二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 09 - 動画
二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 09 - 動画
「声は聞こえてる? 聞こえてる、聞こえてる、あー美声、うんありがとう。どうもスタッフが慌ててるから、少しすれば回復すると思うよ。
スタッフ仕事しろ、スタッフスキル低すぎ、スタッフ寝てんじゃね? ……君たちこんなときほんっと盛り上がるよね。
もしかして楽しい? 楽しい、楽しい、もっと欲しい……言っとくけど、スタッフは君たちのためにトラブってるわけじゃないからね……」
魔王バランがコメントを拾っている最中に、突然右上にワイプが表示される。
映っているのはもちろん魔王バランだ。
画面中央にはどこかの城の大広間を、俯瞰する位置からカメラに収められた映像が流れ始める。
画面左端には玉座があり、魔王バランが座っていた。
「だぶん分かると思うけど、今映っている玉座に座っているのは俺だね。場所は玉座の間なんだけど、普段は完全に無人なんだよね。ただ勇者が来たときだけこの場所で出迎えるんだ。
必ず戦闘になるから、ここじゃないと周囲への被害がでかすぎて魔界の予算じゃとてもやってらんないんだよね。だから実は、この場所って壊れてもすぐに再建することができるように、規格品だけで統一されてるんだ。
もちろん、見かけは派手だけど素材はすべて安物なんだよ。破壊されること前提の場所だからね、予算を極力減らすのは財政の基本だよ。ハリボテかぁって書いた君。鋭いね。
出来れば俺だって完全にそうしたいけど、さすがに最低限の形式ってやつを整えとかないと、魔王を名乗れなくなるからね。必要経費ってことで納得するしかないだろうな。
……で、右からやって来たね。あれが勇者だ。この時の勇者は一人だね。こういった時が一番厄介なんだよ。数が少ないほうがいいじゃんって書いた君。いくらここの視聴者が優れてるって言っても、やっぱシロウトだなぁ。
勇者っていうのは、本来一強の存在なんだよ。しかも、魔王城の中心部にまでやってきたってことは、ほとんど魔王と変わらない強さを持っているってことだ。
さらに、ここにくるまでに仲間を失っている勇者っていうのは、その思考回路はほぼ狂戦士と変わらない。あまりに背負っているものが大きくなりすぎて、一切の説得が通じないんだ。




