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9.魔力測定

 ギルドはこの街でも数少ないという3階建ての建物で、1階には受付や軽食店などがあり、2階には応接間や職員用の執務室、3階がギルド長の部屋だったりVIP用の応接間があるのだそうだ。

 ギルドの案内板にそのように記載されていた。


 それにしても、ここってなんだか見たことがある気がすんだよなー。特に受付とか。なんでだろう??

 ギルドに着いて最初に感じたのはそんな事だった。


「勢いで来たのは良いんですけど、どうすれば良いんしょう? マリーさん」


 色々来ればわかると言われたが、実際どうすれば良いのかわからなかった私はマリーさんに聞いて見た。

 散々急かされたマリーさんとキッカちゃんは呆れているようであったが。


「絵魔師になる方法も、魔力の使い方も、魔力がなければどうしようもないのですから、まずは受付で魔力の測定をしてもらえば良いのでは無いですか?」


 なるほど、それもそうだと納得する。


「じゃあ取り敢えず行って来ます」

「あ、ミズカさん」


 列の少なそうな受け付けに向かおうとすると、マリーさんに呼び止められてしまう。


「え? なんですか?」


「これ持って行ってください」


「銅貨ですか??」


「測定にもお金がかかりますから」


 あ、ほんとだ。案内板にも書いてある。


「そんな、でも、お金を出してもらうだなんて……。完全に私の事ですし……」


「気にしないでください。描いていただいた絵のお礼ですよ」


「それならもう、通行料と情報で」

「あんなに素晴らしい絵を描いて頂いたんです。追加報酬と思ってください。大体これだけでも少ないぐらいで。そうだ、魔力があった場合には登録料とかも必要になるんです。こっちも受け取ってください。これで多少は価値に見合う形になるでしょう」


 銀貨を更に2枚渡されてしまう。

 雑貨屋などのやり取りを見るに、銅貨10枚で銀貨1枚となるようであった。


「え、でも……」


「良いんです。キッカもあんなに喜んで、私もこの絵には思わず感動してしまったんですから。受け取って貰えなければ私が困っちゃいます」


 そう言って大事そうに持っていた、似顔絵を改めて見てうっとりとしている。


 自分でもこの似顔絵は、良い出来になったと思っている。

 被写体2人の温かな雰囲気を表現したくて、背景の代わりにオレンジなどの暖色系を水分多めで配置し、上からトイレ用にもらった紙を押し付け水分を吸い取り。そうする事で、ほんわかとした、暖色系の色が所々混ざり合いながら、温かな空間をそこに作り出した。その上から、輪郭に使った白を光源側に残しつつ塗る事で、被写体を立体的に浮かび上がらせるように見せ。更に水彩のほんわかした塗りの中、輪郭の白がクッキリと被写体の存在感を主張させるように仕上げたのだ。

 正直、元の世界でもこれほどに良いものを描けたことはないかもしれない。


 でも、それもこれも被写体が良いからだ。

 キッカちゃんはとても可愛らしいし、マリーさんは、なんで門番さんと結婚したのか不思議なぐらい美人さんだ。

 そして何より、被写体が既にほぼ完成されたイラストに見えてしまうからだろう。

 実際のところ私がやった事など、初めて見る既存キャラに追加エフェクトなどの表現を持って、マイナーチェンジをしているにすぎない。


 本来似顔絵はデフォルメの仕方が重要になって来るものだが、今回は被写体がそもそも既にデフォルメされているような見た目である。

 逆に元の世界のリアルに寄せて描いたぐらいだ。

 これをやらないと、ちょっと罪悪感を感じてしまいそうで……。なんか、盗作しているみたいな気になっちゃって……。

 実際私がやった事などその程度なのだ。

 それに追加でお金を頂いてしまうのは、気が引けてしまう。

 それが顔に出てしまっていたのだろう。マリーさんがこんなことを言って来た。


「ミズカさんがどうしても気になると仰るのでしたら、ミズカさんが有名になってこの絵の価値をあげてください。そしたら私色んなところで自慢しちゃうんですから!」


 と笑い、キッカちゃんも「学園で自慢しちゃうのです!!」と今から張り切っている。


「……わかりました。そこまで言っていただけるのでしたら、このお金は受け取っておきます。有名になれるかどうかはわからないですけど、頑張って見ます」


 私はマリーさんに頭を下げてから、改めて受付へと並んだ。




 1人、また1人とやり取りを済ませ去っていく。その度列は前へと進んで行き、私の順番はあと2人ほどの位置まで来ていた。


 そういえば、こういうギルドとかに来た時って絡まれたりする、お約束というのがあるんだっけ? あれってどこからそんな話になったんだろう?

 暇だったこともあり、元の世界で読んだウェブ小説にあった内容を思い出し、そんな事を考えていた。


「次の人どうぞ」


 でも、そんなお約束そうそう現実には起こらないよね。実際まだ1人として、話しかけられてすらいないわけだし。


「次の人! 用がないんですか!?」


「え? あ、スミマセン! ぼぅっとしちゃってて……」


 いつの間にか前に並んでいた人達は居なくなり、私の順番になっていたようだった。

 どうでも良い事を考えていたせいで、少し怒らせちゃったよ……。


「まったく……それでご用件は?」


 少々イラつきながらもメガネの職員が訪ねてくる。

 なんか見たことのあるような顔だなぁ?

 この世界で知り合いなんているわけが無いし、気のせいかな?


「魔力の測定をお願いをしたいんですけど……」


「それでしたら、銅貨5枚になります」


「あ、はい。これで」


「はい。頂戴いたします。測定はあちらの係員の所で行いますので、こちらの札を係員にお渡しください」


 木の札を渡され、受け取る。

 測定は受付とは反対の壁側に待機している係員のところで行うようだ。

 そういえば、水晶玉のようなものが机に置いてあって、占い師が常駐しているのかなとか思っていたのだが、占い師な訳なかったよね。


「測定はあっちらしいので、行って来ますね」


 一度マリーさん達の元に戻り、一言伝えていく。


「キッカも見てみたいのです!」


「キッカちゃんは測定した事ないんですか?」


 との私の疑問はマリーさんが答えて来れた。


「私も夫も魔法の素養はありましたから。一般的に両親が魔法を使えるなら、その子供も魔力があるので、わざわざ測定しに来たりはしないんですよ」


 ヘェ〜。あれ? でも。


「それならなんで測定なんてギルドで行なっておるんですか?」


「両親が魔法を使えても、ごく稀にですが魔力のない子は生まれる事があるんです。まあほとんどないようですけど。それと逆に魔力が多すぎて魔法が暴走する場合があるので、いつまでも魔法が使えなかったり、逆に魔法が強く現れすぎる場合には測定しにくるんです」


「あぁ、なるほど。それは必要ですね。あ、キッカちゃん待って。それじゃ、言って来ますね」


 話している間にキッカちゃんは既に測定コーナーまで先に向かってしまっており、私も慌てて後を追った。




「測定お願いします」


 キッカちゃんに追いつき、木札を係員さんに渡す。


「はい。ではこちらにお名前とご職業をお書きください。学生であれば学生と書いてもらえれば良いですよ」


 係員員さんが机越しに記入用紙をこちらに差し出す。

 名前は良いんだけど、職業か……。

 前の世界であれば、自営業かイラストレーターって書けたんだけど、こちらの世界ではまだ職についていない。


「学生でもないし、職にもまだついていないんですけど……」


「でしたら、無職と」


 うっ。私のハートにダメージが……!

 自らニート宣言をさせるとか、このお役所仕事め……。


「わかりました……。どうぞ」


 泣く泣く椅子に座り、ミズカ、無職と書いて提出する。


「はい、ありがとうございます。それでは測定を行いますので目を閉じてください。手は机のの上に出して置いて下さい。手のひらを上に向けて、開いて、そうです。」


 言われた通り目を閉じる。手も机の上に出し言われた通りにする。


「体の中に流れる細い川があるとイメージして下さい」


 単調な係員の声に促され、イメージをする。

 体の中の細い川……血管とかで良いかな。血の川だけど。


「そこに川とは違う色の水流が流れています……それは川の流れに乗り、頭から足のつま先に、身体全体へと広がっていき、徐々に手のひらに収束していきます……」


 眠たくなるような声に導かれるように、イメージの中に血の色とは違う、青く発行する流れが細く追加される。その本数が増えて行き、次第に全身へと広がっていった。


 体に満ちた青い流れは徐々に、手のひらに収束していきーー。


「目を開けて良いですよ」


 その言葉で夢から覚めたように、イメージが消え、目を開ける。

 これってほとんど催眠術なんじゃ……。

 とか思ったところで、自分の手の異変に気づいた。


 なんか発光してるんだけど!?

 しかも手のひらの上には、代わる代わる七色に発光する球体が浮いてるし!!


「なんですか!? これ!!」


 驚く私の横ではキッカちゃんが「おぉ……」と感嘆の声を上げている。


「その球体が魔力により精製された魔素です。それの大きさでおおよその魔力量がわかるのですよ」


 と係員さんが教えてくれた。

 そして球体を観察しながらなにやら紙に書いていっている。


「えーと、直径が10センチ程ですから……円周が……えーと?」


 なにやら計算表のような物を見ながらうなり始めた係員。

 円周の長さを出そうとしているのかな?


「円周ならだいたい31センチぐらいじゃないですか?」


「え? あぁ、そのようですね。ありがとうございます」


 係員さんはお礼を言うと数値を紙に書いていく。しかしまたすぐにうなり出した。チラチラとこちらに視線を送ってくるのが鬱陶しい。

 わざとらしく「体積は……えーと」とかつぶやいているのも、少々ウザい。


 待っているといつまでも終わりそうにないし、魔力を使っているからなのか、疲労感があり、それも徐々に増してきている。

 もうー。めんどくさいなぁ。えーと体積だっけ? 半径の3乗が125で、これに4掛けて500でしょ? それでえーと、あーめんどくさい。もう円周率は3でいいや。


「だいたい500ですよ。体積なら」


「おぉ。なるほど、なるほど。助かります」


 そのまま、500と紙に書き加えている。

 いや、自分で計算しろよ!


「こんなもんですかね。先ほども説明しましたがこの球体が魔素です。この体積からだいたい一般的な量と言えますね。ただしこの手の方で発光している分は、魔素に変換し損ねた魔力ですね。しっかり制御出来ていれば、球体ももう少し大きかったはずです。なので実質的な魔力量は、一般より多いものと思ってください。魔法を使用する際はくれぐれも気をつけて下さいね」


 体積でだいたいの魔力量を測っているのか……。随分と大雑把な……て円周はどうしたよ!? 使う用途無いんじゃない?!?

 はぁ、なんか疲れた……。


「で、これはどう消せばいいんですか?」


「そのうち消えますよ」


 適当か!!


 あれ、そう言えばもう一つ気になることがあったんだ。机に乗っている水晶玉、これっていつ使うんだろう?


「この水晶玉っていつ使うんですか?」


「それは、ギルドへの登録に使うものですね」


 測定に関係ないのかよ!!


 そこで、私の意識が途切れる。魔力切れというものだろうか……。


 ……。


「そのうち消えるって、こういう事かよ!!」


 意識が途切れる刹那。私はそれだけ叫び額を机に打ち付けるのだった。

話の中では少し端折られてますが、球体の体積の計算式は、3/4πr3乗です。(r=半径)

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