03 休日
私はいつも待ち合わせ場所にしている駅前にある噴水の前にいた。
今日も程よい日差しが、あたたかく降りそそいでいる。
スマホをぽちぽちしながら、アヤカを待っていた。
電車の停止音が聞こえると改札から、アヤカがこちらに向かってくるのが見える。
金髪のツインテール
パッションピンクで肩丸出しのベアトップ
フリフリのスカート
銀の首輪がもはやフッションの一部に見える。
私はというと学校の制服と似たような格好に黒く肩まで伸びた髪で首輪が見えないようにしていた。
「おっすーアヤノまた制服?今日服でも買いにいこーよ!」
「私はいいの、これで」
「えーでも制服以外の服も絶対いいって!」
そういうとアヤカは私の腕をぐいぐい引っ張っる。
いつもの事である。
アヤカに連れられて大型ファッションモールに来ていた。
ちなみに、ゾンビは保護の対象という名目で、町やお店の至る所に設置されている待機用のポールに繋ぐことがマナーだ。
「ねぇこれ可愛くない?絶対アヤノに似合うよ!」
アヤカは露出度の高いピンクの服を私に合わせながら言った。喧嘩を売っているのか。
「それはない」
「そうかなあ」
アヤカは少しシュンとして服選びに戻っていった。
一通り彼女の買い物に付き合って、その後、最近話題の恋愛もの映画を見た。この前も同じ映画を見たのだが、今回もアヤカは隣で号泣していた。すっかり日も落ちて肌寒くなってきたのでもう帰ろうと提案した。アヤカはまだ遊び足りないといった感じに見えたがついてきてくれた。帰りの電車内は休日だからか混んでいて、座ることは出来なかった。電車内でアヤカがいかに素晴らしい映画だったかを力説している時、
いい匂いがした。
ステーキ肉が焼けるような、香ばしく食欲をかきたてる匂いだ。
「ねぇアヤノ聞いてる?」
「あっごめん!…なんかいい匂いしない?」
「え?しないよ、お腹空き過ぎてるだけじゃない」
「そんなことは…」
「でさーこのたぬきがマジでイケメンでー…」
アヤカはさっきの話を再開しだした。
この匂いがしない?そんなはずは…
意識がボーとする
目の前に座っているスーツ姿のサラリーマン風の男に焦点が合う。
余程疲れているのか口を開けて寝ている。
美味しそう…プニプニしている腕…ポタ…肉つきのいい首元…ポタ…ポタ
ハッ!無意識にヨダレが口から溢れて垂れていた。
急いでヨダレを拭う
「ん?アヤノどうかした?」
アヤカが心配そうにこっちを見ている
「な、なんでもない」
「すごい汗だよ」
「大丈夫だから」
その後アヤカが家まで送ると言ってきかなかったが
私は断って急いで家に帰った。
母とのやり取りもそこそこに、二階の自室に引きあげた。私はパソコンの画面をジッと見つめている。
「ゾンビ 不死者 第二世代 症状 」
ネットで自分に関係のありそうな単語の検索をかけたが、私の求める情報は見つからなかった。
ネットのこの手の話題では、健康な人と感染者がよく不毛な言い争いをしている。
1 :名無しさん@モヒカン:2050/05/01 23:45:36 ID:wfS
死んだら蘇るとか、ありえないんですけどw
2 :名無しさん@感染者:2050/05/01 23:55:36 ID:jgt
我々こそ真の人類なのです。古い人類は我々の餌になるべきなのです。
5 :名無しさん@モヒカン:2050/05/01 24:02:08 ID:wfS
<<2 草
私は見たくはないのだけれど、ついつい夜中まで見てしまった。考えを巡らす
感染者は法律で守られているものの、弱い存在なのだ。ゾンビくん達はハーネスと手枷がはめらているので、もし乱暴されても抵抗することはできない。
乱暴されても警察に駆け込む知能もないので、夜の薄暗い路地裏などでは犯罪が蔓延っているらしい。
よくこの状況で国として成り立っていると思う。
日本以外の国では、欧州は人権にうるさいので、日本と同じような感じらしい。発展途上国では感染者は問答無用で頭をつぶされているようだ。アメリカは特殊で各州ごとに対応した結果、州ごとに全然違う生活をしているようだった。いかんせん情報が回りづらくなっていて不確かである。
私が興味がないことにもよる。
私はのんびり生活出来ればそれで良いのだ。
今の生活に不満はない。
眠くなってきました。(*´꒳`*)