星の名前
エネルギーの保管の為に神界に桜の木を創造したマツリカ。
創造は終えたが、納得のいっていないマツリカにベロニカが不思議そうに尋ねた。
「マツリカちゃん?
納得のいってない表情だけど…どうしたの?」
「……これだと…ただの桜の木ですわ。
サザンカみたいにエネルギーの保管場所として創造が出来ていない…。」
「…そんな…あ!そうよ!
あの時、サザンカちゃんは自分のエネルギーがなくて、さらに自然を創造する事が出来ないと言う事も重なったから、下界のような桜の木が造れたのよ!
今回もサザンカちゃんに造ってもらうのはどうかしら。
それこそ、再生のスキルで同じ桜を!」
「たしかに…今のサザンカはあの時と同じでエネルギーを枯渇している…。
サザンカ、お願いできる?」
ベロニカとマツリカの言葉を聞いたサザンカは小さく頷き、空に向かって両手を伸ばした。
「…やってみます。
…星のエネルギーを使って…。
………う~ん………ん~?」
「サザンカちゃん…どうしたの?」
「…コピーアンドペースト…出来ないです。」
「サザンカちゃん…その言葉…本当に使い方当たっているのかしら…。」
「それはさておき…どうして造れないの…。」
「星のエネルギーが足りないからだと思うのだが…。」
「アマノ様…どういう事ですか?」
「この星のエネルギーを感じ取ってみよ。」
アマノミコトの言葉にベロニカやマツリカは、星のエネルギー感じ取ろうと目を閉じる。
サザンカやザクロは、静かに二人の様子を見守っていた。
ベロニカやマツリカは星のエネルギーを感じ終わったのか、閉じていた目をそっと開けた。
「……たしかに…エネルギー…足りないですわ。」
「う~ん…おそらくだが…。
昨日、いろいろ創造したせいで星のエネルギーが全回復していなかったのだろう…。
サザンカが創造した時は、エネルギーを幾分か使った後だったが、今回の様に少ないという事はなかった。」
「なるほど…。
それじゃぁ…どうされますか?」
アマノミコトとマツリカの会話に、勢いのある声で入ってきたのはサザンカだった。
「はい!私がそのお悩み解決します!!」
「サザンカ?」
「ま、まさか…お主…。」
「サザンカちゃん…。」
皆はサザンカの行動に今までの傾向を思い出し、顔面を蒼白させた。
周りを気にしていないサザンカは両手を空に向け、星にある数少ないエネルギーを使った。
「神界に咲く全桜の木にスキル付与!
『エネルギーの収集・保管・循環』
その名の通り、桜の木の姿を維持して神界に形成され満ちるエネルギーを寄せ集めて保管しつつ、神界中の桜の木を巡って循環させるものとする!
そして、下界の全桜の木にもスキル付与!
『エネルギーの収集・保管・循環』
こちらも桜の木の姿を維持して、下界に形成され満ちるエネルギーを寄せ集めて保管しつつ、大地を通り星を巡って循環させるものとする!」
サザンカの突発的な行動にまたも皆は頭を抱えた。
だが、アマノミコトは呆れつつも、どこか安堵し、納得をしている様子だった。
「またお主と言うやつは…。
いや…でもこれで、星のエネルギー問題は解決したと言えるだろう…。
あとは、星のエネルギーが回復して桜の木に集まり、保管と循環を行うのを観察するだけだな。」
「と言うより…サザンカ…あなた…。
私達や人以外にもスキル付与を出来るの?」
「はい!なぜか出来ました!」
「そうなれば、無機物にも付与が出来るって事かしら?
例えば…地球にある剣とか…盾とか?」
「うむ…おそらく…。
サザンカのスキル付与は計り知れぬ。」
「私のスキル付与…強いです!!
やったーー!!
これで、姉様達みたいにすごいお仕事できるーー!!」
「…サザンカちゃんはあの調子だし…。
悪気はないのよね…。」
「でも…考えなしは時に怖いですわ。
ここは、私から一つ伝えます。」
自分のスキル付与の力に、改めて価値を見出したサザンカは喜びのあまり、その場でクルクルと回っている。
そこへ、いつになく真剣な眼差しをしたマツリカがサザンカに近づいた。
その様子を皆は静かに見守り、サザンカは空気を察したのか、動きを止め、マツリカに恐る恐る体を向けた。
「サザンカ…よく聞いてね。」
「はい…マツリカお姉様。」
「サザンカ…あなたの力…強すぎるわ。
今は薬だけど、使い方を間違えれば毒にもなる。
だから…付与は良く考えて…。
突発的な発想で、いつも切り抜けられるとは限らない…。」
「…わかりました…。」
「さて、私からは以上よ。」
「話はまとまったみたいね。
あ!そういえば、この星の名前…まだ決まってないわよね。」
「む?たしかに…。」
『この星…まだ名前決まってなかったのですかぃ?
そういやぁ、皆さん、星…とずっと呼んでいやした。』
「でしょ~?
どんな名前がいいかしら~。」
マツリカからサザンカへの注意が終わった後、ふと思い出したベロニカ。
そう、この星にはまだ名前がなかったのだ。
星の名前を決めるべく皆は考え込んだ。
「…ここは、サザンカちゃんに決めてもらいましょう!」
「え?!私ですか?!」
「サザンカちゃん、ザクロの名前を決めたり、センスがあるもの!」
「そうね、サザンカ…お願い。」
「頼む…サザンカ。」
『嬢ちゃん、いっちょいい感じの頼みますぜ!』
「そんな、急に言われても…。
う~ん……。」
皆からの期待を含んだ視線や言葉に断れなくなったサザンカは、星の名前を改めて考え込んだ。
しばらく悩んだすえに、何か思いついたのか、パッと顔を上げたサザンカ。
「フリエイト…。
フリエイト星と言うのはどうでしょうか…。
あと、下界の桜の木がある場所…あの場所は桜の都と書いて、おうと…桜都と言うのは…どうでしょうか。」
「うん…いいわね。
さすがサザンカ。
名づけを任せて正解ね。」
「ありがとう!サザンカちゃん!」
「いい名だ。」
『さすが嬢ちゃん、あっしも鼻が高いですぜ!
へへっ。』
皆はサザンカの名づけが気に入ったようで、歓喜の声を上げたのだった。




