三章 魔王さまによる魔法解説『魔法ってなんだろう?』 - 01 - 変則スタート
三章 魔王さまによる魔法解説『魔法ってなんだろう?』 - 01 - 変則スタート
画面にはいきなり画像のドアップが映っていた。
ド派手な衣装を着た、美少女魔法使いが空中に自分自身よりも大きな魔法陣を展開させて、なにやら大技を放とうとしている瞬間を捉えた静止画である。
説明も無しにそんな物を見せられた視聴者は、当然なんだなんだ? といった感じのコメントを一斉に流し初めた。
「やぁ、ごめん。前回とんでもない美女に来てもらったから、最初くらいは暑苦しい、おっさん魔王の絵面よりは、美少女で始まった方がいいかなと思ったんだ」
美少女魔法使いが消えて、いきなり魔王バランがいつものように登場する。
「は?、何考えてんだ?、美少女からの魔王はきつい……想像以上に不評なようだね。そんじゃ次回からはやめとくよ。それと、ちょっとした報告があるんだ。といっても、配信が変わるとかいうわけじゃないんだけど……」
ここで魔王バランはカメラの向こう側に向かって話しかける。
「どうする? でる? いや? 俺から伝えるだけ伝えといてって? でも、それじゃ視聴者納得しないと思うよ? しかたないから後半ならって……後半出てくれるってこと? わかった、それじゃそう言っとくね」
話し終えた魔王バランはカメラを見て話しを再開する。
「ごめんごめん、けして君らを放置してたわけじゃないんだ。で、なやってたんだ……って聞きたいよね? だけど、今聞いてたでしょ? 後半なんだってさ。しかたないから、さっさと今日のテーマに入るね」
大量に来ている疑問のコメントを華麗にスルーして、魔王バランは一冊の分厚い本をカメラから見える位置に立てる。
「この本分かる人いるかな? おっ、すごいね、すぐに分かった人いるよ。その通り、これは魔導書なんだ。魔導書と言っても、その種類も内容も千差万別で中には完全な紛い物も多数混じっている。
この本はその中でも稀な力をもった黒魔術書の写本なんだよね。俺は読んだことあるかって?……もちろんないよ。なぜなのか、その辺りのことも含めて説明するつもりなんだ。でも、その前に、まずは魔導書について説明させてくれ。
もちろん、一般的に知られているようなことではなく、魔法という側面から捉えた説明なんだ。えっ? 魔導書なんだから一緒だろって?……君たちわかってないね。




