三章 魔王さまによる魔法解説『魔法ってなんだろう?』 - 20 - 魔鉱石
三章 魔王さまによる魔法解説『魔法ってなんだろう?』 - 20 - 魔鉱石
そのことをどう捉えるのかは一旦おいといて、消えた魔力がどうなってしまうのかを考えてみよう。もちろん、魔力がエネルギーである以上、無くなってしまうということは有りえない。
エネルギー保存の法則に反するからね。一見なくなったように見えるほど拡散して薄まってしまったという見方もできるかもしれないけど、これも魔力というエネルギーの特徴として考えづらいんだ。
おっさすがだね、速攻で答え返してきた人いるよ。ちゃんとこの放送真面目に見ていてくれた人もいるんだね。その通り、魔力というのは偏在するという特徴がある。それは最初の方で話したよね。
つまり、薄まるくらいまで拡散するということは考えづらい。では、どこにいくのか? そう考えると、一つの可能性が浮かび上がってくるんだ。つまり、魔物が死んだ後、その体内に存在した魔力はある特定の材質を持つ岩石に蓄積されていくのではないか、ということ。
これだと、魔力が偏在するという特徴とピッタリ符合するし無理のない理論だ。それで次に実証なんだけど、これは魔力が蓄積された岩石が見つかればいい話だよね」
そこまで魔王バランが話したとたん、一斉に同じようなコメントが流れてくる。
「魔鉱石、魔鉱石としか言えん、それは魔鉱石、魔鉱石スゲー……どういうことだ? まぁいいや。君たちにはとっくにわかっているようだけど、魔鉱石がそれなんだろうと推測できる。
何十億年にも及んで、魔物たちが生死を繰り返してきた魔界の地下には膨大な量の魔鉱石が存在しているであろうことは簡単に予想できる。つまり、魔界というのはエネルギー資源の宝庫だということなんだよ。
もちろん、そんな資源があっても、魔物に利用することは不可能だ。魔鉱石からエネルギーとなる魔力を取り出すためには精製が必要だし、使うためには魔法コアが必要だからね。
だから、今までずっと膨大に蓄積された魔力は誰にも利用されることなく、魔界の地下に眠ったままになっているんだ。そんなこと話して大丈夫かってコメント来たね。まぁ、誰も知らなければ、そう考えるかもね。現実には知る人ぞ知るって感じになってる。
どんな世界でもそうだけど、エネルギー資源というのは戦争における最大の動機になるから、これでも色々とあるんだ。まだまだ俺の魔界と行き来できる近隣異世界は発展途上だから近々の心配はないけどね。
技術力のある世界に見つかったら危険きわまりないことになるだろうね。勇者と話した動画を見ていた人なら聞いてるだろうけど、魔界では軍隊は作れない。最新の武装を装備した軍隊を送り込まれたら、簡単に侵略されてしまうのは間違いない」




