三章 魔王さまによる魔法解説『魔法ってなんだろう?』 - 08 - 爆薬と古典魔法
三章 魔王さまによる魔法解説『魔法ってなんだろう?』 - 08 - 爆薬と古典魔法
テーブルの一番左側に、四角い箱が置いてあり、その上には赤くて丸いボタンが付いている。いかにもといった感じの爆破ボタンであった。
「それでは……ポチッとな」
リュールは一瞬のためらいもなくボタンを押す。
その瞬間に派手な音とともに、一番左側の火成岩の置かれていた場所が爆煙に包まれる。
しばらくの間、煙で何も見えなかったが、それが収まると火成岩のあった場所には何もなくなっていた。
「はぁ。さすが職人さんです。みごとに吹き飛びました」
リュールが称えるように言う。
ただ、体はもう次の実験の準備に向かっていた。
テーブルの真ん中には、持ち手の辺りが丸く曲がった、いかにもと言った感じの杖が置いてある。
「年代物の魔法の杖ですね。大魔導師が使っていたということでした。次はこれを使います」
話しながらリュールは魔法の杖を手に取っていた。
「もうおわかりだとは思いますが、次の岩はわたしが攻撃魔法を使って破壊します。ただ、あれだけの岩を一瞬で破壊するとなると相当な魔力と詠唱を必要としますので、しばらくお時間をください」
カメラに向かって説明し終わると、リュールは机の前に出て魔法の杖をゆっくりと動かしながら、呪文の詠唱を始める。
詠唱している中で、魔法の杖の動きに合わせて空中に青白い光で魔法陣のような紋章が浮かび上がる。
それは、リュールが魔法陣を魔力の篭った魔法の杖を使って空中に描いた魔法陣である。
かなり高度で複雑な魔法なのだが、リュールはまったく一度も途切れることなく最後まで描ききる。
詠唱を初めてからおよそ三分ほどの時間が経っていた。
「ログラングバラッシュ!」
最後に、よく分からない呪文を口にしたとたん、魔法の杖で描き出した青白い紋章は白く輝き、そこから放たれた光が二つ目の花崗岩に向かう。
白い光の照射がしばらく続いた後、大きな花崗岩は大きな音を立てて跡形なく吹き飛んだ。
爆薬による爆発に似ていたが、爆煙はほとんど発生しなかった。
それで魔法を使ったリュールは、力を出し切った感じになっており、両膝に両手をついた格好で肩で息をしていた。
すっかり疲れ果てた感じで、この先の実験を続けられるのか怪しい感じになっている。
だが、超級美女のこんな姿は見ている殆どの男たちにとって、実に美味しい映像であった。




