玩具の機関車ポッポちゃん
ボクの名前はポッポちゃん。
優しい男の子のたけしくんのお誕生日プレゼントだったの。
たけしくんとは、もう随分長い間遊んだ思い出がある。
砂山を走ったり、お風呂場に潜ったり、お布団で一緒に寝たりした。
どれも少し痛い目に遭う思い出だったけど、玩具として玩具の使命を全うできたことを誇りに思う。
たけしくんと遊ばなくなってとても長い時間が過ぎた。
ボクと遊んでくれたたけしくんは、立派な大人になったようだ。
車輪がいくつか取れて、窓がひびだらけになって、がらくたになったボクは、ついにたけしくんとお別れの日がやってきた。
寂しいけど、玩具にも終わりの時間が迫ってくるのは、なんとなく玩具の神様から教わってた。
ボクは、ゴミの日に、玩具の墓場へ旅立った。
玩具の墓場へ行く途中、ボクの体から沢山の思い出がこぼれて行くのがわかった。
ボクはとても幸せな玩具だった。
もうたけしくんの顔も声もぬくもりも思い出せなくなりそうだけど、ボクは幸せな玩具だった。
それだけは忘れたくない。
そして、ボクは空っぽになった。