サザンカの中のエネルギー
サザンカ達がオウトを目指して旅をしてから二日後。
『おらーー!! まだまだいくぞーー!!』
「わーー!! 待って、オミーー!!」
時は昼前。
この日、サザンカ達はギルドからもらった地図を見ながら、街に向かう途中にある平原で修業をしていた。
『おい、こら、あげは。
能力の関係で自然魔法が使えないから、剣術や武術が出来るようになりたいって自分で言ってたくせに、そんなへっぴり腰でどうすんだよ。
昨日の魔物退治も逃げ回ってたじゃねーか』
「そんなこと言われても……戦い……怖いし……。
だいたい、なんで皆はそんなに戦闘ができるの?!
オミやオウカは風魔法が出来る上に武術にもたけてるし、ヒスイやレイさんも風魔法得意だし!」
『私たちは、下界での生活が長いですし、幾度も魔物と戦ってきましたので』
『武術に長けてるのは、もともとの反射神経と人型に慣れたことも相まって出来てる。
それに、戦いは俺たちの中では生き残るための基本だからな』
『……うん……風魔法のスキルは突然もらった力だけど……』
「突然……って……あ、魔物が現れた後、下界の人達が対処できるようにスキル付与をしまくった時だ。
……三日三晩、寝なかった日だなぁ……」
『さ、休憩もこの辺で、修行の続きするぞ!!
今度は剣にエネルギーを流し込みながら切りかかる修行だ。
そうすると、波動として攻撃が出来て一部の魔物とか肉体を持たないエネルギー体を仕留められるんだ』
「そんな事が出来るんだ……。
あ、だから私、オミ達と会ったあの時、敵の狼さんの牙や爪の攻撃を受けて傷を負ったんだ」
『エネルギーを爪や牙、剣などの武器に流し込むのは戦闘の基本です』
「そっかぁ……よし、なら、やってみる!!
えーっと……エネルギーを剣に流す勢いで……それ!!」
サザンカは、オミに習った通りに持っていた剣に自身のエネルギーを流すイメージをして、誰もいないところに剣を振り下ろした。
すると、剣先からエネルギーが放たれ、風を切る音とともに、その地が真っ二つに割れた。
それと同時に、サザンカの中のエネルギーが枯渇したのだった。
「あ、あれ?」
『……アホかーーーー!!!
誰がエネルギーを全部注げと言ったよ!!
ちょこっとでいいんだよ、ちょこっとで!!
なんで女神なのに、エネルギーの使い方がヘタクソなんだ?!』
「す、すみません……」
『……あげは様……ちょっと手を貸して頂いても……』
「レイさん? どうしたの?」
『エネルギーを枯渇した場合、大半は動きが鈍くなったり、調子を崩す者が多いです。
なのに、あげは様はすごく元気でいらっしゃる。
それに……少しばかり、エネルギーを感じます』
「……そういえば、アマノ様もエネルギーの使い過ぎには注意をと言っていたな……。
だから星のエネルギーを使いながら創造しろと……。
私、最初に自分のエネルギーを使い過ぎちゃった時も何ともなかったし……。
むしろ、元気だったし……」
『その元気だったのって、あげはがエネルギー体だからじゃねぇのか?』
『……あげは様……無意識ですか?』
「ん? 何が?」
『無意識……なのですね……。
今放った同じ量のエネルギーが……ストックされています』
「スト……ック?」
『私には風魔法のほかに、スキルで感知があるのですが……。
あげは様の中に、いくつかのエネルギーストックが見受けられます。
数は……三つ……ですね。
今、その中の一つを使ったのでしょう。
なので、あと使えるのは二つ……てところです』
「……私……何回かエネルギーを枯渇させた……。
そして今……。
枯渇すればするほど、エネルギーがストックしていくという事?」
『今放ったエネルギーって……それ、本来の通常の量だろ?!
え、それがあと二つもあんのか?!
しかも、枯渇するほどストックされていくとか、どんだけつえーんだよ!』
『ですが……それが本当でしたら……あげは様のお体……エネルギーに耐えうるのでしょうか……』
『……姉さんの言う通り……あげは様の体……エネルギーに蝕まれるかも……』
『エネルギーが溢れて体を蝕ないための、ストックなんじゃねぇ?』
「……アマノ様の涙から生まれたはずなのに、まさか、こんな形で私自身が形成されてしまうなんて……。
決めた。
私自身にスキル『スキルストック』を付与。
効果は、これ以上エネルギーを枯渇しても、最大三つまでのエネルギーストックを行うものとします。
あとは、『上限突破』を付与。
スキルを五つまで持つという上限を突破させるものとします」
『これなら、あげは様がエネルギーに体を蝕まれることがないのですね!!
よかったです!!』
「あ、そうだ!!
皆にもスキルを付与してもいい?」
『なんのスキルだ?』
「んー…と、オミには、雷属性とか、火属性とか!」
『あの……というより……どうして今、スキル付与を?』
「思い立ったが吉日だから!!」
『まったく回答になっていませんが……』
『……そういう事なら、僕は治療系がいいな……』
「わかった!
ヒスイはサポート系ね!!」
そうしてサザンカは、自身にスキルを付与したのち、呆れるレイをよそに皆にスキルを付与したのだった。
オミの付与スキル『上限突破、火魔法、雷魔法、攻撃特化(強)、感知』
オウカの付与スキル『上限突破、土魔法、攻撃特化(強)、感知』
ヒスイの付与スキル『上限突破、防御特化(強)、癒しの力、結界魔法、感知』
レイの付与スキル『上限突破、水魔法、氷魔法、防御特化(強)』
これに加えて各々が『風魔法』『人狼』を持ち、レイに関しては『感知』を持つことになる。
「よし、皆をすっごく強くしたよ!!」
『……おい……俺たちはどこの戦闘狂だーー!!
こんな変なスキル付与のやり方があるかーー!!』
「なんかデジャブーーー!!!」
こうしてサザンカは新たなスキルを持った仲間たちとの修業を再開し、自身のレベルアップもそれなりに行うのだった。




