二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 20 - 美女と勇者
二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 20 - 美女と勇者
あふれたコメントを簡単に処理した後、魔王バランは本題に触れるような質問をする。
「ええ、もちろん。わたしが勇者オランドと出会ったのは冒険者ギルドで依頼を受けた、オーガ退治に向かう途中にあったラッカの村でした。
勇者オランドはドラゴン退治に向かう途中ということでしたが、パーティに参加してオーガ退治に協力してくれました。
その返礼として、わたし達のパーティはドラゴン退治に協力しました。それから勇者が魔王に闘いを挑むまで、勇者オランドとの関係が続くことになります」
いよいよ、リュールの話しはがっつりと今日の本題へと入ってきた。
「これは聞いていいのかな……ぶっちゃけ、勇者オランドとの間に個人的なおつきあいはあったのかな? まぁ、大人の男女関係って意味なんだけど」
魔王バランはいきなりどストレートな質問をぶつける。
同時にコメントもまた一斉に沸き立った。
もう、間違いなく全員が興味を持っている問題であった。
「もちろんかまいません。当時、関係していた全員が知っていたことですから。出会ったすぐ後からずっと、わたしと勇者オランドは恋人関係にありました。もちろん夜の方は、大人の男女ということでご想像ください」
遠慮ない魔王バランの質問に、リュールもどストレートな答えを返す。
これが対決ならば、一歩も引かない感じだろうか。
「うおぉぉぉ、ふんぎゃー、であー、オレだめ、おかぁさぁーん……なんか、コメントが悲鳴だか喜んでるんだかわからない感じになってきたね。
だいたい君たちもこれで分かったと思うけど、彼女くらい勇者についてよく知る人間はいないんだ。それじゃ、ここからは勇者の闇の部分に光をあてていくよ」
最後の話した魔王バランの言葉で、あれほど沸き立っていたコメントが一瞬で静まった。
この配信を見ている視聴者の喉がごくりと鳴っているのが聞こえそうな雰囲気がある。
「勇者オランドと君たちのパーティーは、ドラゴンを斃した後、証拠の心臓と肋骨を持って、わざわざガルウィット王国を訪ねているよね。それはなんで?」
魔王バランが最初した質問は、リュールがした話からそのまま繋がるものだった。
「その疑問は、勇者オランドからその話を初めて聞いたとき、わたしを含めてパーティー全員が抱いたものでした。
なぜなら、ガルウィット王国は斃したドラゴンが生息していたツェック公国からだと、広大な領土を持つアイゼランド皇国を抜けていかなくてはならない遠くはなれた国だったからです。
勇者オランドに幾度となく質問したのですが、返ってきた答えはいつも同じでした。それは、人々を守るためというよく理解できないものでした」




