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1、〆切は亡くなりました

初投稿です。

誤字とか少し直しました。

 彼女が亡くなり、その死は少なくない影響を決して長くもない期間に置いて世間を騒がした。

 常軌を逸した労働時間と薄利による生活水準の低下。それらが彼女の心身に多大なる負荷を与え、ついには過労死へと追いやったのだ。

 とニュースやSNSなどで取り立てられ、彼女を死へと駆り立てた会社もまた責め立てられ、営業停止に追い込まれた。

 それを機に労働環境の健全化だ、給与体制の改善だ、と尚も彼女とは関係のない他人が騒ぎ、特に大した変革も起きず彼女の死は世間から忘れられていった。

 しかし彼女からすれば、自分で望んで行なった結果であり、むしろ自分の所為で自分を取り立ててくれた会社が営業停止にまで追い込まれてしまったことの方が、ひどく悲しいことだと感じていたであろう。

 イラストレーターとして、なんとか生活出来るだけの稼ぎと、描くという好きな事をし続けられる状況。それだけで彼女は死ぬまで満足だと、本当にそう思っていたのだから。


 それに--。

 彼女は後に思う。

 その世界では死んでしまったが、異なる世界で彼女はまだ生きているのだから--。







「……はっ! ヤバっ! 〆切すぎ、て……」

 私は数瞬の微睡みから瞬時に覚醒し、少量の動悸に胸を圧迫される。

 それもすぐに戸惑いに変わってしまい、阿呆のように眼前の空を見つめるだけになってしまう。

「どこココ……」

 いつものように〆切に追われ、自宅の仕事部屋(=寝室)で一心不乱に描いていた筈なのに……。そう考え記憶を辿ってみる。

 確か。そう、久しぶりに有名どこのアプリゲームのキャラクター絵で、好みの女の子。

 もうそれは張り切って10時間はぶっ通しで描き続けていたはずで、〆切までは5時間を切っていたんじゃなかったかな。

 そんな中あと1時間もあれば完成しそうだと、やってやったぜー! ふー! と心から叫んでしまう程のやばいテンションになっていた気がする。

 う〜ん。この辺から記憶が曖昧だなぁ。

 とにかく、この辺りで気が緩んだのか途端に力が入らなくなって、ウトウトしてきちゃって……。


「は! 描き終わってない! 〆切!!」

 頭の中の記憶をよく覗き込むために、閉じていた目をカッと見開いて、正面を向く。

 窓は無い。壁もない。つまり室内じゃない。

 一面緑の草原と快晴の空が広がっていた。

「……ココどこ?」

 ループした。






 それから2度ほど同じ様に、思考をループさせてやっと〆切は諦める事を決意した。

「せめてあの子を完成させたかったな……」

 未練はタラタラだけれども……。


 とにかくは現状が意味わからなさすぎて、何がどうなって、こんな所にいるのか見当もつかないが、ここが自分の生きていた世界でないことだけは理解した。

 なぜかって、見たまんま。

 空も草原も非常にリアルだが、絵で描いた様な見た目をしているからだ。

 まるでアニメやゲームの中に迷い込んでしまったように。

 そんな風に感じるのであるから、超リアルなVRでデスなゲームでも始まったのかと一瞬考えてしまったが、私のいた現代ではあり得ないだろう。

 風や匂い、陽射しの温かさ、そんなものを再現できるほどの技術など無く、立体に見えるただの映像でしかないのだから。

 まあ、可能性だけで言えばなんらかの方法があり、私が知らないだけで、超リアルなデスゲームが開催されているということが、否定もできないが、可能性はかなり低いだろう。


 んなの、ねーよ。と私の本心は私の思考に呆れているようであるが。


 ひとまずここが別の世界。ラノベ的異世界(ねーよ※本心)や、ゲーム世界の中(妄想乙※本心)などと言った可能せの方があり得るのではないかと(ねーから※本心)

 ……。本心よ。ねーねー言うけど、本心はなんだと思うわけ?

(死後の世界?)

 それこそねーよ。(だよねー)


 だって、私はここに生きているんだから。


 とにかくここから移動して見ないと何もわからないだろうと言うことだけを、わかった気になり適当な方向に歩き出すことにした。

 草原と空しか見当たらないのだから、どの方向でも変わらないでしょ。と言うお気楽なのか、自暴自棄なのか自分でも判断のつかない思いで、草原を進むのだった。

 

少しずつ一度の投稿文字数を増やしていけたらいいな。と思ってます。

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