一緒に料理をしますが、家庭的で驚かれました
大変長らくお待たせしました!
自分でも驚くくらい手が進まなくて、漸くって感じです...
さて、竜宮に呼ばれたので今現在台所にいる。
食材に関しては、1人分と2人分は大して変わらないので困りはしない。問題は、竜宮の好みだ。好き嫌いも聞いていないし、味付けの好みも分からない。
(かと言って、聞き辛いんだよなぁ...。)
一応一緒に暮らしていく上で、好みなどを互いに把握しておくのは重要な事だと思うが、普段女性と話をしない俺は、その事すら聞けないのである。
「好き嫌いは特にありません。味付けは薄めが好きです。」
「は?」
「いえ、食材とこちらを交互に見ているので、好き嫌いとかでも聞きたいのかと思いまして。違いましたか?」
「い、いや、合ってるが...。」
こいつはエスパーかなにかなのだろうか。思ったことを的確に当てやがった。
とまぁ、そんな下らない茶番は置いといて、好き嫌いがないのであればレパートリーは豊富だ。ただ、食材には限りがあるので、必死にメニューを考える。
ふと、挽き肉を使っておかないと不味い事を思い出した。そうなれば、ひき肉を使った料理。すなわち、ハンバーグを作ることにした。
「なあ、ハンバーグで良いか?挽き肉使っとかないと不味いんだよ。」
「ええ、構いませんよ。では、私はこちらでもう1品作りますね。調理道具とかの場所を教えてください。」
「りょーかい。」
調理道具とかの場所を教えている最中、竜宮は律儀にもメモをとっていた。慣れるまではそれを使うのだろう。
料理は一分一秒が怖いからな。
その後、料理を始めたわけなんだが、お互いに集中していたせいか全くの無言だった。
なにせ火を使うし、少しでもタイミングを逃せば食べられないものに変化してしまうものだったから喋る余裕なんてなかったのだ。
竜宮も竜宮で、包丁を使っていたので喋ると危ないのだ。
(つい、この風景が新婚さんみたいに見えるんだよなぁ。)
なんて思ってしまっているが、そんなことがバレてしまえば竜宮から白い目で見られかねない。
そういうのはもうちょっと仲良くなってから言うジョークだ。
そうして、そんな事を考えながらハンバーグの空気を抜く作業をしていると、横目で竜宮と目が合った。まあ、合った瞬間睨まれたけど。
「...料理、お上手なんですね。男性で料理ができる方というのは、中々お見かけしませんが...やはり、一人暮らしの賜物ですか。」
「ん。まぁ、そうだな。小学生の時くらいから母親の料理手伝ってたからな。平均レベルなら料理はできるぞ。」
「そうですか。」とだけ言って、竜宮はまた前を向いてしまった。まあ仕方ないかと思いつつ、止まっていた空気抜きの作業を再開する。
その後は、やはりと言って良いほど会話無く進んで、お互いの料理は完成した。
「ふむ...何を作っていたかと思えば、味噌汁か。」
「ええまぁ、ハンバーグを作るとの事だったので、あっさりした物を付け合わせたら良いかな。と思いまして。」
「肉と野菜で良い感じにバランスも取れてるしな...ナイス判断だ。竜宮は良い嫁さんになれるぞ。」
「...ありがとうございます。さぁ、いただきましょう。冷めてしまっては意味が無いので。」
そうこうしている間に配膳を終え、席に着けば、2人揃って「いただきます。」と言って手を付け始める。
と、ハンバーグを1口食べた竜宮の箸が止まっていた。
「どうした?味付け、口に合わなかったか?」
「い、いえ、私好みの薄味です。ですが...なぜ、薄味にしてあるのにここまで美味しくできるのか理解できません。」
「理解できないと言われてもな...ああ、俺の家では肉はレアが多かったからかもしれんな。」
「絶対焼き方の問題じゃないですよこれ...。」
結局竜宮の求めてる解答を俺はできず、グチグチと言われながらの最悪の晩御飯になってしまった。
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