下界の変化
地球の神との約束を果たしてから数十分後。
腹ごしらえを終えたサザンカは、マツリカと共に魂の転生を施す池へと来ていた。
二人以外はいまだ会議室で談笑中だ。
「わぁ~これがさっき言っていた池ですね!!
ひっろーい!!大きい!!
魂もキレイですね~。
これだと、この星中に魂が行き届きますね!!」
「そうね。
それで…スキル付与をするのでしょう?
どの魂にスキルを付与したのか判別できるの?
この魂の多さだと、何か策を講じないと…。」
「大丈夫です!
考えがあります!
私自身に『スキル判別』を付与。
効果はスキル付与をしている魂を色別で判別できるものとして、なおかつスキルの数まで把握できるものとします。」
サザンカはそう言うと自身の胸に手をあて、力を発動させた。
光に身を包まれたサザンカだったが、その光は一瞬で収まった。
「では、付与をしていきます!」
「わかったわ。
私は向こうで鏡を使って読書をしているわ。
何かあれば声をかけてちょうだい。」
「は~い。」
マツリカは、池からちょっとだけ離れた所にベンチを創造してそこへ移動した。
サザンカはと言うと、腕まくりをしながら、楽しそうにスキル付与を施していく。
「ん~…どんなスキルがいいかな…。
数は…とりあえず、姉様達と同じように五つ付与して…。
魂とか、肉体に個人差があると思うから…スキルに耐え切れなくなったらランダムで自然消滅するように組み込んで…。」
サザンカは空に手を伸ばし、スキル付与の為に力を発動させた。
サザンカが手を伸ばした先の空に、一つ、また一つと光が集まり始める。
「スキルは…鍛冶…農業特化…畜産…料理…賢者も追加して…。
あとは…医学・薬草特化…調合…他にも追加して…。
――よし、こんなものかな!
日常系とか魔法系とか思いつく限りのスキルは創造したし、あとはこのスキルたちを付与するだけね!
今ここにある魂の数だけ分散~!!」
サザンカがそう発すると、集まっていた個々の光達は大きな光の塊へと形を変え、器に入っている魂と同じ数に分散し、それぞれ魂に収まっていった。
その光景をみたサザンカは満足そうな表情をしたが、少しだけ考える素振りを見せた。
「これ…魂がこの器に集まるたびにやるのは大変なのでは…。
魂がここに来るのも時間がまばらだし…どうにか短時間で出来る方法…。
あ!マツリカお姉様!!」
サザンカは何か思いついたのか、マツリカのもとまで急ぎ足で走った。
「マツリカお姉様ーー!!
お願いがあります!!」
「どうしたの?そんなに慌てて。」
「あの、池の真ん中に大きな木を造って欲しいのです!」
「木?
…わかったわ。」
サザンカの言葉に不思議そうな表情のマツリカだが、何かあるのだろうと腰を上げ、池へと向かった。
「それじゃ、木を造るわよ。
大きさとか…何かあれば言ってね。」
「はい、お願いします。」
マツリカは小さく頷き、池の真ん中に向かって片手を伸ばし、大きい木を創造した。
「大きさは…もう一回りお願いします!」
「……これくらいかしら…。」
「ピッタリの大きさです!ありがとうございます!」
木の大きさは池の真ん中を陣取り、木の根や幹、枝に至るまでが大きく、その姿はまるでガジュマルの樹と言ったところだ。
サザンカは期待通りの出来に満面の笑みをマツリカに見せる。
サザンカのお礼と笑みにマツリカも笑みをサザンカに見せ、小さく頷いた。
「それで…この木を造ってどうするの?」
「こうします!!」
サザンカはマツリカの造った木に両手を向けて、創造を発動させる。
すると、木は光に包まれて、サザンカの思うものが創造された。
木の上には大きな水晶玉のような透明な器が生成され、その器の中にはいくつも光が入っていた。
「すでに造ってあるスキルを保存しておくためのものです!
さらに、木と池を空間魔法で繋いで…木と器にスキル『スキル付与』を付与して。
効果は、スキルを保管して転生する魂に付与するものとします!
これで、池を通って転生する際に自動的にランダムでスキル付与をしてくれます。
まぁ、まだまだスキルを造って器に入れておかないといけないのですが…。」
「なるほど…。
これからますます人口が増えるから、エネルギーや時間短縮出来ていいと思うわ。
そういえば…あの透明な器…重さは大丈夫なの?
木がちゃんと支えてくれるかしら…。」
「大丈夫ですよ!
木が支えられるように軽く造りました。」
「そうなの…。
あら?さっそく魂が動いたわ…池を通って下界に行くのかしら…。
少し…池と鏡をつなげて下界の様子を見てみましょうか…。」
マツリカの言葉に笑みを見せたサザンカは、自分の鏡を収納庫から出して下界の風景を映し出し、池と繋いだ。
二人は池に下界の様子が映ると、その場に腰を下ろし、水面を覗き見た。
「…すごい…本当にあちらこちらで人口増加が起きてますね…。
こうしてどんどん村が大きくなって、街になって、国になるのですね…。」
「そうね。
…あら?
あれ…何かしら…。」
下界を覗いていたマツリカだが、一つの場所で起こる現象に異変を感じた。
サザンカもマツリカの言葉に、視線の先を探し、マツリカと同じものを視界に入れた。
そこは人や動物の姿はなく、森しかない場所だ。
そんな場所で、黒い大きなモヤモヤが現れ、何かを生成し始めた。
しばらくしてモヤモヤの中から現れたのは、黒く大きい体に、目つきは鋭く、禍々しいオーラを放つ動物達だった。
その形はオオカミ、トラ、大きいトカゲ等、四足歩行の者から人型のものまで様々だ。
サザンカとマツリカはその姿を目にすると、顔から一気に血の気が引いた。
二人がその場で唖然としていると、背後から血相を変えたベロニカが二人を呼びに来た。




