二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 12 - 動画解説
二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 12 - 動画解説
「そんな詭弁を弄するなど、やはり魔王など信用ならん! そもそも、ここに来るまでに、私の仲間が犠牲になった。私には、彼らの思いを、そして人々の願いを叶える勇者としての責務がある! これ以上、貴様と話しても無駄なこと。そちらがこないならこちらから行く! 魔王、死ね!」
最強の剣を抜き放ち、最強の装備に身を固めた勇者が、魔王に向かっていきなり最強の技をぶつけようとした所で、映像はぶつんと切れた。
そんな所で映像が途切れたものだから、とうぜん山のようにクレームのコメントがくる。
画面は動画の映像からまた魔王バランの映像に切り替わった。
「ゴアうぜぇ、ゴアシネ、ゴアさんお亡くなりになってください、ゴアってんじゃねぇよ……やっぱり、不満の嵐になっちゃったねぇ。でも察してくれ、俺はこのチャンネルを失いたくないんだ。で、今の動画なんだけど、どう思った?」
魔王バランがゴア規制に関するコメントを処理した後問いかけをすると、コメントはすぐに問いかけに対する返答でうめつくされた。
「勇者ひでぇな、ありえねぇ、むちゃくちゃだな、頭いっちゃってね?、お寿司好きだ……遠慮しないで食べてくれ。予想より、けっこう一方的な意見に流れたね。まぁ、俺のチャンネルだからかもしれないけど、それでもだいぶ偏った感じになったね」
見ていた視聴者は、けっこう憤りを感じていたようだ。
魔王バラン自身の冷静な指摘があっても、コメントは一向に収まりがつかない感じになっている。
「今の動画の結末は、俺が生きていることからどうなったか察してくれ。それより今のやりとりから、簡単に勇者を分析していくよ。踏み込んだ話は会員限定でやるから、ここでは総括的な分析をしていこうと思う。
まぁ、君らが俺の立場にたってコメントしてくれるのはありがたいが、今は冷静にいこう。まずは、こいつを見てくれ。謁見の間に到着したばかりの勇者の姿をパネルにしたものだ」
そう言いながら、魔王バランは動画から切り出して引き伸ばした後印刷した写真を目の前に立てかける。
「よく見てくれ。伝説系の鎧そのものは無傷だが、その下に着ている服はけっこうボロボロになっているでしょ。さらに、手荷物はなくて所持しているものは剣と盾しかない。
もちろん、この場所にたどり着く前に結構な距離を旅してきているはずだから、荷物がないわけではなく、間違いなく決戦に備えて途中で捨ててきてるんだよね。




