一章 魔王さまによる迷宮《ダンジョン》ぶっちゃけ解説 - 07 - ラスボス戦ライブ実況
一章 魔王さまによる迷宮ぶっちゃけ解説 - 07 - ラスボス戦ライブ実況
魔王バランはコメントを拾いながら適当に処理していく。
この辺りは随分と手慣れた感じがある。
「あんまり脱線すると話がわかんなくなるって、それ俺に言うの? まぁ、コメント拾ったの俺なんだけどね。でも、また忘れる前に話を戻そうな。で、どこからだっけ? もう、手遅れじゃんって……そんなこと書く暇あったら教えてくれた方が早いって思わない?
あっ、そうそう、迷宮が作られた目的がパーティのレベルアップにあるって話だった。すまんすまん……」
ようやく話が本題に戻りそうになった矢先、またスタッフから何か言って来たようで音声を切ってカメラと違う方向を向いて話している。
「書き込み早すぎじゃない? なんで分かったの? そうそう、迷宮からの映像が回復したんだよ。早すぎじゃねって書いた君。一体何を期待してたんだ? っていうか、ライブ映像なんだよね。時間ないからさっさと画面に出してみよう」
微妙なラグがあって、また迷宮からの画面が二分割されて、魔王バランの顔がワイプ表示になる。
「左側の方、四人パーティの方を見て欲しいんだけど……。明らかにさっきまでとは様子と違ってるのがわかるよね。それは、迷宮の最深部にいるからなんだ。つまり、これからラスボス戦が始まるんだよね」
パーティの背後から映像を捉えていたカメラのフレームに、何者かの大きな足が入ってくる。
ゆっくりとカメラが上にパンしていくと、そこにいたのは強力な武器と防具に身を固めた、フル装備状態の魔人であった。
「今回のラスボスは魔人だね。強力な魔力と戦闘力を併せ持った強敵だ。しかも、聖なる武器がないとダメージが通らないという特性まで持っているやっかいな敵だね。すぐに僧侶が戦士二人の武器を祝福したね。
これで、戦士二人の攻撃が通るようになったけど、その前に魔人が攻撃してきたよ。それをドワーフが盾になって防いだ。いいコンビネーションだね。祝福された武器で魔人を攻撃して、ダメージが入った。でもさすがに、そのくらいじゃ魔人はひるまないね。
ただ、後ろでは魔法使いが詠唱に入ってるね。どうやら、でかいのをぶっ放そうとしているようだ。おや、魔人はそれに気付いたようだ。沈黙のスキルで妨害してきた……どうやら、この闘いは長丁場になりそうだね。それじゃ、一旦ここで映像を戻そう」
魔王バランが言った瞬間、ダンジョンの画面から魔王バランを映した映像に切り替わる。