一章 魔王さまによる迷宮《ダンジョン》ぶっちゃけ解説 - 15 - ギリクとの応答
一章 魔王さまによる迷宮ぶっちゃけ解説 - 15 - ギリクとの応答
コメントを処理しつつ簡単な説明をした魔王バランは、ギリクにバトンを渡す。
「あっ? はい。自分はダンジョンマスターのギリクです。今やっているのは、新たに創る予定の迷宮建設予定地の下見です」
ギリクは若干緊張した感じで、とても真面目に話してくる。
「森の中みたいだね? 何目的の迷宮なの?」
魔王バランはすぐに質問に入った。
「えっ? 言ってもいいんですか?」
するとギリクは少し驚いた様子で聞き返してくる。
「今この配信は限定でやってるからね、それに少しは宣伝になるでしょ。言っちゃっていいよ」
ノリの良い感じで魔王バランはギリクの答えを促した。
「はぁ。それなら話しますが……。ここには、娯楽向けの迷宮を建設する予定になっています。できるかぎり多種多様な魔物を配置しつつ、上層部には誰でも気楽に冒険者気分を味わえるような魔物を揃え、最深部にはそれなりに歯ごたえのあるボスモンスターを配置する予定になっています」
ギリクは具体的な内容は避けつつ、大まかな構想を話した。
「へぇ? でも、危険はないの?」
魔王バランは少しだけ踏み込んだ質問をする。
「もちろん相手は魔物ですので、危険がゼロとは言いませんが。入場制限は16才以上にして、各階層ごとにレベル制限をかけることで、対処しきれないレベルのモンスターとの遭遇事故を防ぎます。さらに各フロアには、強制帰還陣を設置しておいて危機に陥ったパティーは強制的に迷宮外へと転送される仕組みを設置予定です」
ギリクも魔王バランの質問に、少しだけ踏み込んだ答えを返す。
と言っても、大まかな概要に過ぎなかったが。
「これはまた、随分と安全面に配慮してるね。なぜなのか、応えて貰ってもいいかな?」
ここで魔王バランは具体的な質問から、質問内容を変えてくる。
もちろん、今した少し踏み込んだ質問というのは、この質問をするための布石であった。
「はぁ。たぶんおわかりだとは思いますが……今度作る迷宮が娯楽施設となるからです。当然、この辺り一帯は観光地として開発されていくことになります。ですから、その核となる迷宮で娯楽施設としてふさわしくない事故は、たとえ噂であっても避けなくてはなりません。安全面にはいくら細心の注意を払っても足りないくらいのものです」
ギリクがしたこの話しは、一気にコメントの数を増やした。




