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2*20年5月19日



「ふぅ〜〜〜・・・」



誰もいなくなった部屋の中はため息ですら響く


今日も仕事を乗り越えられた。

通勤途中から悪化した体調でもなんだかんだやり切れてしまう私ってすごい…


自画自賛してい無いとやってられない。普段ならばもっと早く片付く仕事も体調不良ともなれば、作業スピードが落ちてしまうのも仕方が無い。

かさねて、今日は朝に絡まれたイケメンさんと八合わ無いように昼食時しか席を立ってい無い。

息抜きにコーヒーも飲め無いなんて…なんて日なの…。


昨日も遅くまで仕事をしたのにに、また遅くなってしまった。


愚痴を考えるのは止めて、重い体になけなしの力を込めて鞄を肩にかけ駅に向けて歩みを進める。



少しふらつきながらもカツカツと靴音を鳴らす。


明日もこの調子なら、さすがに病院に行った方が良いのだろうか…でも私がしなくちゃならない仕事が毎日私を待っている。

これが仕事が恋人ということだろうか、全くもって可愛らしくも愛おしくもないけどーーー




ゾゾゾッ




まただ


また誰かに見られている気がする。



スマホで時間を確認するふりをしながら後ろの様子を伺う。

もちろん、歩みは止めない。不審者がいた場合に少しでも不審な行動をとれば何をされるか分かったものではないからだ。


恐怖で体が震えそうになるのを気合で止める

人間、追い込まれたときに必要なのは気合いだ。個人論だけどもね


昨夜より少し速い時間だが終電一歩手前の時間。人は増えているが付近に飲み屋もない為、やはり人はまばら。

なのにスマホの画面越しには誰もいない。

しかし、依然として気配は消えてくれない。


やはり疲れから感覚がおかしくなっているのだろうか?明日は大した仕事もないので久々に午前休をとって病院にでも行こうか…


つらつらと考えながら眉間に寄るしわを解しつつ、

とりあえず誰も見ていないのなら気にする必要も無いだろう、念のため友人に今の状況を送れば直ぐに返信が来た。



{瀬戸ちゃん!聞いてくれ!!}


{どした?}


{疲れすぎて気配を感じるんだけど}


{なにそれ?w}


{何かの力が目覚めてしまったかもしれない・・・}


{wwwすっごいwww

 ていうか大丈夫?}


{社畜してる暇なんてないわ、世界を救わなくちゃ!

 多分大丈夫 誰もいないみたいだし}


{ww

 今一人なんでしょ?危ないことは避けて

 何かあったら叫ぶんだよ!}


{了解しました!}


{てか聞いて、今月ピンチ}


{何に使ったのかな??}


{最近可愛いコスメが出すぎるのが駄目だと思うの}


{え、新作何が出てた?}




友人との楽しい話で直前までの恐怖が少し和らいだ気がする。

ありがとう瀬戸ちゃん、今度会ったら何かあげよう…



{そういえば今帰りなの?}


{そうそう 今会社の最寄り駅}



「 」



{ちょっと帰るの遅くない?また残業でしょ}


{おっしゃる通りでございますお母さま}


{誰がお母さんよw}



「   」



{ママばんごはんなーに?}


{サバの味噌煮}


{すごく美味しそうなんだけど

 どうしてくれる私の胃袋}



「     」



{どうせ食べてないんでしょ ウチ来る?晩御飯くらいなら出してあげるから

 サバの味噌煮じゃないけど}


{え、ママじゃなくて天使様でしたか?}


{瀬戸様です 崇めてね}


{崇めまくります}



「         」



{駅まで迎えに行くよ}


{彼氏じゃん(笑)

 いいよ、私の家と近いんだし何にもないよ}


{気配を感じるんでしょ?何かあってからじゃ遅いよ}


{やっぱりママだった}


{こんなに手のかかる子供は持った覚えはないよw}


{はははw でもやっぱり来なくて大丈夫だよ}



「                 」



{なんで?遠慮しないの}







「         落  ち  て         」







{だって今から落ちるから}





電車の音がやけに近く感じた。









「うぐっ」



下に、線路へ落ちようとした身体が重力に逆らって無理やり戻される感覚に驚く。


自らの身を投げ出そうとした線路に目を向けると、今まさに到着した電車が通過しゆっくり音を立てて減速していくのを地面に座り込みながら眺める。



「ビビった~~~」



停車する電車をぼんやりと眺めていると頭上からため息とともに声が聞こえる


ゆっくりと見上げてみると、男と目が合った。



「ちょいあんた、こっち来て」


「えっ ちょ待って 誰??」



唖然としている私をよそに、男は私の腕を掴んで立ちあがらせお腹に手をまわして持ち上げた。

これが小脇に抱えられるってことか…


パニックになっている私を気にもせずに男はズンズンと何処かに進んでいく。


改札口に近づいてどうするのだろうと思ったら、駅員室の扉を開けた。

明らかに駅員さんの制服ではないのだけれど一般人??


中にいた駅員さんもいきなり入ってきた男に…というよりも担がれている私を見て驚いている。


疑問は膨らむばかりだ



「すんません、うちの所長どこにいるッスか?」


「あぁ、奥の休憩室でお話ししてますよ」


「あざまっす!」



そのまま部屋の奥につけられた扉の前に立つと、ノックをした。



「話し中にすんません、新しいのが出たんで連れてきたッス」


「入りなさい」



落ち着いた声が中から許可を出したのを聞き

しつれいしま~す と間延びした挨拶で男は中に入る。




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