一章 魔王さまによる迷宮《ダンジョン》ぶっちゃけ解説 - 03 - 実況中継右
一章 魔王さまによる迷宮ぶっちゃけ解説 - 03 - 実況中継右
「続けて見ていくよ、画面右側戦闘が始まってるね。どうやら、スケルトン三体とトロール一体の混成部隊と遭遇したようだ。戦士は迷うことなくでかいトロールに向かっていったね。
魔法使いの方は、スケルトン三体を相手にするようだ。トロールと戦士が闘っている間、魔法使いはファイアーボールの攻撃魔法を多用して、スケルトンと闘っているね。でも、効果的なダメージは与えられていない。
スケルトン三体はアンデッドだから、僧侶の浄化系の魔法が効果的なんだけど、このパーティには僧侶系の聖職者がいないから、トロールと戦士の闘いが終わるまで時間をかせいでいるんだね。
おっ、そう言ってる最中にトロールが戦士に斃されたね。そして、そのままスケルトンに背後から切りかかった。そこに、魔法使いが剣士の剣にエンチャントしてきたね。普通の剣ならスケルトンは復活してくるけど、魔法を付与された剣で切られたらスケルトンはそのまま灰になってしまうからね。
あっという間に三体のスケルトンは斃されたね。これで、戦闘を終わって、ダンジョン探索再開するようだね」
右側に映っている変則パーティの戦闘解説を終えると、目の前に置いてあるコップからストローで何か飲みながらなにやら手元を探り始める。
「あったあった、これだこれだ」
そう言って、カメラの前に一枚のフリップを見える位置に置く。
ただ、今は画面の隅のワイプに小さく映されているために、何が書かれているのか判読不可能だ。
「こっちの画面、大きくしてくれるかな?」
すると、しばらく時間を取った後、二分割されたダンジョン内のライブ映像が消えて、魔王バランが大写しになる。
すると、その映像を確認した魔王バランがスタッフに言う。
「ちがうちがう、俺の前に立ててあるフリップを映して」
それでようやく、フリップが画面全体に大写しになり、何が書いてあるのか分かるようになった。
「さっき見た実例を読み解く前に、これを見てくれ。たぶんみんな知ってるとおもうけど、ダンジョン攻略のためのパーティを構成する主な職業と簡単な役割をまとめてみたものなんだ」
フリップは大きく三つの囲みがあって、その中に色々と書いてある。
魔王バランは指し棒を使って、説明を始める。
「ここに書いてあるのは、君たちがよく知っている一般的な職業体系だ。左から物理攻撃主体の戦士タイプ。魔法攻撃主体の魔法使いタイプ。回復魔法が主体の僧侶タイプ。
この中にはさらに細かく書いてあるけど、概ねこんなところだ。細かいバリエーションはあるけど、ダンジョン攻略はこの組み合わせが基本になって行われることになる。
だけど、これから俺がする話しではこんなの全部忘れてくれてもらって構わない、っていうか忘れてくれ。なぜなら、ダンジョン攻略にとって、こんなのすべてまやかしなんだ」