アゼミチ
帰り道。あんなもの初めて見た。会話はない。ただ、後ろをついていく。村に着くと、二ファは俺に励ますかのように話す。
「ホムラさんのお話はほんとに楽しかったよ。私たちは全然大丈夫だからね!国に帰れるよう頑張ってね!」
大丈夫な訳がないだろう……彼らにとっては生きるか死ぬかの事態だ。やっぱり放っておけない。だけど、俺に何が出来るだろうか………俺は寝床につく。その日は、まったく眠る事ができなかった。
「おはようございます。勇者様、朝ですぞ。」
村長の声が聞こえ、朝が来たことを知る。
「ああ、おはよう。村長、話があるんだが…」
「ええ、なんでしょうか?」
「あの怪物の情報がほしいんだ。戦うために。」
「お任せください」
目撃談によると、奴の体長は30メートルにもなり、8つの首がそれぞれ意思があるようだ。何より興味深いのが、酒に対して異常な執着があるようなのだ。浜辺で晩酌をしている村の若人がふさげて海に酒瓶を投げたそうだ。すると、轟音とともに奴は現れ、酒瓶に首ったけだったそうだ。
「伝承というのはどうな内容で?」
「昔、この地で暴れていた8つ首の蛇を空から現れた勇者様が神器と知恵を駆使して退治したのです。これが代々伝わる伝承でございます。こちらが伝承を記した絵巻物です。」
絵巻物には青い湯気?を放つ槍?のようなものをもった人間が8つ首の蛇に立ち向かう絵であった。
すると、奥から何か布で包まれたものを持ってきた。
「こちらが神器のアゼミチです。」
布を取るとそこには光り輝く刃をもつ面妖な剣が。彼が持ってきたそれは、片刃で反りがあった。今までホムラが使ってきた剣とはまったく違う型の剣だった。
「我々が先祖の代から大事に保管してきた剣、ニホントーと呼ばれる武器で、名をアゼミチといいます。」
ニホントー?今まで生きてきて聞いた事がない。
「触ってもいいかい?」
「ええ、どうぞ」
受け取ると、不思議な力が感じた。刃の輝きが誘惑してくる。試したいという気持ちがうずうずと唸る。
「万物を切るができる。そう記されております……ここから東にある大木で試しましょう!私もお初にお目にかかります!」
「よし行こう!」
テンションが上がった。
村の皆が見守る中、大人が手を広げても届かない大木を
「ザンッッ」
「ズズズ………ドォーン」
たった一回で切ることができた。歓声が上がり、これで勝てる!誰もがそう思った。しかし、伝承のある部分が引っかかる。絵巻物の青い湯気はいったいなんなのだろう?
作戦会議は二ファを除いて村人たち全員を交えて、行われた。
「それでは、勇者様が危険です!」
「大丈夫さ、実戦経験のある俺が前線に立つ。皆んなはサポートに回ってほしい。」
「いや、しかし……」
会議は夜まで続いた。休憩に散歩をしていると、二ファがいた。
俺の顔を見るないなや
「ホムラさん、どうして逃げないの!みんなのために勇者を演じて、ほんとに死んじゃうよ!昨日の夜見たでしょ?あんな怪物にかないっこないよ!」
二ファは涙を目に浮かべていた。
「作戦を考えるのは得意なんだ。誰も死なないし、俺も死なない。絶対にだ。」
討伐作戦まであと3日
ちょっとだけ変えた!