表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/98

やっとできた!

 サザンカ(あげは)達が平原で修業を始めてから数時間後。

 時はすでに日も落ちた夕刻。


 休憩をはさみながらとはいえ、さすがに体力にも限界がある。

お腹も空き始めたことも相まって、修行は一時中断となった。


『さーて、そろそろ時間も遅いし、この辺で切り上げるかー』


「つ……疲れた……」


『あげは様、お疲れさまでした!

お水どうぞ!』


「ありがとう、オウカ(桜華)……。

……ふー、生き返るー」


『……しっかし……上達しねぇな、エネルギーの使い方……。

……どうすんだ……この土地……』


 オミ()が向けた視線の先には、いくつもの地割れの跡や、大穴が開いていた。

それは、サザンカ(あげは)がエネルギーを剣に流し込んで切りこむという修行や、体中にエネルギーをまとって武術を行うという修行で出来たもの達だった。


 サザンカ(あげは)のエネルギーの扱い方がままならないため、その場はひどく荒れていた。


『……あげは様は創造とか、スキルの作成、付与は上手なのに、エネルギー自体を扱うことが苦手なんだね……』


ヒスイ(翡翠)、惜しいぞ。

あげはは、スキルの付与もヘタクソだ』


「うぅ……返す言葉もございません……」


『……あげは様……。

この土地……オウカ(桜華)に直してもらいませんか?

それと……あげは様のエネルギーも少々使用して……。

そうすれば、エネルギーの使い方をマスターできるかもしれません……』


レイ()さん、どういう事?」


 荒れた土地をどうしようか考えるサザンカ(あげは)達にレイ()は身振り手振りで考えを提案した。


 レイ()が考えた内容とは、オウカ(桜華)の土魔法を使って荒れた土地を修復するものだが、オウカ(桜華)一人のエネルギーだけではこの荒れた土地一帯を修復するのは難しい。


 そこで、スキルを発動させるオウカ(桜華)の手の上にサザンカ(あげは)が》の手を重ね、オウカ(桜華)のエネルギー使用の補助をするというものだ。


『この方法なら、あげは様のエネルギーコントロールの練習になるかと思います』


「……なるほど……。

……うん、やってみる!!」


『あげは様、コツは、料理をするみたいに……ですよ。

あげは様は料理がお上手です。

野宿中でも美味しく作ってくださります。

食材を扱う時、丁寧に扱いますし、目分量も出来ています。


それを活かすのです。

お料理の要領で、オウカ(桜華)にエネルギーを流し込んでみてください』


『……オウカ(桜華)を食材に例える……はは……』


オミ()様、渇き笑いやめてください……。

……あげは様……信じております……』


「うん! 任せて!

それじゃ、いくよ……」


 オウカ(桜華)が地面に向かって手を伸ばし、スキル『土魔法』を発動させた。

サザンカ(あげは)も、オウカ(桜華)の手の甲の上に自身の手を重ね、レイ()が言っていたように、慎重にエネルギーを流し込むイメージをした。


「……お料理のように丁寧に……丁寧に……」


 そうして二人が力を発動しているおかげで、荒れていた地面が徐々に平らな草原へと戻り始めていった。


 しばらくして、荒れていたすべての土地をもとに戻し終えたサザンカ(あげは)オウカ(桜華)

二人はもとに戻った光景に歓喜の声をあげながら抱きしめ合った。


「やったーー!!

やっとエネルギーのコントロールできたー!!

ありがとう、レイ()さん!!

お疲れ、オウカ(桜華)!!!」


『やりましたね、あげは様!! お見事です!!』


『やっぱり、レイ()の教え方……上手だね』


『そんな事ないよ、ヒスイ(翡翠)

あげは様が頑張った結果だ』


『やれやれだな……。

そんじゃ、ちょっくら狩り行ってくるなー。

ヒスイ(翡翠)達も行こうぜ』


 オミ()の声掛けで頷いた四人はそそくさと狩りに出かけていき、その場に一人残されたサザンカ(あげは)


「なんで皆して颯爽と行ってしまうのーー?!」


 彼らの本能的なものは狼だ。

 それらが働いたため、狩りだと聞いて体が反射的に動き、颯爽とその場を去った。


 その本能的なものを知らないサザンカ(あげは)は、愚痴をこぼしながらエネルギー修行を一人でまた始めたのだった。


「……これじゃぁ、スキルを与えすぎて神界を追放されましたじゃなくて、スキルを与えすぎて一人草原に取り残されました……だよ」


 一人での修行を早々に終え、野営の準備をしていたサザンカ(あげは)のもとに狩りに出かけていたオミ()達が帰ってきた。


『ただいま戻りましたーー!!』


「おかえりー……ってなに、それ?」


『なにって……魔物だけど?』


「魔物だけど? じゃないよ! それ食べるの?!」


 オミ()達が獲物として狩ってきたのは、牛のかたちをした魔物だった。

 それを見たサザンカ(あげは)は信じられないものを見るように驚愕したのだった。


『あげは様、これは魔物ですが、もともとは牛が魔物へと変異したのですよ。

エネルギーを持ち、狂暴化した牛……という分類なので、牛肉として食べられます』


「説明ありがとう……レイ()さん……。

そっか……そうなんだ……」


 さらにレイ()は、豚型や鳥型の魔物がいる事を説明し、通常の家畜より繁殖が早く食用として冒険者が狩りに出ている事などを説明した。

また、食用だけではなく、素材として高く売れる魔物もいると説明を受けた。


 ちなみに今回狩ってきた牛型の魔物の討伐ランクはBで、食用にもなるが、角が大きいため、素材として高く売れると説明を加えた。


「魔物とかはやっぱり下界での生活の長いオミ()達が詳しいから、その辺は任せるね!」


『おう!

よし! 解体するぜ!』


 そう意気込んだオミ()は、手際よく刀を使って牛型の魔物を解体し始めた。

 解体していった肉は必要分だけ手に取り、残りの肉や素材となる角はサザンカ(あげは)の収納庫へとしまわれた。


『……あげは様のそれ……収納庫……とおっしゃりましたが……俗に言う、アイテムボックス……ですよね。

便利ですよね~』


「下界ではアイテムボックスって呼んでるんだね。

いろんなものをいくらでも出し入れ出来るよ」


『じゃぁ……いっぱい狩りをして素材集めて、売り飛ばして金儲けしようぜ!』


『……オミ()……何その発想……』


『なんだよ、ヒスイ(翡翠)、その目は。

金は大事だぞ!

こんな初心者の冒険者みたいな服から早く脱したいんだ、俺は!』


「他のを造る?」


『違う!!

街で売ってる、亜人がつくった特製の服がいいんだ!

そっちの方がデザインがかっこいいんだよ!!』


「あ……はい……うん、なるほど……デザイン、ね……」


『そうしましたら、あげは様もお着替えしなければですね!!

狩り、はかどります!!』


「(……人型だから忘れがちだけど……ここにいるの私以外、全員狼だった……。

狩り……大好きなんだなぁ……)」


 狩りだと聞いて体をウズウズさせているサザンカ(あげは)以外の面々。

そんな彼らを前にサザンカ(あげは)は一人、遠くを見るような眼をしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ