二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 11 - 勇者動画
二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 11 - 勇者動画
「オッケーありがとう。さて、ここから動画の音声が入るから、俺のトークは控え目でいくよ」
魔王バランが話したところで、すぐに動画では反応があった。
「ようやく見つけたぞ、魔王バラン! 勇者●●●の名において、貴様を斃す!」
まずは勇者から話しかけることで会話が始まった。
ちなみに、勇者が名前を名乗る箇所にはしっかりとピーッ音が入っている。
「よく来たとは言わん、勇者よ。貴様は招かざる客だからな。だが、一つ聞きたい。俺が斃されなくてはならないその理由を」
魔王バランはチャンネル放送で見せる、軽快なノリのトークとは違い重厚な感じでいたって冷静に質問する。
「今更何を言う? 魔物たちが人間界で暴れまわり、色々な被害を出している。その中心にいるのか魔王である貴様だ! だから、貴様を斃す!」
勇者の言葉には一切の迷いというものがなかった。
自分自身の正義対して微塵も疑わないでいられる者のセリフであった。
「魔界では、魔物は好き勝手にやっている。法など作ったところで、守るやつなどおらん。俺は魔王を名乗っているが、そんなものは便宜上のものだ。魔界に魔王はいても国など存在しない。その上であえて聞く。人間達の王は、国民が犯罪を犯す度に責任をとっているのか?」
その質問を魔王バランが勇者にぶつけた瞬間、コメントはそんなことはない、というコメントであふれかえっていた。
「魔王の話す戯言に貸す耳はない! それに、魔王、貴様が魔王軍を率いて人間界を侵略し、世界征服を企んでいることは知っている! そんなことはこの私がゆるさない!」
魔王バランの質問をためらうことなく放り投げた勇者に対して、またコメントが荒れ初めた。
賛否両論というよりは勇者に対して否定的なコメントしかない。
「勇者よ、現実を見てくれ。魔王軍などというものはこの世に存在しておらん。魔物に軍律を守らせて、軍事行動をさせることなど実質的に不可能なのだ。仮にそれが可能だとして、どこかの国を侵略したとしよう。だが、魔物に統治などという高度な仕事をこなせると思うか? はっきり言おう、そんなことなど夢物語だ。いったい、その話をどこから聞いたのかは知らんが、勇者よ目を覚まして現実と向き合ったほうがいい」
あくまで落ち着いた声で、真摯に語りかける魔王バランに対して、勇者はどうやら怒りをつのらせているらしい。




