

わかった!!」


『……今の間はなんだ? 本当にわかったのかよ……』


『何はともあれ、討伐完了という事で、この魔物をギルドに持っていきましょう』


『……これくらいの魔物なら、普通の冒険者だけでも倒せたはずなのに……』


『たしかに……変ね……。

どうして依頼を受ける者がいないのかしら……』


 敵をあっけなく倒し終え、あまりにも簡単な依頼のはずなのに、どうして今まで達成されていなかったのか疑問に思い、考えていると、奥に通じる道から何かを引きずる音がいくつも聞こえ始めた。


「なに……この音……」


『奥から……あ、なるほど……』


「え、レイ()さん、なに?!

自分だけ納得した顔しないで?! というか、皆も?!

知らないの私だけじゃん!!」


『あげは様、そのままわたくしから離れないでください』


『ったく、しゃーねーな。

さっきの要領でこの数を蹴散らせてやらぁ!!』


 そうオミ()は意気込み、先ほどと同じように戦闘態勢に入った。


 何かを引きずる音。

 それは、先ほどオミ()が倒したガイラドラゴンとは別の個体のガイラドラゴンの歩く足跡だった。


 皆は感知のスキルで把握できていたが、サザンカ(あげは)だけは把握出来ていなかったため、現れた数に驚愕したのだった。


「な、なにこの数……。

一体や二体じゃない……二十……三十?」


『……数が多すぎて、相手に出来なくて今まで放置されてたんだね』


オミ()、氷魔法で援護します!』


『頼んだ!!』


 姿を現したガイラドラゴンに向かって、先ほどのように隙を作るため、風魔法を繰り出したオミ()


 オミ()の数回の攻撃で先ほどと同じように口を開けたガイラドラゴンに、今度はレイ()が氷魔法を放ち、口が閉じないように固定した。


 その開いた口に向かって、オミ()が強めの火魔法を放つ。

 この攻撃を、すべて倒すまで繰り返したのだった。


 レイ()オミ()、二人の攻撃が功を奏し、無事に全部のガイラドラゴンを倒し終えた。

 そののち、ヒスイ(翡翠)が感知スキルや嗅覚を最大範囲に広げ、炭鉱全体を調べた。


『……この先……ここと同じくらい広い場所が三箇所……。

でも、これで全部と思う……』


ヒスイ(翡翠)の感知と嗅覚を疑う訳ではありませんが、念のため、私とオミ()で奥を見てきます』


 そう言ったレイ()オミ()とともに炭鉱内のさらに奥に行き、他にも魔物がいないか確認に行ったのだった。

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