二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 17 - 前半終了
二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 17 - 前半終了
しかしもう一度、今回の配信のタイトルを思い出して欲しいんだ。『勇者の真実と闇』ってなってただろ? あくまで俺がやりたかったのは、勇者という存在に隠されている真実と闇をほじくり返すことであって、勇者そのものについて語るつもりはなかったんだよ。
前半では勇者の真実に光を当ててみた。だからこれから後半戦で、勇者の闇に光を当てていくつもりなんだ。
もちろん、そこからは会員限定にするつもりだから……おっ、さっそく入会ありがとう……遠慮なく深掘りしていくよ。もちろん、大人の事情はアリアリなのでその辺りは察してくれ。それじゃ、そろそろアンケいく?」
魔王バランはいつものように、カメラの向こう側にいるスタッフに呼びかける。
すぐにスタッフがゴーサイン出したようで、カメラの方を向いてコメントを処理し始める。
「いけるんだってさ。それで、アンケ内容どうしようかな? 勇者になりたいか? それ聞くの? なんか、答え分かりそうなんだけど、コメント多いから一応やっとくか。
なりたい、なりたくない、それって美味しい? の三択くらいでいいかな? いいよ、いいだろが、いいってことよ、三しか見えない……おっアンケ始まった」
視聴者の画面上にアンケート内容が表示され、その中の一つをマウスクリックで選択できるようになった。
視聴者がクリックで選択すると、その視聴者の画面にはしばらくお待ち下さいの文字が表示されて二重選択はできないようになっている。
「アンケート結果が表示されたね。やっぱりというか、三番目の圧勝で、次は二番目、最後は一番目だったね。
たぶんみんなわかってたと思うけど、予想通りの結果になったね。それじゃ、会員限定配信に切り替えてくれ」
魔王バランがスタッフに呼びかけると、悲鳴のようなコメントが一斉に流れてくる。
魔王チャンネルにおけるお約束となったくだりであった。
だが、ここからはいつもと明らかに異なった展開になる。




