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作物

マツリカの作物(さくもつ)の種や苗の創造が終わったのか、光が収まった。


皆が創造の始終を見守り、その中でサザンカは疑問の表情を浮かべていた。


「創造…終わったのですか?


畑?…が耕されたままなのですが…。」


「創造は終わっているわ。


サザンカ…もしかして、植物の出来る工程わかってない?」


「?

畑からニョキニョキ~ってすぐ伸びるのではないのですか?


創造で造った作物(さくもつ)なので、てっきりすぐに作られるものだと…。」


「違うわ。

土を耕して種や苗を植えて、水や肥料をあげて、雑草を取ったり…実がなるまでいろいろ手入れをして、そうして実がなったものを収穫するのよ。」


「そ、そんなに手間ひまをかけているのですね。


ちなみに…あとどのくらいで実るのですか?」


作物(さくもつ)の種類にもよるけど、最短で三ヶ月はかかるわ。」


「そ、そんなに…。


あ!そうだ!」


サザンカはマツリカとの会話で作物(さくもつ)の出来る工程や実る時間に肩をがっくり落とした。


だが、何かをひらめいたのか、パッと顔を上げ、近くにいたザクロ(雀鷺)に視線を向けた。


『サザンカ嬢ちゃん、なんでやす?あっしをそんな期待の目で見て。


え…まさか、嬢ちゃん…あっしに何かするつもりじゃ…。』


「ふふふ…そう逃げるでない。」


『い、いや、やめてくだせぇ…。』


「よいではないか、よいではないか。」


サザンカの期待の眼差しに恐怖したザクロ(雀鷺)は、サザンカから逃げるように後ずさりをする。

そんなザクロ(雀鷺)を逃がすまいとじりじりと距離を縮めるサザンカ。


そんな押し問答の末、ザクロ(雀鷺)を捕まえたサザンカはさらに目を輝かせた。


当のザクロ(雀鷺)本人は、サザンカの手の中で羽をばたつかせてどうにか逃げようと必死の様子だ。


『いやーーー!!!

おやめくだせぇーー!!!』


ザクロ(雀鷺)にスキル付与!


『成長促進』と『風魔法』を付与!

植物などの成長を早める効果と、風に関する魔法が使えるものとします!」


サザンカがスキル付与を唱え終えると、ザクロ(雀鷺)は光輝いたが、その光は一瞬で収まった。


事を見守っていた皆は唖然とした表情を浮かべていた。


「…え…成長…なんて?聞き間違いかしら…。」


「いいえ、聞き間違いではないわ、ベロニカ姉様。」


ザクロ(雀鷺)、『成長』スキル発動~!!そ~れ!!!」


『うわぁ!?』


皆が唖然とするのをお構いなしに、サザンカはザクロ(雀鷺)の体を畑に向かって押しやった。


押しやられた拍子に、逃げようとばたつかせていたザクロ(雀鷺)の羽が自由を取り戻した後も数回羽ばたく。


その羽ばたきとサザンカのスキル発動の発言により、ザクロ(雀鷺)の羽から金色の粉が現れ、その粉が風に乗り畑全体に広がった。


すると、粉を浴びた畑は一瞬光ったかと思えば、畑の中からニョキニョキと植物が生え始め、あっという間に色とりどりの野菜や果物が実りを迎えた。


これには皆、唖然としたまま開いた口がふさがらないでいる。


そんな中、口を発したのはサザンカに声を掛けた妖精だった。


妖精はすごい形相でザクロ(雀鷺)のくちばしの上に乗り、両手で握りこぶしをつくり、ポカポカと眉間を叩いた。


『なんて事したのですかーー!!??』


『あっしは違います!濡れ衣でやす!』


『手間ひまかけるから美味しいのですよ!!

それを早めるなんて!!』


『ですから、それは嬢ちゃんが!』


妖精の猛攻に逃げようと必死なザクロ(雀鷺)は、羽を思いっきりサザンカがいた方向に向けた。

ザクロ(雀鷺)と妖精が向けた視線の先にサザンカはおらず、キョロキョロと視線を動かしていると、畑の中から声が聞こえた。


「ん~~!!

このお野菜、みずみずしくて美味しい~!!」


サザンカは畑の中で実った野菜を一つもぎ取り、幸せそうな笑顔で口にほお張っていた。


サザンカの行動に今度はザクロ(雀鷺)と妖精が口を開け、啞然としている。


「はぁ~…サザンカちゃんたら…。」


「サザンカ…お主と言うやつは…本当に行動が読めぬ…。」


「…サザンカ…待ち遠しいのはわかるけど、妖精達の仕事を取ってどうするのよ…。」


「あ…ごめんなさい。


妖精さん達も…お仕事取っちゃってごめんなさい。」


『サザンカ様…今回は致し方ないとします。


今後はちゃんと手間ひまかけて農作業にあたります。

今回実った物よりもっと美味しいものをご用意しますので、次はその時までお待ちくださいね。』


「うん…ごめんね。」


『では、今実っている物は全部収穫して、噴水広場の方に置いておきますね。』


「あ!それなら、噴水広場の一部に調理場と倉庫を造りましょうよ!

ここからも近いし、採れたてをそのまま調理するなんて贅沢出来るじゃない!」


「うむ…それはよい考えだな…。

ならば、それらは我が創造しよう。」


調理場と倉庫の創造をする為、アマノミコトとベロニカは噴水広場に向かって行き、マツリカも二人の後ろを追う所でサザンカに視線を向けた。


「私はサザンカのこの鏡で調理の仕方を勉強するわ。

サザンカ、あなたはさっきの件の反省の意味を込めて妖精達の収穫を手伝ってなさい。

もちろん、手作業でよ。」


「わかりました!」


『あ、サザンカ様!それなら、収穫用の道具があります!

それを造ってお使いください!』


「ありがとう!妖精さん!

マツリカお姉様!鏡、少し見せてください!」


「農作業で使う収穫用の道具は…これね。」


「これが…ありがとうございます!マツリカお姉様!」


鏡を見せ終えたマツリカは、少しの笑みを見せて頷き、噴水広場に再び足を向けた。


収穫用の道具を見たサザンカは、さっそく創造して妖精達と作物(さくもつ)の収穫に入った。

ザクロ(雀鷺)も付与された風魔法を使ってサザンカ達と収穫に加わるのだった。

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