風呂敷を畳む
苦しい修行を経て、私はようやくたどり着きました。
山の頂が、すぐそこに見えます。
その時、効果音が聞こえました。
レベルアップです。
修行僧(Lv.3)。
私は、弱くなりました。
自分のペースで、無理をせず物語を書いていきます。
ここまで来たら、もうエタることは有り得ません。
ゆっくり、一歩ずつ、着実に進んでいくだけ――そう思っていました。
――
完結させるのって、難しくないですか?
いや、ほんと。
びっくりしました。
A.複雑な設定。
B.大量にばら撒いた伏線。
C.キャラクターの心情。
この3つがね、徐々に絡み合っていくんです。
風呂敷を畳むほどに、どんどん悪化していきました。
小難しい説明なんて、本当は入れたくないんです。
でも、過去に自分がばら撒いた諸々のせいで、入れざるを得ないんです。
地の文での長々説明を避けるために、過去編(長編漫画でよくあるやつ)を始めてみたんですが……どうしてもワクワク成分が足りない。
話を展開するのとは、全く別種の難しさでした。
過去の自分を恨みました。
色々こねくり回しすぎて、作者でも訳分からん状態。
というか、大昔の自分が考えた部分なので、色々とアラが目立ちます。
そこをカバーすると、さらに複雑さがアップしてしまいました。
これが、読者に伝わるのか……?
そんなことを考え始めると、筆がものすごく重くなりました。
天才的完結力を持っている作者なら、鮮やかに畳めたのかもしれませんが……少なくとも、私には無理でした。
仕方ないので、思いっきし説明回をぶっこみ、勢いで乗り越えました。
やっぱり、完結させると、得られる経験値が違いますね。
次に作品を書くことがあれば、最初から完結時のことを計算して、全体の構成を考えようと思います。
……と、ここまで書いて、モチベーションについて全く触れていないことに気付きました。
修行僧(Lv.3)のモチベーションは、すぐそこに見えているゴールです。
義務感や使命感ではなく……どちらかというと、好奇心でしょうか?
物語の結末を、この目で見届けたい――そんな気持ちで執筆していました。
前述したように、ゴールは近いようで遠かったです。
私の場合は、数話を書くために数ヶ月かかりました。
時間だけで言えば、一番長かったと思います。
でも、不思議と、エタは全く頭を過ぎりませんでした。
ひょっとしたら、これが一番強力なモチベーションなのかもしれません。
――
まとめ。
完結させるのは難しい。
○○○