二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 16 - 勇者の立ち位置
二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 16 - 勇者の立ち位置
「むちゃくちゃやな勇者、その話し信じていい?、違う世界を生きてやがるぜ、勇者ってけっこう正々堂々としてね?……このコメントいいね。
まさに、その通りなんだよ。この一言が、勇者にとって一番大切なものを言い表してるんだ。国を動かす政治家や王侯貴族、それに商家や会社の経営者なんてその対極に位置する存在なんだ。
とにかく、結果を求める。国を治める統治者は国をより豊かにして、国民の生命財産を守り抜くという結果を常に求められる。経営者は常に利益を上げることを求められる。
国民に不利益が生じないように法規制はあるけど、その範囲内で結果を出さなくてはならない。どんなに理念や手法が素晴らしいものであっても、結果が伴わなければ責任を取らなくてはならない。
だから、彼らは実利家とも呼ばれているね。それに対して実利を追求し始めた瞬間、勇者は勇者ではなくなる。勇者にとって大切なものは結果ではなく手段なんだ。ここら辺りの説明はけっこう繰り返しになっちゃったね。でも、勇者について考察していくと、結局ここに行き着くんだよね。
手抜きじゃね?……ってコメントした君、けっこう俺は、がんばってると思わないか? 思う、思う、思わない、どうでもいい、よっしゃー、結論はよ……ってコンメントきたから、そろそろ前半のまとめに入ろうか」
コメントではまだまとめなくていいよ的なものもあったが、魔王バランはスルーした。
そろそろ前半を締めないと、時間的にあぶない感じになってきている。
「ここまで俺がやったトークで、ずいぶんと勇者への理解ができてきたんじゃないかな?
勇者というのは、称号とも職業とも言い切れない何か。勇者は強敵が必要で、常に闘いつづけていなくてはならない存在。勇者は結果ではなく、手段を絶対視する。
まぁ、大雑把にまとめてみるとこんな所だね。だからなんなんだっていう話なんだけど、一つだけ言っておくね。
これは、本当は勇者の話じゃないいんだ。だから、勇者がやったことに関して、俺は一回も良いとか悪いとか言わなかったでしょ?
勇者が闘う前の映像を流した時も、俺は勇者の批判なんてまったくしなかった。全ては後半、会員限定配信でする話へと繋がるんだよ。
なんだよそれ、勇者詐欺、騙したな祝ってやる……ありがとう。まぁ、君らが言いたくなる気持ちは十分理解できる。そりゃそうだろう。




