三章 魔王さまによる魔法解説『魔法ってなんだろう?』 - 11 - 結果写真
三章 魔王さまによる魔法解説『魔法ってなんだろう?』 - 11 - 結果写真
ここで魔王バランは一旦話しを切ると、手元に置いてあった水を飲もうとして空になっていることに気付く。
コップをスタッフの方に上げてみせて、スタッフが気付いたことを確認すると水を飲むことは諦めてまた話しを再開する。
「気が聞かねぇなぁ、魔王なめられてんな、スタッフ水くらい出せや、ちょっとスタッフシメとくか?……水くらいでそこまで熱くなんなくても、ホント君らスタッフには容赦ないなぁ」
コメントを処理しているところで、腰を屈めたスタッフが水を持ってくる。
コップを入れ替えて、魔王バランは新しく届いた水で口を潤してから話を再開した。
「それじゃいくよ。爆薬を使ったもの、古典魔法を使ったもの、現代魔法を使ったものの跡をそれぞれ見てもらったよね。この写真を見て疑問を感じた人もいると思うんだ。
そう、さっきさんざん君たちを睡魔に誘いながらもしつこく説明した、『現象不遡及の法則』のことだよね。花崗岩を破壊するという同じ行為をしたのに、結果はまるで違うものになっている。
これを見る限り、どのやり方をしたのかまるわかりだもんね。つまり『現象不遡及の法則』とは矛盾している……ように見えてしまうんだ。一見ね。結論から言えば、『現象不遡及の法則』にはまったく矛盾していない。
それどころか、『現象不遡及の法則』が正しいからこそこの結果が生まれたんだ。そして、そのことこそが魔法っていうのがなんなのかを知るための一番の手がかりになるんだ」
話ながら魔王バランはフリップを別のものへと取り替える。
新しいフリップには、線画で花崗岩が書かれている。
その形は、実験で使った三つの花崗岩に似せて書かれていた。
魔王バランは線画で書かれた花崗岩に、ペンを使って線を一本書き込んでいく。
ちょうど、真ん中より少しばかり下の辺りだ。
「今書き込んだ線は花崗岩に爆薬を仕込んだ位置なんだ。違いをわかりやすくするために、通常より下の位置にしてもらった」
ここで魔王バランは書き込んだ線から四方に向かう矢印をいくつか書き込む。
「この位置で爆発が起こり、この矢印の方向に向かって花崗岩を破壊する力が働いた。破壊された花崗岩は破片になってこの矢印の向きに飛んでいくことになるんだ。当然下向きにも破片とともに破壊する力が働くのですり鉢状の凹みができる。
もちろん、その力の源は爆薬の燃焼によるものなので、地面が焦げたようになったってわけだね」




