一章 魔王さまによる迷宮《ダンジョン》ぶっちゃけ解説 - 10 - 前半まとめ
一章 魔王さまによる迷宮ぶっちゃけ解説 - 10 - 前半まとめ
コメントを処理した後、魔王バランはスタッフに指示を出す。
ところが、さっきまで問題なく変っていた画面がいっこうに変わらない。
それだけでなく、ついには画面がスチール写真のようになって止まってしまった。
コメントは止まったことを知らせる書き込みで埋め尽くされるが、特にそのことで焦ったりとか罵声を浴びせるようなものはなかった。
実際のところ、こういったトラブルは生配信ではよくあることであり、みんな慣れているのだ。
「おっ? 戻ったかな? もどった、もどった、おかえり、イエーイ……うん、どうやら正常に配信されてるようだね」
唐突に画面は魔王バランのアップから始まった。
コメントを読むことで、視聴者に映像と音声が届いていることを確認したのだ。
「それじゃ、前半のまとめいくね。といっても、ライブ映像に関する総括なんだけどね。えっ? 配信が止まったことは総括しないのかって? してもいいけど、たぶんそれはまったく役にたたないよ。今までの解決したこと一度でもあった? 経験上、時間と労力の無駄遣いになるだけだよね。さっさと進めてってコメント多いってことは、みんなもだいぶ慣らされてるね」
止まった後のこのあたりのやり取りも、魔王バランはだいぶ馴れている感じだった。
「それでみんなには、ザコ戦とボス戦見てもらって分かってもらえたと思うけど、俺が解説したことがそのまま戦いにでてたよね。段階的に強い魔物を配置していくというシステムは実に効率的に、冒険者の経験を高めてパーティ全体を強くしていってる。
ボス戦を見てもらったパーティはバランス型だから、突出して強い冒険者はいないけどこれといって付け込まれるような隙がない戦い方をする。パーティは様々だけど最深部に到達したということは、ラスボスを斃すだけの力を持っていることの証でもあるんだ。
なら、わざわざ闘う必要はないだろうって、コメントがあったね。そりゃそうなんだけど、ラスボスのいない迷宮を攻略したところで、ありがたみあると思う?
まぁ、他にも色々と理由はあるけど、迷宮は冒険者がいて初めて迷宮だからね。それなりに名前が知られるようになると、多くの冒険者がくるようになって迷宮も大きくできるし、ブランドは大事なんだよ。ってこの辺で時間も時間だし、そろそろ前半終わるね。……後半行く前どうする? アンケートとっとく?」




