やっぱり……
エネルギーの塊である桜の木があるオウトに向かって旅をしているサザンカ達。
一行は地図を頼りに足を進めており、最初の目的としてオウトへ行く途中にある大きな街を目指して山の中を歩いていた。
その街を目指す理由としては、オミが言っていた装備を充実させたいとの理由だ。
「この山を抜けたらオミが言っていた街に着くんだよね」
『おう!
ルーベルって街だ。
その街は結構、平和的で亜人が多いんだ。
上物の武器や武具がそろってるんだぜ!』
『美味しい食べ物もありますよ!』
「オウカがすごく楽しそうにしてる!
どんな食べ物があるか私も楽しみ!!」
次の街に着いた時の予定を楽しげに話していた一行だが、ヒスイとレイが妙な気配を感じ取り、サザンカ達の前に立ちはだかった。
「ヒスイ、レイさん……どうしたの……って、オミやオウカも……」
ヒスイやレイに続き、オミやオウカも戦闘態勢に入った。
彼らは人型で戦ったり狼の姿で戦ったり、時と場合で様々だ。
今回はどうやら人型で戦うつもりらしい。
四人が身を構え、戦闘態勢に入る中、気配を感じ取れていないサザンカは一人、うろたえていた。
と、その時、奇声を発しながら、大型の魔物が数匹空から姿を現した。
「な、何あれーー?!
鷹?! いや、鷲?!
上半身は鳥型なのに、胴体が四足なんですけどー?!」
『この山……ファークバイソンの縄張りだったのか……。
数は七体……倒せない訳じゃないが……多いな』
「オミ、ファーク……なんて?」
『説明は後だ!!
とりあえずこいつらを仕留めるぞ!!
こいつら風魔法と雷魔法に長けてて、討伐ランクはAだ!』
『魔法攻撃にかなりの耐性がありますが、物理攻撃には弱いのが特徴です』
『あげは様はお下がりください!!
ここはわたくしたちが!!』
「オウカ、大丈夫! 私も戦う!
エネルギーのコントロールも出来るようになったし、物理攻撃も少しは出来るようになったから!!」
『物理に関してまだ心配だが……水を差すのは違うよな……。
そういう事なら任せたぜ、女神様ぁ!!』
『……サポートは任せて……』
「いっくよ~~~!!」
オミ達が敵に対して戦闘態勢を崩す事はせず、意気込んでいるサザンカにこの場を託す事にした。
サザンカは、空中にとどまっている敵に剣を構え、エネルギーを剣に流すイメージをした。
剣はサザンカのエネルギーをまとい、光を帯びる。
「はぁっ!!」
その剣をサザンカは、敵にめがけて勢いよく振り下ろした。
すると、剣にまとっていたエネルギーは波動となり、勢いよく放たれて山を割り、さらに敵にも当たり、羽を羽ばたかせていた敵は皆、地に落ちたのだった。
「……あ、あれ?」
『『『……』』』
『なんで物理攻撃じゃないんだ?!
物理が弱いって今レイが説明しただろ!
相手が空を飛んでるなら創造が使えるんだから、足場作ってどうにか出来ただろうが!
それに誰が山を割れと言ったよ!』
「なんでーー?!
え、なんでーー?!
この間はコントロール出来たのにーー!!」
この間の修行でエネルギーコントロールを身に着けたと思われたのだが、勢いよく放たれたエネルギーは以前にも増して威力が上がっていた。
それに関してレイやヒスイ、オウカは目を丸くするほかなく、オミに関しては驚きのあまり勢いのあるツッコミを入れたのだった。
『コントロールって……そういう問題じゃねぇんだよ……。
戦い方の問題だ……。
……お前、もう戦闘するな……俺たちがやる……。
この世界が壊れる……』
「……はい……」
『……あげは様、得意、不得意があるから……そんなに落ち込まないで……』
「ヒスイ……ありがとう~」
『……にしても……このファークバイソンを一撃で仕留めるとは……。
この者たちを仕留めるのに一体につき、数人の魔導士が魔法を最大火力で二十発ほど与えてようやく倒せるというのに……』
「え、それって、私かなり優秀なんじゃない?!」
『おい、調子に乗るな。
山を一つ割ったことも忘れるな?』
「そ、そうでした……」
『ま、まぁ、でも、食料にもなりますし、高値で売れますし、あげは様の大勝利という事で、今回は良しとしましょうよ!』
『オウカは甘いな。
ま、こいつが旨いのは確かだけどな』
「え、これってそんなに美味しいの?」
サザンカは襲ってきた魔物、ファークバイソンを収納庫、もといアイテムボックスに仕舞いながら、疑問の表情をオミに向けた。
そのサザンカをヒスイやレイ、オウカも手伝った。
『こいつの肉は、鶏肉と牛肉の良いとこどりの肉なんだよ。
一見、筋肉質だが、脂肪も程よくあってな、火を入れると肉汁がジュワーってして身がとろけるんだ』
『なので、高値なのです。
これをギルドに持っていくと買い取ってくれますし、解体もしてくれます。
それに、これだけの数があれば、かなりの額を頂けますよ』
「……レイさん、その手やめようよ……やらしいよ」
『よし、もうこの辺りに気配はないから、先に進もうぜ』
一行は魔物を倒し終えた後も、山を抜けるまではスキルである感知を念のため働かせながら先を進んだ。
「(この間はコントロール出来たのに……。
あの時はオウカが相手だったから?
武器に流すイメージはまた別ものなのかな……。
皆が狩りに行ってる間とかに一人でもっと練習してみよう……
このままじゃ、創造する立場なのに、世界を破壊しかねない……。
それはダメだ……)」
そうしてサザンカ達はその後魔物と出くわす事もなく、順調に最初の目的の街、ルーベルへと無事にたどり着くことが出来たのだった。




