魔法と農作業
ベロニカが意気揚々と、農作業を手伝ってくれる者として創造したもの。
それは、小さい姿で羽を羽ばたかせながら空に浮き、人型の姿をした者達だった。
そう、妖精だ。
だがその妖精は、本に載っているような可愛い見た目の妖精とは少しばかり違っていた。
いや、可愛い者もいるにはいるのだが、ベロニカが造った妖精だ。
見た目が他の者とは少しばかり違う妖精が数名混ざっていた。
「ど~お?
地球のどこかの国に妖精がいるんですって!
それを参考にしてみたの!
作業が出来るように人型にしたかったし、移動も楽に出来るように羽を持っている者を探していたら、本に載っていたの!
可愛いでしょ~。
羽はトンボ型と蝶々型がいるのよ!
それに、知識や感情も組み込んだから、話す事も出来るのよ。
ザクロんと同じね。」
「…ベロニカ姉様の可愛いは…少しズレてますわ。
トンボ型の女性の妖精はわかるのですが…どうして蝶々の羽を持った男性の姿をした妖精がいるのですか。
しかも…中には筋肉ムキムキもいます…。」
「服を着ていてもわかる肉体美…完璧ね!」
「………。
(美男美女の妖精ばかり…。
筋肉ムキムキはダンディ…と言うのだろうか…。
また濃い者を造ったな…。)」
「え~いいじゃない!
力仕事に女性だけじゃ少しばかり心もとないわ。
人数もそこそこいるし、手分けして作業にあたりましょうよ!」
「ねぇ、ベロニカお姉様。
この妖精さん達にスキル付与をしてもいいですか?」
「あら、サザンカちゃん、今回はちゃんと相談してくれるのね。
どんなスキル付与をするの?」
「お姉様が造った妖精さんですから…さすがに相談はします…。
えっと…『土地整備』、『放水』、『力加減』です!」
『…農作業ではなくて、工事現場の人達みたいでさぁ…。』
「ザクロは似合いそうよ。」
『どんな印象をお持ちなのですかい…マツリカ姐さん…。』
「もっといい感じのスキル名はなかったのかしら…。」
「え~っと…そうしましたら…『農作業全般』
その名の通り、農作業に必要な知識、技術を持ち合わせ、男女関係なく作業が全部できます!」
「男女の能力が平等…か…。
それなら、力加減と言うよりは、風の魔法スキルも付与するのはどうだろうか。
風を使って作物を刈り取ったり、収穫した物を集めたり…。
小さい妖精達で、こんなに広大な土地なのだ…幾分か作業が楽なほうが効率も上がるであろう…。」
「なるほど…さすがアマノん…。
それじゃ、サザンカちゃん、お願いできる?」
「わかりました!
アマノ様の助言通りに、妖精さん達が作業しやすいようにスキルを付与します!
妖精さん達にスキル付与!
『農作業特化』と『風魔法』を付与!
それと…あ!『水魔法』も付与!
農業に関する知識や技術が逸品!
それに加えて作業効率の為に、風と水の魔法を使えるものとします!」
『サザンカ様、土魔法のスキルもお願いします。
農業には、なくてはならない基本的で重要な部分です。』
サザンカが妖精たちに両手を伸ばし、スキル付与をしていると、どこからともなく可愛らしい声が聞こえてきた。
サザンカはその声に従い、続けてスキル付与を行う。
「さらに、『土魔法』付与!
土に関する事柄全般を行えるものとします。」
サザンカが唱え終わると、サザンカの両手に光が集まった。
その光は大きくなり、分散してその場にいる妖精達に吸い込まれるように収まった。
「無事にスキルを付与出来て良かった!
でも…さっきの、可愛らしい声はいったい…。」
『私です、サザンカ様。』
サザンカがスキル付与の時に聞こえた声の主を探していると、目の前にいた女性の妖精が手を挙げて少し前に出てサザンカに話し掛けてきた。
「妖精さんがしゃべってる!!」
「サザンカちゃん…私、さっき妖精達も話す事が出来ると言ったわ…。」
「サザンカの事だから、忘れていたのだろう…。」
「しょうがないわね…サザンカは…。
それより、準備は整ったわ。
さっそく、皆で農作業に移りましょう。」
『農作業には種や苗が必要です。
それと…田畑にするために、土地を耕しますので少々お待ちください。』
先程サザンカに話し掛けた妖精が今度はマツリカに声を掛ける。
その後、妖精は仲間に目線を配ると、妖精達は頷き、広大な土地に体を向け、両手を土地に伸ばし、スキルである土魔法と水魔法を発動させた。
すると、土地がみるみるうちに耕され、区画整理も行われた。
『これで種や苗を植える準備が整いました。
この辺りはお野菜を、あちらは果物に…あの辺りは果樹園にしようと思います。
それから、主食となる麦や米を植える為の区画はあちらですね。』
「私が創造した妖精達が、ここまで活躍するなんて…嬉しいわ!
ありがとう、妖精さん達!
あとで名づけもしましょう!これからよろしくね!
あ!作業前に軽く自己紹介をしましょう!」
ベロニカは妖精達の働きに目を輝かせ、興奮した様子で妖精達に駆け寄った。
ベロニカの提案により、作業前に軽く自己紹介が行われたのだった。
『自己紹介も終えやしたが…肝心の作物の種や苗はどうするんでやす?
地球から取ってくるとかしやすか?』
「ここは大地の女神、マツリカちゃんの出番よ!
作物は大地に関する自然のもの!
マツリカちゃんなら創造出来ると思うの!」
「出来ますが…どういうものがいいでしょうか…。」
『マツリカ様、今後は季節に合わせて育てていきますが…今は試験的な段階ですので、どんな作物でも育て上げてみせます。
我々にお任せください。』
「そう?
それじゃ、任せるとして…こんな感じでどうかしら。」
マツリカと妖精が作物について話し合い、方向性が決まった所で、マツリカは耕された広大な土地に片手を向けて創造の力を発動させた。
すると、土地が光り輝き、整えた区画に従って様々な種類の野菜や果物の種や苗が創造され始めた。




