二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 07 - 勇者の仕事
二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 07 - 勇者の仕事
……さっし、さっし、おっし、おっす、めっす、めっしー、ネッシー……なんか、古典的な悪ふざけになってきたから話先にすすめるね。
おっ、勇者の仕事の話だぞっ書き込んだ君、いい仕事するねぇ。そうそう、勇者の仕事はほとんどの場合、勇者自身が作り出したものなんだ。
勇者としての仕事というのは、必然性があって行われるものではないから、勇者が自分で敵を見つけるか、敵っぽいやつを見つけ出して勝手に斃すしかないんだよね。
ただ、面白いというか恐ろしいというか、そのことを意識してやっている勇者はまずいないんだよね。というのも、必然性がある仕事ではないからそこに報酬が発生することは非常に稀なんだ。
すごいなぁとはなるけど、それ止まりなんだよね。そのことも、勇者が職業であるとは言えないことの証になる。どっちかというと好きでやってるっていう方が近いよね。そう考えると職業というより、命がけで勇者という趣味をやっているという表現の方が適切なのかもね。
だからこそ、勇者は自分の自身の価値観のみを頼りにして敵を見つけては斃していくことができるんだろうね。でも、この辺りは僕の主観がけっこうな比率で入ってるからそのつもりで見といてね……でたよって、書かれても俺魔王だよ? ある程度は我慢してくれないと、やってらんないって話だよ」
話しながら魔王バランはフリップを一番最初に見せたものに取り替える。
「話は最初にもどっちゃうけど、これは勇者のイメージの話をした時のフリップなんだ。改めて振り返ると、今なら最初に勇者のイメージがまとまらずにふわふわとした感じになってしまったのか分かってくるよね?
それはそのはずで、勇者という存在そのものが、非常に危ういふわっとした存在だからなんだ。今あらためて勇者を定義するなら、なんかよく分からないけど、とにかくすごいやつって辺りになるんじゃないかな?
おっ? 今、魔王に対するアンチテーゼ的な存在なのかって思ってたっていう書き込みあったけど、それ書いた人すごいね。ある意味的確な表現だと思うよ。
ただ、勇者の敵って魔王だけじゃなくて、ドラゴンでもなんでも、実害を及ぼすことのない強敵ならなんでも構わなんいだ。この曖昧さが、勇者の特徴であり、ふわふわとした掴みどころのない存在にしている一番の理由なんだろうね。




