一章 魔王さまによる迷宮《ダンジョン》ぶっちゃけ解説 - 02 - 実況中継左
一章 魔王さまによる迷宮ぶっちゃけ解説 - 02 - 実況中継左
「見たら分かると思うけど、左のパーティはとてもオーソドックスなバランス型のパーティ。この構成なら、どんなトラブルでも対処できそうだね。一方右のパーティは二人っきり、しかも攻撃系しかいない変則型だよね」
魔王バランは説明の途中で、書き込まれたコメントを拾う。
「薄暗くて見えづらいって? 迷宮が明るかったら雰囲気ぶち壊しだから暗くしてるんだってことで、納得して」
複数のコメントが流れてきたのを拾って魔王バランがそんなことを言ったら、運営スタッフの方から何やら説明があったようだ。
しばらく話しをした後、また配信に戻ってくる。
「ごめんごめん、明るくするっていうか、光度を上げることはできるんだって……あっ、変ったね。それじゃ、続き話すよ」
魔王バランが説明している途中で、それまで薄暗かった画面が急に明るくなる。
「ずっと俺は、迷宮に関して解説したいと思ってたんだ。そうしたら、今日絶妙に丁度いい感じで使えそうなパーティが来たから、こうして配信を初めることにしたんだ。
なんで、予めいっとくけど、さっきみたいなライブ配信中のトラブルは覚悟しといてくれ。断言するけど、これからも間違いなく起きる。その時は、生暖かい目で見といてくれたらいいよ。君たちが、あんまり正論を炸裂させると、俺はともかくスタッフの心が折れちゃうからほどほどにしといてくれ」
魔王バランが前説をやっている最中に、画面左側、四人組のパーティが魔物の1群と遭遇していた。
「さっそく、戦闘に入ったね。左側の基本に忠実なオーソドックススタイルのパーティの方だ。相手は序盤に出没するモンスターとしてはおなじみのゴブリンだ。四匹いるね。魔法使いが戦士二人の防具にエンチャント魔法をかけて防御力を高めたよ。
戦士二人が群れに襲いかかった。ゴブリンは戦士二人を囲んで反撃してるけど、防御が固くてまともにダメージは通ってないね。一方戦士は二人がかりで一匹づつ確実に倒していく作戦だね。
戦闘はなんの波乱もなく終わったよ。その後、戦士二人が負った軽いキズを僧侶が呪文で回復してダンジョン探索再開だね」
この時、丁度画面右側でも戦闘が始まっていた。