魔物退治
下界に突然現れた黒いモヤモヤ。
その中から禍々しいオーラを放つ動物達を見て、顔から血の気が引いていくサザンカとマツリカ。
そんな二人を慌てた様子でベロニカが呼びに来た。
「マツリカちゃん!サザンカちゃん!
下界が大変なの!
すぐに会議室に戻って!」
サザンカとマツリカは、ベロニカの言葉にハッとし、急いで立ち上がり会議室に向かうべく、その場を後にした。
ベロニカに続き、慌てた様子で会議室に戻ってきたサザンカとマツリカ。
会議室いたアマノミコトとザクロとフィリーは深刻な表情を浮かべていた。
「…アマノ様達も見たのですね…。」
「うむ…まさかあのようなモノが現れるとは…。」
女神三人は上がった息を整えながら、席に着く。
「私達も…池で見てましたわ…。」
「ただ現れただけじゃないのよ…。
これを見て…。」
ベロニカがサザンカとマツリカに鏡を見るように促した。
二人はベロニカの言葉に従い、鏡に視線を向けた。
その鏡に写る光景に再び唖然とする二人。
「こ、これ…私達が見ていた場所とは違う場所…?
もしかして…世界のあちこちでコレが生まれていると言うの?」
「そうだ…。
生まれる場所は人や動物がいない所ばかりだが…。
奴らは人のいる場所を目指しておる。
魔物…とでも言おうか…。」
「そ、そんな…それじゃ、せっかく人が増え始めたのに、皆その魔物にやられちゃうじゃないですか!」
『…あっしが下界に行ってきやす…。
あっしが…あの魔物を調べてきやす。』
「そんな!ザクロがそんな危ない事!」
『…嬢ちゃん…怖くないと言ったらウソになりやす…。
けど…誰かが動いてどこまで攻撃が通用するかとか調べない事には、対策が出来やせん。
それが出来るのは…空が飛べて、風魔法が使えるあっしが適任だと思いやす。』
「…ザクロが行くなら、私も行く。
私も一緒に戦う。」
「ダメよ。
サザンカ…あなたはここでザクロの援護よ。
ザクロの考えは、正直、賢明だと思うの。
魔物たち…もう人の住んでいる場所まで距離を詰めてるわ。
人々が戦えるように…私達の創造した数多の動物達が戦えるように、彼らにスキルを付与してちょうだい。
これが…今のあなたの戦い方よ。」
「お姉様……わかりました。
ザクロ…お願いだから…無茶はしないでね…。」
『がってんだ!嬢ちゃん!』
「それじゃぁ、私とマツリカちゃんは蓬泉殿の裏庭の泉に行きましょう。
ここから近いし、広さもあって下界が見渡せるわ。
私達も、自然魔法で魔物退治よ!!
アマノんとフィリーちゃんはサザンカちゃんと一緒にいて!
この子もたいがい、無茶すると思うから、ストッパー役よ。
それじゃ、行動開始!」
皆は、ベロニカの合図で椅子から立ち上がり、各々行動に移した。
ベロニカとマツリカは蓬泉殿の裏庭へ行き、アマノミコトは下界に行くための通路の創造を、ザクロはその通路を通って下界へと行った。
サザンカとフィリーは鏡に近づいた。
「…人々にスキル付与…。
高齢の人達には『参謀』を…若い人達には『勇者』のスキルを…。
参謀は作戦をたてて若い人達の援護を…。
勇者は、普段の力以上を発揮できるものとして、武器の扱いに長ける等、戦闘のプロとします。」
サザンカが鏡越しに人々にスキル付与を施している傍ら、突然、下界に稲妻が走った。
「…この気配は…マツリカか?
天の管理者として、雷雲を造り、下界へ落としているのか…。
だが…操れてはいないようだが…目的は、人々に危険を知らせるためか。」
『女神様が直接危険を知らせるのは、あまりよろしくないのですよね。』
「うむ…。
我らが見守っているとはいえ、毎度、今回のように助けてやれるとは限らぬ…。」
『そう…ですよね…。
あ!ザクロさんが、風魔法を使いながら、魔物と対峙し始めました!』
「ザクロの魔法…効いているみたい…。
魔物が次々と倒れていく…。
人々も異変を感じて武器を持ち始めたよ…。」
「マツリカの稲妻を落とした方角に向かっているようだ。
…あの竜巻は…ベロニカのようだな…。
あちこちで渦巻いておるが…また派手にやらかしているものだ…。
……武器を持った人々は…ザクロと合流して物理的に攻撃しているな…。」
『その攻撃も効いているようです!』
「うむ…。
物理攻撃、魔法攻撃、ともに効果があるようだな…。
対策はわかったが…あの魔物たちの事をもっとよく調べないといけぬ。」
「あ!
ベロニカお姉様が水と風魔法であちこちの黒いモヤモヤを消し去りました!
魔物たちは…一応、生れる事はなくなりましたが…。」
「進行していた魔物たちは…マツリカやベロニカ、下界で戦っている者達のおかげで全て退治出来たようだな。」
「でも…またあのモヤモヤ生まれるかも…。」
「うむ…原因を探さねば…。
何はともあれ、今回は見つけるのが早く、対策もすぐに立てられたからな…。
不幸中の幸いと言ったところだろう。」
「下界の人達があの魔物に襲われないように、さらにスキルを付与しなくちゃ。
これからまた忙しくなりそうです。」
「そうだな。」
鏡を見ていた三人は、皆の帰還を待ちながら下界の様子を眺め、安堵するのと同時に次の対策を考え込んでいた。




