二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 19 - 美女のゲスト
二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 19 - 美女のゲスト
魔王バランは速攻でコメントを拾い上げた。
「まず、生まれたのは五十年前、リリンの森。また、随分若いエルフさんだねぇ。これ、間違いないの?」
フリップの裏に書いてある略歴を読みながら、疑問に感じた魔王バランはいきなりリュールに聞いた。
「はい。でも若いってよく言われますけど、とっくに成人してますし、人間だったらもうそれなりの年齢ですよ?」
若いと言われることに、若干抵抗があるらしくさっきまでより能弁になってリュールが答えた。
「なるほど、色々と大変そうだね。それで、子供の頃から巫女としての修行を積んでいて、三十歳の時に村を離れてから魔法使いとしての修行を初めたってあるけど、やっぱり賢者になりたかったからかな?」
一足飛びに時間を進めて、魔王バランは個人的な質問をする。
「はい、そうです。子供の頃から巫女をやっていましたので、僧侶系の魔法はほぼ極めていました。それで、その先を目指そうとした結果が賢者です。でも、そのためには魔法使いとしての修行が必要になり、村を出ました」
魔王バランとのやり取りで、いい感じに緊張がほぐれて来たらしく、リュールはしっかりと話すようになってくれた。
「ほうほう、でもハイエルフって、外の連中との接触を極端に嫌うでしょ。色々とあったんじゃない?」
定番というか、世間話レベルの質問を魔王バランがすると。
「ええ、まぁ……色々と……」
美しい顔を僅かに曇らせてリュールは言葉を濁した。
その瞬間大量のコメントがくる。
「なにやっちゃってんの?、言い過ぎだろ、空気嫁、セクハラ大魔王……ちっといい感じにコメントしてるけど、セクハラ関係ないから。
なんか、魔王的にアウェイ感でちゃってるけど、まぁこれだけの美女がいたんじゃしかたない。それじゃ続けよう。
魔法使いとなった頃に、冒険者になってるね。やっぱり、パーティに参加して迷宮攻略するためかな?」
コメントを処理した後、さっさと話しを進めて次の質問をする。
「ええ、その通りです。初心者のみの四人パーティでした」
うなずいてリュールは短く答える。
「そして、迷宮をいくつか攻略した後、勇者と出会ってるね」
魔王バランが指摘したとたん、また一気にコメントが増える。
「キター、勇者登場、なんだなんだ?、勇者だってよ、こんなの、ゆうしゃられるのか……さすがにそのダジャレは無理があるね。コメントはともかく、勇者との出会いってどんなだったか、簡単に話してもらえるかな?」




