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39.エクスプロージョン!! 制作労力大!!

キリ良く終わらせました。

今日第二更新です。


一応続く形で考えてるのでよろしくお願いします!


伏線残ってるしね!

 予選2試合目はその日中に始まった。


 時刻は夕刻頃。


 相手は傭兵的な出立ちだった。

 つまり魔法とか使わなくね? と思える相手で予想通り魔法を使えない相手だったようだ。

 そんな相手よっぽどの使い手でない限り、ミズカであっても遠距離からファイアーボール一択で勝利は決まっている。


 そんなこんなで、今日私は予選を乗り越えて本戦への出場が決まったのだった。


「へい、イェィー」


 とグラスを掲げるのはワーナさんだ。

 無駄にノリが良すぎる。


「いえー」


 一応は私も乗ってあげる。予選で疲れていて疲れ気味だ。


「い、いえー??」


 遠慮がちにグラスを持ち上げるのはメイガスである。離れしてないのが丸わかりで、合コンとか行ったことないだろうと断言できる。


「って今更ですけどなんで私がこの場に⁉︎」


 ほんとに今更だが、予選突破の祝勝会のこの場にメイガスがいるのには理由がある。


 ワーナさんに友達がいなかったのだ……。


 私を祝おうと言って酒場の席を予約したまでは良かったが、気づけば私とワーナさんの2人きり……。

 流石に寂しすぎると人を呼ぼうとしても、お互い共通する知り合いなど、メイガス以外にはおらず、それぞれに友人を呼ぼうにも、私は門番さん家族しかいないし、ワーナさんは召使いしかいなかった。


 門番さん家族を呼ぼうにも、キッカちゃんを酒の席に呼ぶのは引けるし、門番さんだけきてもらっても私的にいらないので、自粛した。

 ワーナさんの召使いは問題外だ。一緒に飲む前提の問題だ。

 つまりワーナさんに友達がいない問題が全てであり、私が呼べるつ友人がこの世界にいないのは仕方ないのだ!


 元の世界なら多少は呼べたかもしれないしね。

 多少は……。プログラマの某友人とか?


 まあ、そんなわけで唯一共通の知り合いであるメイガスがこの場に呼ばれたのである。


「ってわけですよ」


 地の文のノリで私がメイガスを納得させようとするが。


「いや、なにもわからないんですけど??」


 メオガスに地の文を読む能力はなかったようだ。




 と言っても、酒の場は無礼講。

 なんと言っても取り敢えず飲ませるだけなのだから関係がない。


「はい飲んでー。飲んで飲んでー。もっと飲んで!」


 若干コールじみたテンポでメイガスにお酒を進めているのは私だ。

 酒武将とは私だ!


「酒武将とは私だ!」


 実際に声に出したのはワーナさんだ。


 私もワーナさんも酔っ払っているのかもしれない。

 私に自覚はあってもワーナさんにその自覚がないのは、単純にアルコールへの慣れだろうか?


 私はなんだかんだ言って日々絵を描く=酒を飲むと言った生活を送っていたからね。

 お酒との付き合いも絵との付き合いもワーナさんにはまだまだ負けないと言うことだろう。


「急に酒武将とか、寄ってらっしゃるんですか? ワーナ様?」


「酔ってにゃい!」


 飲み始めてから何度目かのメイガスの問いに、酔っ払い全開でワーナさんが答える。


「はあ、酔っ払いはみんな言うんですよね……」


 とメイガスはやれやれと言いたげに肩を落とす。

 私的には未だにメイガスが酔い潰れていないのが一番不思議だ。


 私とワーナさんの倍は飲ませてるはずなのに⁉︎


「あ、グラスが空いてますね。何か注ぎますか?」


 私の驚愕を外にメイガスはそんなことを聞いてくる。

 優秀なサラリーマンの飲みの席そのままだ。


「あ、ファジーネーブルを」


 対する私は合コン初心者の初心子の返答だ。

 このままでは負ける!(なにかに!)

 そう思った私は反攻に出る。


「メイガスさんもグラスが空いてきてるじゃないですかー。私が注ぎますよ〜」


 見たこともないキャバクラ嬢をリスペクトしてみた。


「え、まだ半分--」


「はい、飲んで飲んでー、飲んでー」


 なんだかんだ付き合いがいいメイガスはこのコールでグラスに残ったアルコールを飲み切ってしまう。

 なんだろう。コールに逆らえきれない何か(サラリーマンの哀愁)でもあるのだろうか……。


 ……。


 …………。


 そんなこんなで、祝勝会はお開きになった。


 メイガスはあの後散々飲ませたのに結局潰れず。

 ワーナさんは酒武将宣言時には潰れていた。


 私はと言うと、半々で酔ってはいるが、ワーナさんを運ぶ程度には正常であるので、ワーナさんを担いでアトリエまで帰宅していた。

 帰宅した途端倒れ込んで、床で寝てしまうほどには酔っていたんだなと気付いたのは翌日のことだ--。




 その2日後、私は再び予選会場に来ていた。

 いや、今は本戦会場か。予選も本戦も会場は同じなのである。


 予選が2回戦だったのに対し、本戦は4回戦だ。

 そのうち予選なしで参加しているのは4名、予選を突破したのは私合わせて……計算すれば分かるよね?(計算が面倒になったわけではない!)


 予選なしのシード組は本戦2回戦目のそれぞれシード枠で相対する相手を待っているのである。

 ズルい……というのは私の本心さんの談だ。




 朝早く始まった本戦は意外なことに観客万雷だった。やっぱり賭博が横行しておるに違いない。


 私はその8回戦目、昼前の時間帯に始まった。

 本日は本戦初戦と2回戦を行い、翌日に準決勝と決戦を行うのだ。

 因みに、3位以下は順位不動である。運も実力のうちという事なのだろう。


 さて、そんな先の順位は置いといて私が相対するのは獣人だった。

 耳と尻尾が全主張しているのだから、間違えはない!

 モフモフしてやる!

 と私は意気込んでいる。もう私に状態異常はないのだ!




 獣人はオスであったが、それが意味をなすことはない。トーカほどの美少女獣人であったのなら手加減をしてのモフモフもあったかもしれないが、無骨な男児獣人であればゴワゴワの耳毛に触れた時点でファイアーボールである。

 私はここでやっとワーナさんの修行事、体力増強の強みに気づいた。


 描くことに疲れないどころか、獣人と走り回って疲れないのであるから、それも当然と言える。

 さらには修行の副作用としての俊敏性の向上と、一夜漬けと元々持ちうる魔素運用の巧みさを持って、近くに寄せず一方的に撃って完勝を示したのだ。

 これには観客も沸いていたのだから、私も気持ちが良い。




 2回戦目、私はシード枠の相手と相対していた。


 司会進行のアナウンスでは私と同じ絵魔師との事だ。見た目的に絵を描く様子など皆無な騎士然とした相手なのだが--。


 対戦相手、ドットーは悠然とフェンサーを構えている。試合はすでに始まっているのだ。

 彼の構える細長い針のような獲物を見て私はフェンシングみたいだと思う。実際フェンシングで使う武器の大本みたいな物なのでだから当然なのかもしれない。


 私も構えを取る。まだ戦いというものを知ったばかりの初心者であったが、ここまでの3戦が私に経験等ものを与えてくれた。


 細く針のような剣を水平に引くドットーに対して、私は無秩序に右腕を正眼に垂らし持ち上げていた。

 その指先には不可視の筆だあるように隙間を開けている。実際私にとっては筆が握られているのだ。


「ふっ、順当たる絵魔師か……。私にとっては今更な相手だな」


 とは相対する騎士然とするドットーの言だ。


「どういう意味ですか?」


 なんかめんどくぜーなと思う内容ではあったが律儀に私は返しておいた。


「ふっ、私にとっては通常の絵魔師というのは、戦い慣れたものということだよ」


 ドットーは鼻息と共に語った。

 いちいち鼻息が必要か? とイラつく。


「通常っていうのがわからないですけど?」


 それでも律儀に返答してしまうのが私だろうか。


「ふっ、それすらわからないか……。しかしそれも此度の戦いで思い知ることだろう!」


 いうと同時にドットーの剣が垂直に私を着こうと向かってくる。それも一つではなく無数に--。


 無数といえど本質的には一本である。ドットーは絶え間なく突きを行うことで一本を無数に見せるだけの技量があるのだ。その様はまさに秋雨。


 かと言って当たるわけにもいかない私は大きく後ろに避ける。

 ドットーの秋雨は点攻撃に関わらず、手数によって面への攻撃へと昇華しているが、後方、立体的な範囲には完全とは言えないのだ。

 それが私を助けたとも言える。


「さすがはシードと言ったところですかね!?」


 ドットーの攻撃を避けながら私は言う。普段はこんなこと言わない。これまでの3回戦だって無駄なことは口にしなかったのだから。

 それでも、口にしたのはドットーの『ふっ』がイラッとしていたからかもしれない。


『ふっ、シードだからと言うのは甘く見過ぎじゃないのかね!? 五月雨孔雀!!」


 技名のごとくドットーが叫ぶ中、私は単純に思った。『ふっふっ』うるせェと。


 そうは思うものの『五月雨孔雀』今までの秋雨と比べ範囲と密度が段違いであった。そのため、回避は今までも大きく取らなければ行けなく、次第に会場側の壁に追い込まれていった。


『あぁ』とかんきゃくの落胆が響く。少なくない観客が私に期待していたのかもしれない。


 しかし落胆には早い!

 私はまだなにもしていないのだから!


 もう逃げ場がない! それほどまでに追い込まれた私はそれまで正眼に構えていた右腕を下ろした。

 諦めたからではない。

 戦うためだ。


「ファイアーボール!」


 今試合で初の私の攻撃魔法だが、ドットーの五月雨孔雀の前にはあえなく撃ち落とされてしまう。

 しかし、目的は打ち落とされる後にあった。ファイアーボールは地に落ちると同時に爆煙をを発生させた。

 ミズカが仕込んでいたのだ。


 これでドットーはミズカの姿を捉えることはできない。だからと言って五月雨孔雀の攻勢が収まるものではなかったが。


「ファイアーボール!」


 ミズカの2発目のファイアーボールもドットーは悪あがきだとしか思わなかった。

 その思いのまま、2発目もあえなく墜落させ、爆煙を広げるだけだ。


 しかしそこに意味はあった。

 ドットーがついにミズカの姿をみう知ったのだから。

 ミズカはこれを機に大胆に動く。

 敵から離れるのではなく大胆にも近づいたのだ。

 それも直進して。一直線んで--。


 これで決める。そう思ってミズカは走りながら、風を描いた。

 横一線に、鋭い真空波の風だ。

 これは一回戦の少女が使っていた風魔法を元にそうぞうしてみたものだ。

 だからなのか、速度出ないものになってしまったが、斬撃力に申し分もない。視界遮られる中この攻撃を受けるのだ、避けようがないはずだとミズカは確信する。


 そしてその風は確かにドットーへと打ち付けられるのだった。


 真っ二つになってなければいいんだけど……。


 風を放ったミズカは目を閉じる。風の結果がグロかもしれないから。


 しかしその一瞬がいけなかった。

 ドットーはその風を受けながらも、流したのだ。

 その剣技のみで。


 ただ無傷ではなかった。

 片腕は半ばまできて落ちており、剣はすでに取り落としていた。

 それを見てミズカは言う。


「勝負有りですね。降参して下さい。ふっと言わずに」


 ミズカは勝利を確信していたのだ。

 しかし--。


「ふっ」


 しかしミズカの禁じた『ふっ』をドットーは発した。


「勝負あったのは私の方だ! まさかここで使うことになるとは思わなかったがな!」


 そうドットーが叫ぶと周囲が煌めき始める。


「これで決めだ! エクスプロージョン! 私が絵魔師と言うことを失念した貴様の敗北だ!!」


 ドットーの叫びと同時に爆発が巻き起こった。

 それはミズカにとっても、ドットーに対しても同等に--。




 結果だけを言えば引き分け。双方負けとも言える。

 ドットー放った爆発はミズカだけでなく、ドットーへも及んでいたのである。


 本来ドットーが万全であれば、ドットーが共々やられる事はなかったのだが、事前のミズカがダメージを耐えていたことで、耐えきれなかったようなのである。


 しかし、医務室で目覚めたミズカとしてはそもそもなぜあの大爆発をドットーが起こせたのかが不思議である。


 それに答えたのはワーナさんだった。


「あのドットーとは確かに普通の絵魔師とは異なる存在だったのであろうな。出なければあの爆発は用意できなかったでのであるよ」


 と、ドットーが戦いの始まる前に言った言葉を受け取るように言った。


『ふっ、私にとっては通常の絵魔師というのは、戦い慣れたものということだよ』


 ドットーは確かこう言っていたはずだ。『ふっ』がうぜー。

 ワーナさんはつまりこの『ふっ』を肯定したことを言っているのである。

 ちょっと受け入れ難い!


「そんな難しい顔をしなくても説明ぐらいしてあげるのであるよ。あれは用は絵魔師の応用技術なのである。そう点画と言う技術」


 そうワーナさんが言ったところで、私なんとなきわかってしまった。

 具体的にどう描いたまでは戦闘中だったのでわからないが、あの爆発が絵魔法であるのなら、点画が意味するところは大いに理解できたのである。


「もうわかった顔をしているな。そうドットーの五月雨孔雀とはつまり点描の点を打つ所業だったと言うわけだな。私も初めて見たが、五月雨を打ちつつも、それは爆発を描いていたのだよ」


 ワーナさんの言は説明不足のきらいがあったが概ね間違っていないだろう。聞いていて私も納得はいったのだから。


 つまりは、私が線を持って炎の形を作るように、tドットーは点を持って爆発を描いていたのだ。

 これだけを持ってってすれば私の絵魔師としての負けは確定している。

 私が線でファイアーボールを作っている中、彼は点を持って爆発を描いていたのだから。

 これは単純に魔法師としてではなく、絵師としての敗北と言える。


 私はあの『ふっ』を絵師としてみたことなどなかったのだ。それがあの点描における大爆発を許した。


 なにもを描くことに線は必須ではない。点でも絵は描けるのだ。それが彼が『通常』の絵魔師と違う点と言いたかったのだろう。


 それを最後まで気づけなかったから私は彼に勝てなかったんだなと思った。

 私も点描は高校生の頃に習って経験していたはずなのね……。


「まあ、負けたのは仕方ないのであるよ。同着といえどもな」


 そう私は負けた。しかしドットーも負けたのである。

 それによって徳をしたのは3回戦に勝ち上がったものだけだ。その者は無条件に決勝に進めたのだ。

 まだ準決勝も始まっていない、この時に最低でも2位が確定したのだから感謝して欲しい。感謝ついでにお金をめぐんでもいいと思う。




 そんなこんなで私の武闘会は終わったのだが……。


「結局ワーナさんの引率はそのままですか?」


 つまりは私は引率される見習いのままなんですか? と言う問いだ。


「それなのだがね……」


 とワーナさんは不必要なためを作る。


「予選通過でOKを出そうと思っていたからね、合格だよ!」


 と晴らかに言ってくれるが、ダメでも現状私にとってはあまり大きな差異はない。

 だってワーナさんにたかるしか食の自由がないのだから。

 だから--。


「あ。そうですか」


 とアッサリ味の返答をしてしまったのである。




 これを気に私は免許皆伝の絵魔師として活動していくこととなる。

 それでも変わらずワーナさんアトリエで食っちゃ寝の生活は変わらなかったのであるが。


 ちなみに……。


「ふう、これで引率が無事完了したことだし、私は自分の創作に戻るのであるよ」


 と達成感から晴れやかなワーナさんに私は言って。


「は? ワーナさんは創作活動の前に、デッサンでしょうが!? 私はまだワーナさんに合格を出した覚えが無いんですけど!?」


 と私が返したのは余談だろうか--。





今日の後日談

「え、デッサンはやるよ? もちろんやるのだよ!」

「朝から晩までですよ?」

「(T ^ T)」

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