スキル付与対象
ベロニカが調味料を造る為の小屋を創造したのち、サザンカとベロニカ、妖精やザクロは小屋の中に集まり、調味料作りに挑戦していた。
「なんだか、物づくりってワクワクするわね!
先に何からつくるの?
あ!そうだ!妖精さん達の名前、まだだったわね!
作業の前に決めましょう!
フィリー…フィリーちゃんと言うのはどうかしら!」
『フィリー…素敵です!
ありがとうございます!ベロニカ様!』
「気に入ってくれてよかったわ。
他の子達は~…。」
『あ、ベロニカ様、妖精の数が多いので私達は自分達で名づけを致します。
代表して、名を頂いた私が皆との言葉を繋ぎます。』
「そぉ?
わかったわ。
細かい事はあなた達に任せるわね。」
『はい!
そうしたら、作業に入りましょう!
お砂糖、お塩、お醬油、お味噌の順番でつくっていきますね!
材料は収穫した物の中にありますし、先ほどベロニカ様に造って頂いたもの達を使っていきます。
では、いきます!』
フィリーが意気込むと、妖精達は目線で合図を送りながらいそいそと手作業で砂糖や塩をつくる準備に取り掛かる。
それを見ていたサザンカは、少し考え、フィリーに提案を持ち掛けた。
「ねぇ、フィリー…妖精さん達に創造のスキルを付与してもいい?」
『…それは何故…。』
サザンカの提案を聞いたフィリーは、驚いた表情で一歩後ろに下がった。
それは少しだけ警戒しているようにも見える。
「…そんなに警戒しなくても…。」
『前科がありますので…。』
「あー…うん…。
(ザクロの時の…。)
えっと…手作業でつくるのもいいと思うんだけど…創造のスキルを使えば、ここにある材料たちを使って調味料が簡単に出来ると思ったの。
私、自然の植物は造れないけど、植物を使った物なら造れるの。
その要領で材料を組み合わせて造ったら簡単かな…と思って…。」
『なるほど…確かに妖精の人数がいるとはいえ、畑の管理に調味料の精製…。
力仕事が多いのでこの体では少しだけ厳しい所があるのも事実…。
う~ん…では…付与をお願いします。』
「うん!
じゃぁ、皆を集めて!」
サザンカの提案を改めて聞いたフィリーは、熟考のすえにスキル付与を決断した。
スキル付与の為、サザンカの言葉通りに皆をサザンカの前に集めた。
妖精達が集まったのを確認したサザンカは両手を妖精達に向け、スキル付与を施す。
「妖精さん達にスキル付与!
『調味料精製』を付与します!
材料を組み合わせて効率よく精製出来るものとします!
エネルギーも少量譲渡!」
「これで力仕事が大幅に減るといいわね。」
『はい、少し試しに使ってみます。
スキル発動…精製、お砂糖!』
フィリーは砂糖の材料となるもの達に手を向け、スキルを発動させた。
すると、材料達は光を帯び、一つにまとまって調味料の砂糖となって姿を現した。
「すごい…これがお砂糖…キレイね…。」
『このお砂糖、器に入れて保管しておきますね。
次は…お塩をつくります。
その次にお醬油ですね。』
フィリーはそう言うと先ほどの砂糖と同じ手順で難なく塩をつくりあげ、次に樽を使って醬油作りに取り掛かった。
先に造った塩や砂糖と同じ工程をしているが、醤油が出来上がる気配がない。
「?
スキル…発動しているのかしら…。
エネルギーが足りない…とか?」
『いえ…これは…発酵が足りないです。
ザクロさん!今度は許可します!
成長促進をこの樽に向かってしてください!』
『お、おう?
嬢ちゃんがそう言うなら…。
スキル、成長促進!』
フィリーから指示を受けたザクロは戸惑いながらも樽に向かってスキルを発動させた。
樽が一瞬光ったのち、瞬く間に香ばしい香りが辺り一面を包んだ。
「いいにお~い。」
「これがお醬油なのね。」
『はい!この調子でお味噌も造ります!
ザクロさん!まだまだお願いします!
次はこの樽です!』
『お、おう!』
フィリーの指示のもと、ザクロの協力もあり、次々と調味料が仕上がっていく。
その様子を何も手伝えないなと判断したサザンカとベロニカは、調味料作りを始めた妖精達とザクロを見守る事にした。
「…そういえば、サザンカちゃんのスキルって、私達や植物に付与できるけど、それ以外の自然物には付与できないの?
例えば、水とか…火とか?
「水よ、ずっと出続けていろ~」とか、「火よ!激しく燃えよ!」みたいな…。」
「…お姉様…すごい、魔法使いみたいですよ。」
「みたいじゃなくて、神だからある意味魔法使いよ。」
「たしかに!
う~ん…付与対象…どうやら、目に見えないものや触れられない物…あとは形が定まらないものは付与が出来ないみたいです。
火や水は形がゆらゆらしていて定まらないですし、風は目に見えないのと形が定まっていないのでダメみたいです。」
「なるほどね~。」
二人が話し込んでいると、調味料精製が落ち着いたのか、妖精達やザクロの手が止まり、サザンカ達のもとへ集まった。
皆は次の作業の話し合いの結果、造り終わった調味料や収穫した野菜や果物を噴水広場の倉庫に運び込む事にして各々スキルや魔法を使って噴水広場に向かったのだった。




