一章 魔王さまによる迷宮《ダンジョン》ぶっちゃけ解説 - 04 - 迷宮《ダンジョン》解説開始
一章 魔王さまによる迷宮ぶっちゃけ解説 - 04 - 迷宮解説開始
言いながら、魔王バランは目の前に立ててあったフリップを、いきなりパタンと倒してしまう。
「おっ? コンメントがさっそく荒れてきたね。そんな無茶言って、魔王だからなんじゃないかって書き込みありがとう。まさに、そのコメントのためにさっきのライブ映像をみてもらったんだ。
っていうのも、俺は強い。ダンジョン内すべてのモンスターが束になってかかってきても片手で倒せるくらい俺は強い。だけど、そのこととダンジョン攻略はまったく別の話なんだ。
また、コメントがきたね。そんなの屁理屈じゃないかって? それは、強いに越したことはないよ、でも強くなるだけなら、一番上の階層でひたすらモンスターを倒していれば時間はかかるけど、確実に強くなるよ。
でも、それじゃ永遠にダンジョン攻略はできないよね? 強さとダンジョン攻略は別の話だって言ったことの意味はそういうことなんだ」
ここで、魔王バランは別のフリップを前に立てかけながら説明に入る。
「これを見て欲しいんだ。これは、ダンジョンを攻略したパーティごとの人数と、職業の構成比率をまとめたものなんだ。これを見てもらうと分かるけど、一番多いのはやっぱり四人パーティ。意外にも次が二人で、次いで三人。五人以上になると、極端に攻略したパーティの数が減っている。
この辺りの分析はひとまず置いとくとして、先に職業の構成比を見てみよう。もちろん圧倒的に多いのは剣士だね。ダンジョン攻略には必須の職業だと言えるんじゃないかな。
次に魔法使いと僧侶が同じくらい。それ以外の職業だと極端に比率が下がっているんだ。レアというよりは、最大四人までという枠の中で、それ以外の職業の冒険者をパーティに入れてしまうと攻略できる可能性が著しく下がってしまう、というのがこの結果につながっていると分析できるんだ」
ここでさらに魔王バランは次のフリップを立てる。
それは、ダンジョンを縦に見た断面図であった。
簡単な説明が書いてある。
「これは、俺が実際に造ったダンジョンの断面図なんだけど……もうすこし、カメラ寄ってもらっていいかな?」
運営スタッフがカメラをフリップに近づけていく。
「はいはい、そこで止まって。んっ? 今、偉そうにって書いたあなた、俺ってこう見えても偉いのよ? 一応魔王だしさ。偉そうに見えないのが問題だって? 君ね、そういうこと言っちゃうわけ? そんなことは、俺がいないところで言うのがマナーってもんだよ」