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無題

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僕は今日もゲームをしている。本を読んでいる。音楽を聴いている。


 彼の名前はカール・レイジェフス。毎日家にいてはなんともなしにゲームをしたり本を読んだり、飼っているカメレオンを眺めたりしている。彼は学生で、実は危機に立ち向かっている途中だ。あれでも。彼は卒業するために必要な課題を終わらせなければならない。期日はちょうど今日から三日後の八月五日。五枚あるうちのまだ二枚しか手を付けていない。それに手を付けた二枚は五枚ある中のすぐに終わってしまうものばかり。要するに、ほとんど課題は終わっていないというのが正しい言い方だろうと思う。

 いつから彼はこんな様子の人間になったのか。少しさかのぼってみよう。



一五年前 一九九一年 カール五才


「おや? カール、何をしているの?」

「お母さん! 今ね、僕お花を見てたんだ! お庭にはいっぱいお花があってとってもきれいなんだ!」

「そうね、カール。うちのお庭はとってもきれいだと、私も思うわ。こんなことを言っては自画自賛になるのかもしれないけれど」

「じがじさんってなあに?」

「自画自賛というのはね、自分で自分のことをすごいと思って褒めるという意味の言葉よ? このお庭、作ったのは私だから」

「! このお庭はお母さんが作ったの!? お母さんすごいね! 僕がお母さんをすごいって言ったからお母さんはじがじさんじゃないね!」

「そういう意味ではないのだけれど、まあいいわ。大きくなったらあなたも本当の意味が分かるわね」

「大きくなったらっていつ!? 明日かなぁ、それとも明後日?」

「明日も明後日も、確かに今日よりは大人で大きいカールね。でも私が言った大人はもーっと後のカールよ? あなたがあと一回りも二回りも成長してからのあなた」

「もっと後の僕? わかんないや!」

「いいのよ、わからなくても。あなたが思うように生きていればいつかあなた自身が出会えるはずだから。さあ、お家に入りましょう? 夕飯の支度、手伝ってくれるかしら?」

「はーい! お手伝いする! 僕が人参さんを洗うからお母さんはやらなくていいよ!」

「あら、人参さん洗ってくれるのね、とっても助かるわ。ありがとう、カール」

「どういたしまして! じゃあ台所まできょうそうね! よーい、どん!」

「あら、待って、カール! フライングじゃない! 私だって負けないわよー?」



 どうやら五才の頃は純粋で、お手伝いもするどこにでもいるかわいい男の子だったらしい。今の状態だってどこにでもいると言われれば、まあそうなのかもしれないけれど。

 では、今度はもう少し、一回り成長した彼を見てみようか。そういえば、彼には双子の兄弟がいて名をレイリーという。双子だから歳は同じだけれど、彼のほうがお兄さんというやつだ。



十年前 一九九六年 カール十歳


「おはよう、兄さん。今日も天気がとても良くて川釣りに行けそうだね」

「おはよう、レイ。行きたいなあ、でも明日までの算数の宿題でまだわからないところがあるんだ。終わらせられるまで行けないなあ」

「どこどこ?」

「あのレイトン先生の算数の……、そう! 二十ページの問題! 前の授業でもあんまりわからなかったんだ」

「あ、ここかな。そう? 兄さん」

「そこ!」

「僕この問題わかったよ? 兄さん、今日の昼休みに一緒にやらない?」

「教えてくれるのか!? ありがとう! でも、レイはもう終わったのにいいのか?」

「いいに決まってる! 計算間違いをしていないか確認したいし。それにいつも僕は解き方は合っているのに計算を間違えて点数がひかれちゃうから、兄さんに確認してもらいたいんだ!」

「そっか! ならお昼休みのドッジボールは明日にして宿題終わらせちゃうか!」

「それなら今日も川釣り、いけそうだね!」

「ああ! いっぱい魚とろうな!」

「うん!」

「カール、レイ? 楽しい川釣り計画のお話は反対しないしちゃんと宿題を先に終わらせようとしているのは褒めるけれど。遅刻、するわよ?」

「え、まだ七時四十分だよ?」

「二人とも今日は早く学校に行って宝さがしに参加するんじゃなかったかしら? 早くしないと。お宝、全部取られてしまうんじゃない?」

「あ、そうだ! いっけない! 走れ! レイ―!」

「ちょっと待ってよ、兄さん! 待ってってば―! あ、行ってきまーーす!」

「いってらっしゃい」



 どうやら十歳のころはまだ、宿題をきっちり終わらせてから遊びに行くまじめな子だったらしい。弟のレイリーともとても仲がよさそうに見える。弟に教えてもらうことが、実は嫌だったという可能性はゼロではないけれど。

 そうだなあ、どれくらい最近になったらわかるんだろうか。一番最近の、高校生の彼を覗いてみようか。



二年前 二〇〇四年 カール一八歳


「おっはよー、カール! 今日もカラオケ、行っちゃうか!」

「リラはいつも楽しそうで何よりだよ」

「なんだよー、俺がいっつも馬鹿みたいに言うなよー! これでもいろいろ考えてんだぞー? 多分!」

「そこは自信もって言おうよ、考えてるぞ!って」

「考えてる考えてる! って、そんなことはどうでもいいの! カラオケ行く? 行かない?」

「行くよ、最近行ってなかったしね。あ、でもレイも誘って良いか?」

「レイって、あのレイリー・レイジェフス?」

「そうだけど。というかレイジェフス姓はこの学校で僕らだけだろ?」

「そうだけどよー。あんなモテ男と俺話せないわ」

「何言ってんの、馬鹿リリー! カールだって十分モテ男じゃない。一緒にいるから麻痺してんじゃない?」

「なんだよ、リリアン! って言いたいところだったけど、そうだったわ。俺が忘れてるだけだったわ。目の前のカール・レイジェフス君も十分な男前くんだったわ」

「そんなことないよ」

「じゃあ、今年のバレンタイン、いくつ逆チョコってやつもらったんだよ! 言ってみろ!」

「二〇個くらい、かな?」

「二十個――!? いっぱいもらってんじゃねーかよー!」

「お友達にあげるっていうチョコもあるんだろ? きっと、それがいっぱいだっただけだよ。それにレイは確か僕よりもう少しもらっていたはずだし」

「仲良くなれない! 俺そんな奴と仲良くなれない!」

「なんでそういうこと言うんだよ、僕とはなかよくなっただろ?」

「それとこれとは別だ!」

「あ、レイ!」

「どうしたの? 兄さん」

「今日、カラオケ行かないか? 僕の友達のリラと一緒に」

「僕も行っていいの?」

「もちろんだよ、久しぶりだしね」

「そっか、ならご一緒しようかな!」

「ああ! 勝手に決めるな、カール! 俺はこんなモテ男なんかと、モテ男なんかと、行きたくなぁい!」

「ぼ、僕やっぱり行くのやめたほうが良いかな。あまり歓迎されていないみたいだし……」

「そうだそうだ! このモテ男さんめ!」

「気にすることないよ、ちょっとレイのカッコよさに嫉妬してるだけだから。いい奴だよ?」

「ほ、ほんとかなぁ。すっごい顔で僕睨まれている気がするんだけど」

「気のせいだよ、リラは大抵こんな顔しているよ?」

「適当なこと言うな! 俺もっといっつもかっこいいんだからな! ほんと見かけによらずカールは適当なこと言いやがってー!」

「兄さんはだいたいこんな感じだと思う。お家でもそういう時あるよ?」

「だって、最終的にはちゃんと三人で行こうって言うのに、それまでが長いよ? リラ」

「きいー! 行くよ! 行くけど! レイリー悪い奴じゃなさそうだし!」

「悪い子じゃないに決まってるだろ? 僕の弟なんだから」



 高校生でなっても彼は変わらないらしい。弟君とも仲良くやっているみたいだし、面白そうな友達もいるみたいだし。何もなさそうだな、特別変わったことなんて何も起こっていない。




 何も生産性のあることをしない、課題をしない、卒業できるかもわからない。正確に言えば卒業は課題をやりさえすれば出来るけど。ただカメレオンを眺めるだけ、たまに料理を作ってみたりはしているみたい。親はそんなことしなくてもいいから課題を終わらせて卒業を約束されたものにしてほしいらしい。まあ、当たり前のこと。レイジェフス家の父はなかなかに厳格で今の彼のことを許してはいない。このままだと彼は家を追い出されてしまうことだろう。現に、父は彼に直接そう伝えたことが何度かあるし母もさすがにしっかりしてくれと嘆くようにこぼしているという。唯一まだ彼が卒業するかしないかなど関係なく仲良く出来ているのは弟君とだけ。弟君は世間体を気にしないまっすぐな純粋な子のまま今までの生活を送ってきたため、兄さんは兄さんだと周りのことは気にしなかった。昔のままずっと彼のことが大好きだった。




 彼がずっと家に引きこもる状態が続いたある時。いとこのパフィが彼の元を訪ねてきた。

「やあ、カール。久しぶりだね」

「パフィ、どうしたんだい? 何かあった?」

「何かは、そうね、あったわ。君のことよ。親戚中に知れ渡ってるわ、いま君が卒業すら危うい状況にあるとね」

「わざわざそんなことを言いに来たのかい?」

「親戚中に知れ渡っていることなんか君も知っているだろう? わざわざそんなことを言いに来たわけではないよ。今日来たのはだね、私が一方的に君に意見を話したかったからさ」

「パフィの意見?」

「そう、私パフィ・リーダーの勝手な意見よ。聞き流したってかまわないわ」

「わざわざ伝えに来てくれたんだろ? 聞くよ、きちんとね」

「意外だわ、いま話していて思っていたけれど。何も変わってないじゃない、課題をしないことぐらいかしら」

「みんなは僕のことなんと言っているの?」

「怠け者カールだそうよ、あと親に借りたお金返していないとも聞いたわ。本当?」

「残念ながら本当だよ。返す理由が思い当たらなくって」

「あなたの変わったところその二、ね。さすがにお金は返したほうが良いわ」

「そうか、僕はそうは思わないんだ」

「あら、君のその思考がいつか私の思考に近づくことを望んでいるわ。そうじゃない、私はこんなことを言いに来たのではないわ。私ね、正直君が卒業するかどうかってそんなに興味ないのよ。卒業したほうが良いのは周りのみんなからしたらきっと当たり前のことよね、でも高校を卒業していて、この国ではもう義務教育生ではない。言い換えると責任は君自身に収束するというわけだ。すべて君に帰ってくる責任を前に、周りがなんと言ったって関係ないんだ。それでも私は君に言いたい。これは私の勝手な推測だ。さっきも言ったが聞き流してくれて一向にかまわないさ。君はきっと自分自身が情けなくなって情けなくなってどうしようもないんだよ。言われたことをしない、すると君をよく見ていてくれた人に合わせる顔なんてない。そんな自分が情けなくて、でも何かをすることもなくて合わせる顔はやっぱりなくて情けなくなる。そんなスパイラルに君は陥っているんだ。君自身に止めようはないのかもしれないね、より強い君を縛る何かを他者がもちこむことしか方法はないのかもしれない。それとも君自身しか干渉しない、してはいけない領域に事はあるのかもしれない。結局のところ何もわからないんだよ、こちらはね。なにかサインがないと動きようがない。何をすればいいのか、何もしないほうが君を正しい方向へ進ませるのかさえ分からないというわけだね。だから君は好きなことをすればいい。ここで課題をせず追い出されても、課題はとりあえず適当にでもして卒業する。それ以外の選択肢だっていくらでもあるさ、君はなんだってできる。想像し創造すればね」

「聞き流すにはいささか君の推測はしっかりしていてびっくりしたよ」

「それでもこれは推測で身勝手な言葉の暴力さ、君に伝わるからなんてこと私にはどうでもいい。ではね、さようなら。私はここへはこないよ、もう。君がどの道を選択してもね」

 パフィは本当に好きなことだけを言って風のように去っていった。




 パフィがきて幾月か経ってから、彼が卒業できないことが決定してから、ある客人が彼の家を訪れた。

「ごめんください、誰かいらっしゃるかな」

「この家に何か用事でもおありでございますかな?」

「少し相談というか、お話したいことがあって。突然ごめんなさい、思い立つとすぐ行動してしまう性質で」

「してお話とは?」

「できれば外では話したくないかな、なんて」

「……まあかまわん、入りなさい」

「お邪魔します」

「エイダ―、客間にティーを二つ持ってきてくれ」

「お客様ですか?」

「ああ、そうだ。頼んだぞ」

「ええ、わかりましたわ」

「今の方は奥様ですか? それともメイド?」

「妻のエイダ―だ」

「お綺麗な方で」

「褒めてもなにも出んぞ」

「いやいやいや、そんなつもりでは! 僕の感想ですよ、ただの。それにしても大きいお屋敷ですね、初めてこのようなところに入りました」

「この辺ではこれが普通だ」

「そうなんですね、すごいなあ」

客間

「お持ちしましたよ、イングリッシュブレックファーストで良かったかしら」

「ああ、かまわん。君も飲むと良い。して名前は?」

「いただきます。ああ、そうだった、名前言ってませんでしたね。申し遅れました、ドクターと言います。以後お見知りおきを」

「それは本名か?」

「あいにく本名なんです、父が僕に医者になってほしかったらしく」

「ほう、今の職業は?」

「作家をしています、数字やドイツ語は僕には難しくて」

「父の願いはかなわずといったところか」

「僕はお話のきっかけにできるので、多少は感謝していなくもないですよ。この名前」

「そうか、なら、まあ良いな。と、そんなことはいい。どういった要件だ?」

「あ、そうそう! 本題は別にあってですね。近頃噂で聞いたのです。こちらの家に大学のようなところを卒業もせず家でゴロゴロ好きなことをしている子がいる、と」

「それがどうか致しましたかな?」

「え!? 違います! 怒らないでくださいね、本当に違うんです。馬鹿にしているとか笑いに来たとかではなく。僕にその子、引き取らせて欲しいなあと思いまして」

「引き取る? あの子を?」

「突然来て意味が分からないと思われるのはわかっているんです。でも僕、昔から生産性のないことをし続けている人を見るのが大好きで」

「変わった趣味だな」

「その子、家を出るという予定はないですか?」

「追い出すという手もないことは無い。現に、そうあの子には伝えておるしな」

「それなら私が引き取っても問題はないということで、良いですか?」

「私が最終的に決めるのではないからな、直接話すといい。名前はカールだ、呼んでくるから待っておきなさい」

「ありがとうございます!」

カール自室

「父さん、お客さんがいらっしゃっているのでは?」

「お前に用事だと言っている、降りてきなさい」

「僕に用事? はい、わかりました」

客間

「あ、お待ちしていました! 君がカール君かな?」

「はい、こんにちは。あなたは?」

「申し遅れました、ドクターと言います」

「ドクター、お医者さん?」

「いやいや、これは僕の本名ですよ。父が医者になって欲しかったそうで、僕自身は作家です」

「そうでしたか。失礼しました、ドクター」

「いえ、気にしないで下さい。もう慣れています」

「それで僕に用事とはなんですか?」

「そうです、君に用があるんですよ。カール君、君は今この家を出る意思はありますか?」

「それは僕自身が出ていきたいと思っているかどうかの話ですか? それとも家を出されても問題はないという意味ですか?」

「そうですね、僕にとってはそれはどちらでもいい話なんですが。しいて言うなら後者かと」

「では問題はないですね、僕には弟がいて。何もしない僕を見てもずっと僕を好きだと言ってくれるんです、少し弟のことを考えると悲しい気もしますが。かまわないですよ、僕がこの家から出ていくことに特に感慨も何もありません」

「君、本当は優秀な子なのですかね。理知的な話し方をします」

「そんなことはありません、みんなと同じですよ。それでドクター、あなたは物件の紹介でもしにいらしてくださったんですか?」

「中らずと雖も遠からずですね、間違ってはいませんよ。ある意味では物件のご紹介です」「どういう意味ですか?」

「君に僕の家で住まないか、という提案をしに来たんです」

「どうして僕を?」

「噂で聞いたんです、何もしない子がこの家にいると」

「そう聞いて、なぜ僕を選んだのかますます分かりません。働き手が欲しいなら僕以外のほうが良いと思いますが」

「働いてもらう必要はないんですよ、ただ僕の家で今のように暮らしてほしいんです」

「何がしたいんですか?」

「なんでしょうか、ね。僕も実は何もしたくないのかもしれません。だからでしょうか、昔から誰かが何もせず好きに生きている様を見るのが好きなんです。特に君を気に入ったからではなく、条件に当てはまったから選んだというのは申し訳ないことをしていると思うのですが」

「そこは申し訳なく思わなくてもいいですよ、僕は気にしませんから。要するに、ドクターは僕が好きにダラダラしているところ見るために僕を養うということですか?」

「そうですね、そういうことになります」

「悪趣味とまではいいませんが、特殊な趣味をしていますね」

「賢いのにどこか変だと言われて生きてきたので、否定は出来ませんね」

「ではドクターは僕がなにか生産性のある事、例えば仕事をしたり資格取得のために勉強をするとか、そういった類のことは不愉快になりますか?」

「あまりいい気はしないかも知れません、それに君に『約束が違いますよ』と君に言ってしまうかも可能性もあります。でも最終的には止めませんよ、ただ観察したいという気持ちもあるので」

「それは動物を見るような?」

「そうですね、そういうことです」

ドタドタと音がしてレイリーが客間に降りてきた。いろいろと質問をしていたカールはもうドクターの申し出も受けようと思っていたらしい。

「兄さん!」

「レイ、どうした?」

「弟さんですかね」

「はい、そうです」

「兄さん! どこかへ行っちゃうの!?」

「そうだな、出ていくよ」

「僕には相談もなしに!? 僕、兄さんがいないと寂しいよ!」

「僕も寂しいかもしれない」

「なら、どうして!」

「特に意味はないかな、流れに身を任せてみたんだ」

「そんな理由で僕を捨てていくの?」

「捨てるわけじゃない、少し離れるだけだよ。そうだなあ、ドクターに頼みがあります」

「なんでしょうか」

「僕がレイと会うための旅費を出してもらえませんか、定期的に」

「かまいませんよ、どのくらいの間隔を考えていますか?」

「レイ、僕がこの家を出たとしてどのくらいの間隔で僕に会いたい?」

「出ていくことは決定?」

「決定だよ」

「それなら……それなら、半年に一回くらいは会いたいな」

「いいですか? ドクター」

「その程度なら何も言いませんよ、君が旅行中に必要だと思う額を好きなだけ差し上げます」

「この人怪しくない人? 兄さん」

「怪しくないよ、少し変わっているだけの紳士さ」

「別に僕はカール君を取って食べてやろうなんて考えていませんよ、カール君は僕の少し変わった趣味に付き合ってくれるだけです」

「ドクター、言い方が誤解を生みそうです。違うよ、レイ。ドクターは僕が今この家でしている通りの生活を保障してくれると言っているだけだ」

「そんなの、この人にメリットがないよ」

「それがね、あるんだよ。だから変わった趣味なんだ」

「よくわからないよ、兄さん」

「きっと理解はできないと思います、君が普通であればあるほど。君のお兄さんは僕に付き合ってくれるだけですよ、理解しているわけではありません」

「おかしいよ、兄さん」

「僕にはあまりそこは興味ないんだ、ドクターが僕が好きにしていいと言うから。ただそれだけ」

「そっか、兄さんが決めたんだったら仕方ないよね。あ、父さん!」

「どうした、レイ。ここにいたのか」

「父さん、話は決まったよ。ドクターについていくことにする」

「お前が決めたのなら何も言わんよ。ドクター、頼みましたぞ」

「はい、もちろんです。せっかく承諾がいただけたのですから。一つ質問よろしいですか?」

「かまわん」

「やっぱりカール君の近況はご連絡したほうがいいですよね?」

「出来ればそうしてくれると助かるな、レイが喜ぶだろう」

「わかりました、近況は報告しますね。ああ、それとカール君。いつからなら出発できる?」

「僕は特に持っていくものはないし、今日これからでも問題ないですよ」

「そうですか、わかりました。でももう少し時間がかかると思ったのでまだ飛行機のチケット、取れていないんです。明日か明後日でお願いしてもいいですか?」

「もちろんです」

「ではチケットが取れたらいつ迎えに来るか連絡しますね、これ僕のメールアドレスです」

「登録しておきます」

「では、またその時に」

 カールは弟の話を聞いてもやっぱりついていくことにしたらしい。弟にはかわいそうかもしれないが、でも兄は会いに来てくれるなら、問題はない。それよりもカールは父が自身に選択権を持たせてくれたことに驚いたのだろうか。出ていく前に父に手紙を残していた。手紙と言っても


  ありがとう


これだけだったけど。




 次の日。ドクターから連絡が来て、あくる日にはもう出発する手はずが整った。

「Ð・ロレンスより

やあ、カール君。昨日ぶりですね。明日に出発することになりました。

明日の朝、迎えに行きます。乗る飛行機は一〇時十五分ロンドン行きのA302便です

レイリー君とのお別れはすみましたか? 

僕は少しそれだけが気がかりです。

                              K・レイジェフス君へ」

「カール・レイジェフスより

 こんにちは、明日になったんですね。わかりました。

 レイも僕が決めたことだと言って納得してくれましたし、二人で今日は遊びに行く予定も立てています。ご心配ありがとうございます。

 ところで、ドクターはロンドンに住んでいるのですか?

ドクター・ロレンスさんへ」

「Ð・ロレンスより

 それは良かった、たくさん楽しんできてください。良かったら僕に感想を聞かせてもらえるともっと嬉しいです。

 そうですね、僕はロンドンから少し離れた田舎のあたりに住んでいます。僕の家の周りは空気もよくとてもよいところです。初めの一週間は何もしない君を観察するのではなく、近くのおすすめの場所に君を連れまわそうと思っています。

K・レイジェフス君へ」

「カール・レイジェフスより

 撮った写真も見せますね。

 ロンドンは訪れたことがないので一度は足を運びたいです。レイへのプレゼントを買えるかもしれないし。田舎もどんな雰囲気なのか気になるし楽しみにしています。

 ではまた明日。

                            ドクター・ロレンスさんへ」




 次の日の朝、約束通りにドクターがレイジェフス家にやってきた。

♪ちりんちりん

「ドクターです、どなたかいらっしゃいますか?」

「ああ、ドクター。おはようございます」

「カール君じゃないか、用意はもう済んだのかい?」

「ええ、少しの荷物とレイとの写真だけだったので。昨日のうちに終わりましたよ」

「そっか、それは良かった。いくら何でも急を言いすぎたかと思っていたんです。それと……やっぱりレイリー君は僕のことを嫌ったままかな?」

「そうですね、好意は抱いていないと思います。レイにとっては自分の好きな兄を急にどこかへ連れて行ってしまう存在ですから。小さい頃から一緒にいることが多くて寂しさが抜けきっていないんだと」

「そうか、そうですよね。レイリー君と信頼関係を少しでも作ってからこの話をしたほうが良かったですね、悪いことをしました」

「気にしなくてもいいですよ、きっとすぐに慣れますから」

「そうですか? ありがとうございます」

「もう出発ですか?」

「そうですね、もう出発しようかと思っています。ご家族と話さなくてもよいですか?」

「二分だけ待っていてください。荷物を持ってきて一言だけ言ってきます」

「わかりました、外で待っていますね」

「ありがとうございます」


廊下

「レイ、行ってくるよ」

「もう行くの!?」

「時間らしいよ」

「そっか…… でも半年に一回は旅行に行けるもんね!」

「レイには写真だって送るし心配しないで」

「心配はしないよ、ドクターっていう人も悪い人ではなさそうだったしね。気にはいらないけど!」

「そっか、そうだよ。大丈夫だ。じゃあね」

「うん! またね!」


玄関先

「父さん、母さん。居間にいるのかと思っていたよ」

「見送りくらいはするさ」

「そうよ、大事な息子だもの」

「そっか、僕はまだ大事な息子のままだったんだね、良かったよ。じゃあね」


カールは弟にも父母にも簡素で短い言葉しか交わさなかった。どういう気持ちだったんだろうな。


「お持たせしました」

「そんなに待っていませんよ、でも早くいかないと間に合わないかもしれない。まあ間に合わなくてもいいんですけどね」

「出来れば間に合いましょう。お仕事に支障はないんですか?」

「僕は作家だからね、締め切りはまだ少し先だし書こうと思えば飛行機でだって書けるんです。だから遅れても気にしないですよ」

「作家とはそういうものなんですね」

「書きやすい環境はありますが、僕は基本自由が利く職業だと思っていますよ」

「そうなんですね、家でもできるなら僕にも向いているかもしれません」

「僕は何もしてほしくないんですが、暇になりすぎたら手伝ってみますか?」

「僕は観察するだけにします。ドクターが僕にするように」

「緊張しますね、意識しないように頑張らないといけません」

 そうこう言っているうちにカールとドクターは飛行場に到着して搭乗手続きを済ませることが出来たらしい。二人はサンドイッチとジュースを朝食にして、カールはレイリーに送るための写真を撮って、すぐに飛行機へと乗り込んだ。ギリギリだったから周りは人がもういっぱいで席についたのは最終搭乗時刻数分前だった。

「ギリギリでしたね」

「そうですね、もう少しで名前をアナウンスされるところでした。あれは存外恥ずかしいものです」

「呼ばれたことがあるんですか?」

「忙しい父が珍しく連れて行ってくれた家族旅行で。『ドード・ロレンス様、いらっしゃいましたら急いで五番搭乗口リスボン行きまでお越しくださいませ』と言われました。あれは子供心にとても恥ずかしかったことを覚えています」

「お父さんの名前はドードさんというんですね」

「ええ、あまり聞かない名前でしょう?」

「でもすぐに覚えてもらえそうですね」

「そうですね、そういう面ではいいかもしれません。僕の名前と同じですね」

「羨ましいです、僕の名前はどこにでもいるから」

「人と同じことも時には役に立ちますよ」

「そうだと良いです」

「朝が早かったのであまり寝られていないなら、時間はたっぷりあるので寝ていてもかまいませんよ」

「それなら、お言葉に甘えようかな」

「ええ、おやすみなさい」

「おやすみなさい、ドクター」

 カールが仮眠をとって、ドクターが静かに執筆活動をするうちに飛行機はロンドンの空港へと足を進めて二人をロンドンの地へと到着させた。ロンドンの空気は飛行場とてなんだか洗練されている気がする。

「カール君、着きましたよ」

「んん? ドクター?」

「寝起きはあまりよろしくないみたいですね。着きましたよ、カール君」

「ああ、もうロンドンですか、ぐっすり寝すぎていたみたいです。ごめんなさい」

「大丈夫ですよ、まだ降りるタイミングではないですから」

「そっか、良かった」

「カール君はロンドンは初めてなんですよね?」

「はい、なんだか空港でももうオシャレな気がします」

「そうですか? 確かに人は多いですが、お洒落かはわかりません」

「たまにでも来るからときっとわからないだけですよ、人の歩くスピードも何もかも違う」

「それはそうかもしれませんね、では入国手続きを済ませて僕の家に向かいましょう」

「はい、わかりました。でも僕とドクターは違う列に並ばないといけませんね」

「そうでした、では着いたら奥にスターバックスがあるのでその前で待ち合わせにしましょう。ついでにそこで食べていくのはどうですか?」

「いいですよ、スターバックスなんて久しぶりです」

「迷ったら僕にすぐ連絡してくださいね」

「もちろんですよ」

 ドクターは手慣れた様子で、カールは少しきょろきょろ辺りを見渡しながらいかにも観光客風に入国手続きを済ませた。

「カール君、混んでいたのかい?」

「ええ、外国籍の人のほうが多いから。待たせましたか?」

「ちょうど何を頼むか決められたので待っている時間はなかったですよ」

「何にするんですか?」

「チキンのサンドイッチにしようかと思っていますよ」

「サンドイッチもあるんですね、僕もサンドイッチにします」

「では買いに行きましょうか」

「お待たせしました、注文は?」

「このサンドイッチとそのサンドイッチ。それからドリップコーヒーと、何にする? カール君」

「ホワイトモカで」

「それとホワイトモカ、両方トールでお願いします」

「かしこまりました」

「カール君は甘いものが好みかな?」

「はい、最近はとびきり甘いのが好きなんです」

「僕とは真逆ですね」

「ドクターは苦いものが好みですか?」

「そうですね、チョコレートはビターですしコーヒーはブラックなのできっとそうです」

「大人ですね」

「そうでもありませんよ」

 二人はそのままサンドイッチと飲み物を飲んで少し休憩した。ドクターはあまりそのチキンが好みではないようだ。カールはホワイトモカの甘さが少し足りなかったらしい。二人はそこからタクシーを呼んでドクターの家へと向かった。通り過ぎる景色は都会らしいロンドンから田舎の風景へと変わっていき、それはカールを少しわくわくさせた。田舎といっても田園地帯という感じではなく情緒ある風景という感じだった。そんなカールを連れてタクシーはドクターの家の前に到着した。

「ドクター!」

「どうかしましたか?」

「ここはとてもいい雰囲気ですね!」

「それは良かったです。それと、とても元気ですね?」

「こんなところはあまり来たことがないから! ドクター、僕ドクターの期待に沿えないかも知れません!」

「僕もそんな感じがします、とても。でも連れていたのは僕ですから。好きにして構いませんよ」

「はい! 早く散歩したいなあ」

「今日は家でゆっくりしましょう、散歩なら明日からいつでもできますよ」

「そうですね、明日にします、でも楽しみだなあ」

「なんだか弟が出来た感じがしますよ、全くわんぱくな弟をもったものです」

「僕、兄が欲しかったんです。ドクターがお兄さんになってくれるならうれしいなあ!」

「僕は連れてくる子を間違えたのでしょうか、無気力はどこへ行ったのやら」

「ドクター! ドクター! 今日はなんのご飯にしますか!?」

「そうですね、軽いものかお腹にドッシリくるものかどちらにしますか?」

「さっきスターバックスで少し食べたから軽いものにします!」

「そうですか、では僕が作りますよ。待っていてください」

「手伝います!」

「そうですか? では少し休憩してから取り掛かりましょう。カール君の部屋を案内するのでこちらに来て下さい」

「はい、わかりました!」



「ここがカール君の部屋です。一応ここが君の部屋ですがとなりも空いているので好きに使ってください」

「ここで十分です! ドクターの部屋はどこにあるんですか?」

「一人暮らしだったのでどこがとは決まっていませんが、隣の隣が僕が書斎にしてよく使っている部屋ですよ」

「近いですね! ときどきお邪魔してもいいですか?」

「ええ、もちろんですよ」

「やった! 後ろから静かに入ってびっくりさせようっと!」

「やめてください、心臓に悪いです。というか案外いたずらっ子なんですね」

「はい! 高校の頃は少しやんちゃっぽい子と友達だったしレイともよくいたずらの仕合を小さい頃はしていましたよ」

「これからは背後に気を付けて生活することにします」

「びっくりしてくれないとつまんないです」

「でも驚かされるほうはおちおち生活できないですよ」

「なら、ドクターも僕にいたずら仕掛けてもいいですよ!」

「頑張ってみますね。僕は少し書斎にいるのでお腹がすいたら驚かさずに、僕を呼んでください」

「はーい」

「では、またあとで」


「ドクター!」

「カール君ですか、びっくりしましたよ。それでは準備を始めましょうか」

 二人は楽しく一緒に料理をして暖炉の前にある木のテーブルで食卓を囲んだ。簡単な食べ物だったがドクターは久しぶりに誰かとご飯を食べて楽しげだった。カールはここでもいたずらっ子だった。

「ドクター! やっぱり少し外に出ましょう! 行きますよ!」

「カール君!? 待ってください! ちょっと!」



 ドクターが寂しくなくなって良かった。あの優しい紳士は自分が自覚していなかったけど時々すごく寂しそうな顔をしていたから。これでもうドクターの面倒は見なくていいね、さよなら。


 僕は今日もドクターを振り回しながら毎日外に出ている。でもゲームもするし本も読むし音楽だって聴く。ドクターに頼んでエンゼルフィッシュを飼いはじめた。観察は毎日している。エンゼルフィッシュは今日も、健康でどこにだっていけるような優雅な姿で泳いでいた。










ドクターの日記


二〇〇六年 四月一〇日

  今日は家の外の木陰でコートを羽織りながら原稿の材料を集めた。そういえば、編集長の息子さんが風邪をひいたらしい。早く治ると良いな。あ、今度ハクシ卿が来るんだったか。用意しないといけない。


      四月一一日

  原稿を出すのは明日だった。急がなければ、短編だったのが幸いした。ハクシ卿が来たがいつも通り気のいいおじさんだった。フルーツを置いていってくれた。明日の朝にでも食べることにしよう。


      四月一二日

  無事原稿は出し終わった。今度は期限を間違えないように赤でわかりやすく書くことにしよう。編集長の息子さんはまだ体調がよくないらしい。長引くと大変だから心配だ。


      四月一三日

  父から連絡が来た。なんだか僕がさがしているような無気力的な少年がオーストラリアにいるらしい。どこのツテからそんな情報得たんだろうか。次の原稿は確認したらまだ少し先だったから会いに行ってみようか。


      四月一四日

  今日航空券をとってオーストラリアに向かった。久々の飛行機は少し寝心地が悪かった。


      四月一五日

  手当たり次第に少年がいる家を探そうとしたらなんと一軒目で当たりだった。確かに僕の思うような男の子だった。名はカールというらしい。話は驚くほど早くまとまった。航空券の手続きは明日する。……このホテルのソファふかふかだ。


      四月一六日

  航空券が取れた。明日にはカッスルクームに戻れると言いな。カール君の弟のレイリー君には相当嫌われたらしい。大事なお兄さんを急に連れて行ってしまうんだから仕方がないか。仲良くなってからのほうがやっぱり良かったかなあ。少ししょぼんとしてしまった。



      四月一七日

  カール君はとても淡泊に挨拶を済ませたらしい。僕が向こうに行ってからしっかり手紙を書いたほうがよさそうだ。朝が早かったからか飛行機ですぐに寝てしまった。その間に原稿を少し進められてよかった。

     

     四月一八日

  ロンドンについた。カール君は寝起きがあまりよくないらしい。明日から起こすときは少し考えて起こそう。あと、甘いものがとても好きなようだからスーパーに行ってとびきり甘いチョコを買ってきてあげたら喜びそうだ。……………………カール君ってこんなだっただろうか!? 僕が初めに見たときは無気力少年、いや青年か。だったはずなのに僕の家に着いたらとってもわんぱくになっていた。本来のカール君はああなんだろうか? とても驚いた。妹はいるけど、弟が出来たような感じになった。思い描いていた観察生活はできなさそうだなあ、でも人が家にいるのはなんだかいい感じがする。


     四月一九日

  朝からカール君は元気だった。少し古びた歴史のあるこの地域が彼の気に召したらしい。朝サンドイッチを二人で作って散歩に行った。近所の人たちは普段僕が一人でいるのに今日は二人だったから声を掛けてきた。僕は変な若者だと思われていたそうだ。普通だと常々僕自身は思っているんだけど。あとカール君はすぐに仲良くなってお話をしていた。コミュニケーションをとるのがきっと得意なんだろうな。少し羨ましい。

 

     四月二〇日

  書斎にいたらまた驚かされた。とんだいたずらっ子さんだ。僕がびっくりしたら喜ぶものだから性質が悪い。でもとても楽しそうだから許してあげた。それとレイリー君から手紙が来たらしい。内容はカメレオンの世話方法が分からないという苦情。すぐにメールで世話の方法を教えていた。カメレオンを飼っていたのか。


     四月二一日

  カメレオンを飼っていたカール君はエンゼルフィッシュが飼いたいと言い出した。自分で世話ができるかと聞いたら、もちろんだと返ってきたので飼うことになった。エンゼルフィッシュか。


     四月二二日

  今日エンゼルフィッシュを買いに店に行った。すぐお気に入りの子を見つけて水槽を買って必要なものも買った。家に水槽があるのはなんだか新鮮だ。原稿のネタにもなりそうだ。


      四月二三日

  エンゼルフィッシュの世話を楽しそうにした後は元気に外へ出ていった。今日は絵を描いたらしい。お世辞にもあまり上手くはなかった。上達するといいな。


      四月二四日

  編集長の息子さんの風邪はやっと治ったそうだ。安心した。次の題材は何にしようか。今の僕の生活をモチーフにするのも面白そうだ。カール君がまだ何かを飼いたいと言っていた。さすがにお金がないから止めておいたけど、放っておいたらきっとここは動物園か水族館のようになるだろうな。僕が家を空けるときに増やさないように言っておくべきだ。


      四月二六日



      八月七日

  地中海にレイリー君と旅行に行ってきたカール君はとても焦げていた。絶対シャワーがつらいだろうな。……カール君はとても表情豊かな子になった。連れてきてよかったなあと思った。僕が思っていた生活とは違うけれどやっぱり誰かの表情が周りにあるのはいいものだな。ちょ、っちょと、カール君!? 待っ、なんでそんなよgれてるno!?



小説というか劇の脚本のようになりました。

初投稿だったので緊張しましたが、お楽しみいただければ幸いです。

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