一章 魔王さまによる迷宮《ダンジョン》ぶっちゃけ解説 - 17 - コメント処理
一章 魔王さまによる迷宮ぶっちゃけ解説 - 17 - コメント処理
「コメントいっぱい来てるね。どれどれ、なんかいい感じに終わりすぎなんじゃない? っていうコメント。君が何を期待したのかだいたい察しがつくよ。
でもまぁ、後味悪い感じにしちゃったら、せっかくの有料会員が減っちゃうでしょ。そういった大人の事情がバリバリにある配信だから、我慢してこのまま会員を続けてくれ。
それで、質問の方は……。リッチはボス級モンスターなのに、なんであんなにまともなんですか? いい質問だね。でも、リッチっていうのは、モンスターの分類であってギリク個人を指す言葉ではないんだよ。そして、ギリクはダンジョンマスターなんだ。迷宮造りを極めようとした結果、まともに見えている。それが答えだね。
お腹が空きました、どうすればいいですか? 何か食べろとしか言えん。
おすすめの迷宮を教えてくたさい。これに関しては、賛否両論いくらでもあると思う。おそらく俺がどんな迷宮を勧めても、納得できない連中は山のようにいるだろう。
だが、それでもあえて言うぞ。俺の一押しはトマ王国の王都リタラにある『狂王の迷宮』だ。
おっ、一瞬でこんなコメントくるもんかねぇ。なんちゃって迷宮とか、お遊戯迷宮とか、子供専用迷宮とか……まぁ、君たちが言いたいことはわかる。
確かに『狂王の迷宮』の攻略はとっても簡単だ。少し頑張れば誰でも最深部まで到達できるようになっている。画期的なのはこの少し頑張れば、というところで、最深部まで到達してラスボスを斃した時ほどよい達成感を味わうことができるように設計されているところだね。
『狂王の迷宮』が創られるまで、このような迷宮は存在しなかった。そのおかげで世界中にその名前が広がって、それまでは一部の冒険者達だけのものだった迷宮が一般の人々の物へと広がったんだ。
さらにこの『狂王の迷宮』を経験することで、本格的な冒険者を目指す者たちも増えて業界全体が活性化することに繋がった。今となってはあまりに有名になり過ぎて、かなりチープ感がでてきてしまっているけど、それでも来場者数はほとんど変っていない。
レジェンドにしてメジャー。今日の迷宮を作り上げた迷宮こそが『狂王の迷宮』なんだ。その意味で、俺の一押しはなんといっても『狂王の迷宮』なんだよね」
これまでずっと続けてきた、迷宮の裏話しを受けての質問コーナーであった。
視聴者のほぼ全員が迷宮に対して抱いていたイメージがすっかり変化してしまっているはずだった。
とはいっても、個々の迷宮に対する評価が変ったわけではないらしい。




