三章 魔王さまによる魔法解説『魔法ってなんだろう?』 - 12 - 線画解説
三章 魔王さまによる魔法解説『魔法ってなんだろう?』 - 12 - 線画解説
簡潔に魔王バランが説明すると、さっそくコメントがきた。
「そのくらいわかる、なめんじゃねぇ、なるほどわからん、焼肉くいてぇ……焼け跡から想像しちゃったかな? 自分の金で好きなだけ食べてくれ。とりあえず、物理現象の説明はこれくらいにして次いくね。なにしろ、これからの説明が本題だからね」
魔王バランは軽く水を口に含みながら、フリップを別のものに取り替える。
やはり線画で花崗岩を書いただけのものだ。
その絵に画面右側から左側へと向かう矢印を書き込む。
そして、花崗岩の中に左斜め上に向かう線、真っ直ぐ左へ向かう線、左斜め下へ向かう線を書き込んだ。
「これが、二回目にやった実験。リュールちゃんが力技の魔法で花崗岩を破壊した時に働いた力なんだ。横から来た魔法は花崗岩にぶつかると、そこで破壊する力へと変わる。
ただし、力の向きは魔法が来た方向の影響を受けるから、花崗岩は破壊されると矢印の方向へと向かうんだよね。だから、真下の位置の地面はほとんど影響を受けていない。そして、爆薬と違って燃焼は起こっていないから焦げ跡はつかない。その結果が、さっきみて貰った写真になるんだよね」
魔王バランは短くまとめた説明を終えると、また次のフリップと取り替える。
先の二枚のフリップと同様に、花崗岩の線画が描かれていた。
それにも魔王バランが矢印を書き込んでいく。
これまでと違って、花崗岩の中央から外に向かう細かい矢印を六方向に向かって書き、花崗岩の外からはその矢印とは反対方向に向かう矢印を六つ書く。
「さて、これで最後だね。ゴメンこの説明が終わるまでコメントは無視させてくれ。この絵を見てもらうと今までの二つと違って、複数の方向からの力が働いていることがわかるよね。
まずわかりやすいのは、花崗岩の中心部から外へと向かう力だ。この力によって花崗岩は外へと向かってはじけ飛ぼうとする。それを外から内側に向かう力が相殺してしまった。
はじけ飛ぼうとした花崗岩の破片は行き所をなくしてしまい、破片をより細かく砕く力に変わってしまったんだ。それで、写真で見たような砂状になった花崗岩が体積しまうような写真になったんだよね。
付け加えると、外側に向かう力と内側に向かう力は違う種類の魔法を使ってるんだ。さらに魔法を発生させるポイントを指定するための魔法も使用している。つまり、まったく同時に4つの魔法を使ったんだよね。
同じことは人間はおろか、俺にだって出来ないよ。スマートフォンを使って実行したからこそできることなんだよね。って感じで今の実験の説明は終わるね。この結果を踏まえた上で、魔法の解説に入るよ」




