表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/82

第53話 機動装甲VS勇者

 だだだん、だだんと砲弾を連射するローラン。

 レオンを狙って撃たれたそれらは、レオンの脇を掠めて石畳の地面を弾けさせた。

 レオンは機動装甲に肉薄しながらそれを見上げた。

 機動装甲の大きさは二メートル半。それほど大きいものではないが、その黒いボディは鋼鉄製である。

 まず、剣では斬ることはできないだろう。機動装甲は攻撃するだけ無駄だとレオンは判断した。

 それなら、何処を狙うか。

 答えは簡単。操縦している人間である。

 どんなに強力な兵器も、操縦する人間がいなかったらただの鉄の塊にすぎない。

 しかし、普通に狙ったのではまず手は届かない。相手は銃を持っているので、迂闊に近付いたら狙撃される可能性がある。

 ならば、どうやって叩くか。

 それも、単純な話である。反撃されない状況を作り出せば良いのだ。

 レオンは機動装甲の側面に回りながらポケットをまさぐった。

 取り出した噴煙玉を、爪で擦ってローランめがけて投げつける!

 操縦席に飛び込んだ噴煙玉は、ぶしゅーっと勢い良く煙を噴き出した。

 大型の魔物の視界すら奪う煙は瞬く間に操縦席に充満した。

「な、何だ!? ごほっごほっ、けむい、目に沁みる!」

 機動装甲の動きが止まる。

 その隙に、レオンは機動装甲の側面に付いていた足場に手を掛けた。

 一気に機動装甲のボディをよじ登り、操縦席に飛び込む。

 懸命にばたばたと手を振って煙を追い払おうとしているローランめがけて、剣を振り下ろした!

 しかし、充満した煙はレオンの視界も遮った。剣は空しくローランの脇を掠め過ぎ、がつんと椅子の背凭れに命中した。

「うっ、うわぁぁ!」

 いきなり目の前に現れたレオンにびっくりしたのだろう。ローランが悲鳴を上げながら銃を構えた。

 ぱんっ、ぱぁんっ!

 銃弾はレオンの頬を掠めていった。

 ぴりっとした頬の痛みにレオンは顔を顰めながら、右の剣を振り上げる!

 がきん!

 剣先に、重い衝撃が走る。

 剣はレオンの手を離れて地面に落ちた。

「!」

「ふはははは、私がいることを忘れたか、勇者!」

 銃を構えたエヴァが哄笑している。

 レオンがローランに気を取られている隙を狙って、狙撃したのだ。

 ローランはぎょっとしてエヴァの方を向いた。

「ちょっと、エヴァ隊長! 下手したら自分に当たってたんじゃないですか、今の!」

「勇者を倒すためだ! 我慢しろ!」

「我慢も何もないですよ! 殺す気ですか!」

 怒鳴ってから、力一杯レオンの足を狙って突き飛ばす!

 不安定な場所に立っていたレオンは、その一撃をかわしきれず仰向けにひっくり返った。

 機動装甲から転落し、背中から地面に激突する。体を衝撃が駆け抜けて、思わずレオンは咳き込んだ。

「潰れろ!」

 機動装甲が足を持ち上げる。

 踏み潰されそうになったところを、レオンは地面を転がって避けた。

 落ちていた剣を拾って立ち上がり、機動装甲を睨み据える。

 ふー、ふー、と荒くなった呼吸を懸命に整える。

 ちょっと動いただけなのに息が上がるとは何て情けないんだ、と独りごちた。

 早いところ決着を着けないと、先に体力が尽きて動けなくなるのは自分の方だ。自分が弱っていることを知られる前に、何とかしてあの兵器を無力化しなければ。

 しかし、噴煙玉を使った手はもう通用しないだろう。相手も馬鹿ではない、次に同じ手を使ってもあっさり対処されるに違いない。

 どうやって仕掛ける? どうやって叩けばいい?

「どうした、機動装甲の前には手も足も出んか、勇者!」

 だぁんっ、と砲撃を仕掛けるエヴァ。

 反射的に避けようと駆け出したレオンの右足を、砲弾が貫く!

「……!」

 レオンは失速して、転がりながら地面の上に倒れてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ